⑱ 一次分数変換型 a(n+1)=(p·a(n)+q)/(r·a(n)+s)
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要点
分数型の不動点 x = (px + q)/(rx + s) の解を α, β とすると、a(n+1) − α と a(n+1) − β はどちらも (a(n) − α) や (a(n) − β) の定数倍を (r·a(n) + s) で割った形になる。比を取れば分母が消えて (a(n+1) − α)/(a(n+1) − β) = k·(a(n) − α)/(a(n) − β) の等比数列になる。重解なら 1/(a(n) − α) が等差数列。⑬は不動点が 0 の場合にあたる。
こんなときに使う
- 分子にも分母にも a(n) の1次式がある分数型
- 関数 f(x) = (px + q)/(rx + s) を n 回合成する問題
- 連分数・ニュートン法の反復(√2 の近似など)
手順
- 1. 不動点 x = (px + q)/(rx + s) を解き α, β を得る
- 2. a(n+1) − α、a(n+1) − β をそれぞれ通分して計算する
- 3. 比を取り、b(n) = (a(n) − α)/(a(n) − β) が等比数列になることを示す
- 4. 重解なら b(n) = 1/(a(n) − α) が等差数列になる
- 5. b(n) を求めて a(n) について解く。a(n) ≠ β(分母 ≠ 0)は帰納法で示しておく
例題
a(1) = 2、a(n+1) = (4a(n) − 3)/a(n) の一般項を求めよ。
解答
- 不動点:x = (4x − 3)/x より x² − 4x + 3 = 0、x = 1, 3
- a(n+1) − 1 = 3(a(n) − 1)/a(n)、a(n+1) − 3 = (a(n) − 3)/a(n)
- (a(1) = 2 で、1 < a(n) < 3 なら a(n+1) = 4 − 3/a(n) も 1 < a(n+1) < 3。よって a(n) ≠ 0, 3)
- 比を取ると b(n) = (a(n) − 1)/(a(n) − 3) は公比 3、初項 (2 − 1)/(2 − 3) = −1 の等比数列:b(n) = −3ⁿ⁻¹
- a(n) − 1 = b(n)(a(n) − 3) より a(n) = (1 − 3b(n))/(1 − b(n)) = (3ⁿ + 1)/(3ⁿ⁻¹ + 1)
- 検算:a(2) = (8 − 3)/2 = 5/2、(9 + 1)/(3 + 1) = 5/2 ○。n→∞ で 3 に近づく
別解・ほかの見方
- 重解の例:a(n+1) = (3a(n) − 1)/(a(n) + 1) は不動点 x = 1(重解)。1/(a(n) − 1) が公差 1/2 の等差数列
- 行列 [[p, q], [r, s]] の n 乗と対応する(一次分数変換の合成=行列の積)
- a(n+1) = (a(n)² + 2)/(2a(n))(ニュートン法、√2 の近似)は2次分数だが、(a − √2)/(a + √2) が2乗ずつ変化する同じ発想で解ける
落とし穴
- a(n) − α の計算で通分を誤る
- 比 b(n) の初項を a(1) にしてしまう
- a(n) ≠ β の確認を省く(b(n) が定義できない)
- 重解なのに比を取ろうとして 0/0 になる
- a(n) ≠ α, β や分母 ≠ 0 の確認/重解なのに比を取ろうとする
なぜ大事か
特性方程式(不動点)の2解 α, β で (a−α)/(a−β) が等比になる。重解なら 1/(a−α) が等差
東大での出方
関数の反復合成として出題され、極限まで問われることが多い。不動点の安定性(どちらに収束するか)の理解が問われる。
確認問題
- a(1) = 2、a(n+1) = (3a(n) − 1)/(a(n) + 1) の一般項を求めよ(答:a(n) = (n + 3)/(n + 1))
- 例題で、a(1) を 1 と 3 以外のどんな正の値にしても a(n) → 3 となることを b(n) の式から説明せよ
発展
(a − α)/(a − β) が等比になる理由は、一次分数変換が α を 0 に、β を ∞ に移す座標で見ると単なる拡大 x → kx になるから(共役)。
前提になるノード
「漸化式」のノード
- ⑩ 特性方程式型 a(n+1)=p·a(n)+q
- ⑪ 指数型 a(n+1)=p·a(n)+rⁿ(rⁿ⁺¹で割る)
- ⑫ nの多項式型 a(n+1)=p·a(n)+(An+B)
- ⑬ 分数型(逆数をとる) a(n+1)=a(n)/(p·a(n)+q)
- ⑭ 積・累乗型(対数をとる) a(n+1)=q·a(n)^p
- ⑮ 隣接3項間 a(n+2)+p·a(n+1)+q·a(n)=0
- ⑯ 連立漸化式(和と差・消去)
- ⑰ 和S(n)と一般項の混在型
- ⑱ 一次分数変換型 a(n+1)=(p·a(n)+q)/(r·a(n)+s)
- ⑲ 三角関数置換型 a(n+1)=2a(n)²−1
- ⑳ 偶奇分け((−1)ⁿ型・2つ飛び)
- ㉑ 周期・余り(mod)を書き出して見つける
- 漸化式の型別処理(等比型・特性方程式・分数型・連立)
- ㉔ 推測+数学的帰納法(誘導のない漸化式)
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。