受験数学マップ

積分と不等式(面積比較・評価)

数学III / 積分法 / 東大での重要度 ★★★★★

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要点

求まらない量を、求まる量で挟む。これが理三で最も差がつく技術である。積分の値が初等関数で書けなくても、被積分関数の大小を評価すれば、面積の大小として不等式が作れる。特に重要なのが和と積分の比較で、Σ 1/k と log n の関係はその代表例になる。階段状の和と滑らかな曲線の下の面積を比べる、という図が頭にあるかどうかで見通しが変わる。ただし論証としては、被積分関数の単調性を先に示すことが必須で、これを抜かすと面積の大小を主張する根拠がなくなる。

こんなときに使う

手順

  1. 1. 被積分関数 f の単調性を調べる(微分するか、明らかなら理由を一言)
  2. 2. 区間 [k, k+1] 上で、f が減少なら f(k+1) ≦ f(x) ≦ f(k)
  3. 3. 各辺を [k, k+1] で積分する(幅が1なので、両端の値がそのまま不等式になる)
  4. 4. k について足し合わせ、Σ と ∫ の大小関係を作る
  5. 5. 求めたい量がその不等式の中央に来るよう整理する
  6. 6. 両端の極限を計算し、一致すればはさみうちで確定する

例題

n を 2 以上の整数とするとき、次を示せ。   1/2 + 1/3 + … + 1/n < log n < 1 + 1/2 + … + 1/(n−1)
解答
  1. f(x) = 1/x は x > 0 で単調減少(f′(x) = −1/x² < 0)。
  2. 【区間ごとの評価】
  3. k ≦ x ≦ k+1 のとき、単調減少性より 1/(k+1) ≦ 1/x ≦ 1/k(等号は端点のみ)。
  4. 各辺を x について k から k+1 まで積分する。区間の幅が 1 なので
  5.  1/(k+1) < ∫[k→k+1] dx/x < 1/k
  6. (f は定数でないので、狭義の不等号になる)
  7. 【足し合わせる】
  8. k = 1, 2, …, n−1 について足すと、中央の積分は繋がって ∫[1→n] dx/x = log n。
  9. 左辺の和: 1/2 + 1/3 + … + 1/n
  10. 右辺の和: 1 + 1/2 + … + 1/(n−1)
  11. ∴ 1/2 + 1/3 + … + 1/n < log n < 1 + 1/2 + … + 1/(n−1) (証明終)
  12. 【この不等式が効く場面】
  13. 右側から Σ[k=1..n] 1/k > log n が言えるので、n → ∞ で調和級数が発散することが従う。
  14. また両側から、Σ[k=1..n] 1/k と log n の差が有界であることも分かる。
  15. 検算:n = 2 のとき 1/2 < log 2 < 1。log 2 ≒ 0.693 なので成立 ○

別解・ほかの見方

落とし穴

なぜ大事か

log n と調和級数の比較など。数IIIの最高難度帯で、理三の合否はここに出る

東大での出方

理三の合否がここに出る、最上位帯のテーマ。単独で出るというより、(1) で不等式を作らせ、(2) でその不等式を使って極限や評価を求めさせる形で出る。誘導の意図を読めるかどうかが問われており、(1) を独立した小問だと思って解くと (2) で行き詰まる。

確認問題

発展

和と積分の差そのものを評価する(オイラー・マスケローニ定数に繋がる話)。高校範囲では定数の存在までは示せないが、差が単調で有界であることは示せる。東大の最難問はこの一歩手前まで踏み込んでくる。

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