受験数学マップ

【東大型】評価と極限の融合

東大レイヤー / 出題テーマ / 東大での重要度 ★★★★★

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要点

「(1) で不等式を示し、(2) でその不等式を使って極限を出す」——東大が最も好む構造である。ここで理解すべきは、(1) は独立した小問ではなく、(2) のために置かれているということ。だから (1) が解けたら必ず (2) で使う。逆に (2) で手が止まったら、まず (1) の結果を見返す。この誘導の読み方が身についているかどうかが、そのまま得点差になる。誘導を無視して (2) を正面から解こうとすると、まず解けないように設計されている。

こんなときに使う

手順

  1. 1. (1) の結論を正確に書き留める(これが後で使う道具)
  2. 2. (2) の対象が、その不等式の中央に来るように整理する
  3. 3. 両端の極限を計算する
  4. 4. 一致すればはさみうちの原理で確定(『はさみうちの原理より』と明記する)
  5. 5. 一致しなければ評価が甘い。より強い不等式を作り直す
  6. 6. 漸化式が与えられている場合は、それを繰り返し使って和や一般項に持ち込む

例題

I_n = ∫[0→1] xⁿ/(1 + x) dx (n = 0, 1, 2, …)とする。 (1) 0 < I_n ≦ 1/(n+1) を示せ。 (2) I_n + I_(n+1) = 1/(n+1) を示せ。 (3) lim[n→∞] { 1 − 1/2 + 1/3 − … + (−1)^(n−1)/n } を求めよ。
解答
  1. (1) 0 ≦ x ≦ 1 のとき 1 ≦ 1 + x ≦ 2 だから、xⁿ ≧ 0 より
  2.   0 ≦ xⁿ/(1 + x) ≦ xⁿ
  3.  積分して 0 ≦ I_n ≦ ∫[0→1] xⁿ dx = 1/(n+1)。
  4.  被積分関数は x > 0 で正なので I_n > 0。よって 0 < I_n ≦ 1/(n+1)。
  5. (2) I_n + I_(n+1) = ∫[0→1] (xⁿ + x^(n+1))/(1 + x) dx
  6.          = ∫[0→1] xⁿ(1 + x)/(1 + x) dx
  7.          = ∫[0→1] xⁿ dx = 1/(n+1)
  8.  分子が分母で割り切れる、という一点だけの計算。
  9. (3) まず I₀ = ∫[0→1] dx/(1 + x) = [log(1 + x)]₀¹ = log 2。
  10.  (2) の関係 I_(n+1) = 1/(n+1) − I_n を繰り返し使う。
  11.   I₁ = 1/1 − I₀ = 1 − log 2
  12.   I₂ = 1/2 − I₁ = log 2 − (1 − 1/2)
  13.   I₃ = 1/3 − I₂ = (1 − 1/2 + 1/3) − log 2
  14.  ここで S_n = 1 − 1/2 + 1/3 − … + (−1)^(n−1)/n とおくと、上の形から
  15.   log 2 − S_n = (−1)ⁿ I_n
  16.  が成り立つ(n についての帰納法で示せる)。
  17.  (1) より 0 < I_n ≦ 1/(n+1) であり、1/(n+1) → 0。
  18.  はさみうちの原理より I_n → 0。したがって |log 2 − S_n| = I_n → 0。
  19.  ∴ lim[n→∞] S_n = log 2
  20. 【誘導の構造】(1) は挟むための道具、(2) は和を作るための道具。
  21. どちらも (3) のために置かれており、単独では意味を持たない。
  22. 検算:S₁ = 1、S₂ = 0.5、S₃ ≒ 0.833、S₄ ≒ 0.583 … log 2 ≒ 0.693 の周りで振動しながら収束 ○

別解・ほかの見方

落とし穴

なぜ大事か

『(1)で不等式を示し (2)で極限を出す』という誘導の意味を読む。理三で差がつく最上位テーマ

東大での出方

理三で最も差がつく最上位テーマ。3段構成の誘導で出るのが典型で、(1) と (2) は易しく作られていることが多い。つまり (1)(2) を確実に取り、(3) に手を伸ばすのが正しい戦い方であり、完答できなくても部分点で大きく稼げる。

確認問題

発展

極限が 0 になる速さ(オーダー)まで求めさせる問題。n·I_n や n²·I_n の極限を問う形で、より精密な評価が必要になる。ここまで来ると挟む不等式を自分で設計する力が問われる。

前提になるノード

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