⑯ 連立漸化式(和と差・消去)
アプリで開く →
進み具合を記録できるアプリ版です(ノード単位の直リンクはありません)
要点
a(n+1) = p·a(n) + q·b(n)、b(n+1) = r·a(n) + s·b(n) は、a(n) + k·b(n) が等比数列になるような k を探すのが基本(固有ベクトル探し)。係数が対称なら k = ±1(和と差)でうまくいく。見つからない・面倒なときは、1本目から b(n) = … を作って2本目に代入し、a だけの3項間漸化式(⑮)にする。この消去法はどんな係数でも必ず通る。
こんなときに使う
- 2つ以上の数列が互いに入り組んだ漸化式
- 確率漸化式で状態が2〜3個(和が1になる条件で1つ消せないか先に考える)
- 係数が対称(p = s、q = r)→ 和と差
手順
- 1. 和が一定などの保存量(確率なら a + b + c = 1)がないか確認し、あれば1つ消す
- 2. 係数が対称なら、和と差を取って2本の等比数列にする
- 3. 対称でなければ a(n+1) + k·b(n+1) = t{a(n) + k·b(n)} として k, t を決める(k が2つ出る)
- 4. または消去法:1本目を b(n) について解き、2本目に代入して⑮に帰着
- 5. a(n), b(n) を求め、n=2 で検算する
例題
a(1) = 1、b(1) = 0、a(n+1) = 2a(n) + b(n)、b(n+1) = a(n) + 2b(n) の一般項を求めよ。
解答
- 足すと a(n+1) + b(n+1) = 3{a(n) + b(n)}、初項 1 なので a(n) + b(n) = 3ⁿ⁻¹
- 引くと a(n+1) − b(n+1) = a(n) − b(n)、初項 1 なので a(n) − b(n) = 1
- ∴ a(n) = (3ⁿ⁻¹ + 1)/2、b(n) = (3ⁿ⁻¹ − 1)/2
- 検算:a(2) = 2、b(2) = 1。(3 + 1)/2 = 2、(3 − 1)/2 = 1 ○
別解・ほかの見方
- 消去法:b(n) = a(n+1) − 2a(n) を2本目に代入すると a(n+2) − 4a(n+1) + 3a(n) = 0(⑮)。特性方程式の解 1, 3 が和・差の公比と一致する
- 行列で書くと固有値が公比、固有ベクトルが k。数Cの行列(旧課程)やベクトルの知識があると見通しが立つ
- 3状態以上の確率漸化式は、対称性で状態をまとめて2状態に減らせないか先に考える
落とし穴
- 係数が対称でないのに和と差を取ってしまい、等比にならず止まる
- 消去法で b(n+1) を作るときに添字を1ずらし忘れる
- 確率の和が1の条件を使わずに3本の連立を解こうとする
- 係数が対称でないのに単純な和・差で等比になると思い込む
なぜ大事か
確率漸化式で状態が2つ以上あると必ずこの形。足し引きか、1本消して3項間に落とす
東大での出方
東大の確率漸化式の主戦場。状態が2〜3個の連立になり、それを解けるかが問われる。
確認問題
- a(1) = 1、b(1) = 1、a(n+1) = 3a(n) + b(n)、b(n+1) = 2a(n) + 2b(n) を解け(k = 1/2 で公比4、k = −1 で公比1。答:a(n) = b(n) = 4ⁿ⁻¹)
- 上の連立を消去法で3項間にして解き、k を使う方法と一致するか確かめよ
発展
a + k·b が等比になる k を探すことは、行列の固有ベクトルを探すことと同じ。2つの k が実数で出ない(固有値が複素数)とき、数列は回転しながら変化する(三角関数で書ける)。
前提になるノード
このノードを前提にするノード
「漸化式」のノード
- ⑩ 特性方程式型 a(n+1)=p·a(n)+q
- ⑪ 指数型 a(n+1)=p·a(n)+rⁿ(rⁿ⁺¹で割る)
- ⑫ nの多項式型 a(n+1)=p·a(n)+(An+B)
- ⑬ 分数型(逆数をとる) a(n+1)=a(n)/(p·a(n)+q)
- ⑭ 積・累乗型(対数をとる) a(n+1)=q·a(n)^p
- ⑮ 隣接3項間 a(n+2)+p·a(n+1)+q·a(n)=0
- ⑯ 連立漸化式(和と差・消去)
- ⑰ 和S(n)と一般項の混在型
- ⑱ 一次分数変換型 a(n+1)=(p·a(n)+q)/(r·a(n)+s)
- ⑲ 三角関数置換型 a(n+1)=2a(n)²−1
- ⑳ 偶奇分け((−1)ⁿ型・2つ飛び)
- ㉑ 周期・余り(mod)を書き出して見つける
- 漸化式の型別処理(等比型・特性方程式・分数型・連立)
- ㉔ 推測+数学的帰納法(誘導のない漸化式)
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。