【東大型】評価と極限の融合
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要点
「(1) で不等式を示し、(2) でその不等式を使って極限を出す」——東大が最も好む構造である。ここで理解すべきは、(1) は独立した小問ではなく、(2) のために置かれているということ。だから (1) が解けたら必ず (2) で使う。逆に (2) で手が止まったら、まず (1) の結果を見返す。この誘導の読み方が身についているかどうかが、そのまま得点差になる。誘導を無視して (2) を正面から解こうとすると、まず解けないように設計されている。
こんなときに使う
- 『(1) 不等式を示せ → (2) 極限を求めよ』の構成 → (1) をはさみうちに使う
- I_n のように n が入った積分や数列 → 漸化式を作るか、評価して挟む
- 直接計算できない量が出てくる → 挟む以外に道はない
- (1) で作った漸化式が (2) の和や極限に繋がる
- 『〜より小さいことを示せ』→ その評価が後で効く
手順
- 1. (1) の結論を正確に書き留める(これが後で使う道具)
- 2. (2) の対象が、その不等式の中央に来るように整理する
- 3. 両端の極限を計算する
- 4. 一致すればはさみうちの原理で確定(『はさみうちの原理より』と明記する)
- 5. 一致しなければ評価が甘い。より強い不等式を作り直す
- 6. 漸化式が与えられている場合は、それを繰り返し使って和や一般項に持ち込む
例題
I_n = ∫[0→1] xⁿ/(1 + x) dx (n = 0, 1, 2, …)とする。
(1) 0 < I_n ≦ 1/(n+1) を示せ。
(2) I_n + I_(n+1) = 1/(n+1) を示せ。
(3) lim[n→∞] { 1 − 1/2 + 1/3 − … + (−1)^(n−1)/n } を求めよ。
解答
- (1) 0 ≦ x ≦ 1 のとき 1 ≦ 1 + x ≦ 2 だから、xⁿ ≧ 0 より
- 0 ≦ xⁿ/(1 + x) ≦ xⁿ
- 積分して 0 ≦ I_n ≦ ∫[0→1] xⁿ dx = 1/(n+1)。
- 被積分関数は x > 0 で正なので I_n > 0。よって 0 < I_n ≦ 1/(n+1)。
- (2) I_n + I_(n+1) = ∫[0→1] (xⁿ + x^(n+1))/(1 + x) dx
- = ∫[0→1] xⁿ(1 + x)/(1 + x) dx
- = ∫[0→1] xⁿ dx = 1/(n+1)
- 分子が分母で割り切れる、という一点だけの計算。
- (3) まず I₀ = ∫[0→1] dx/(1 + x) = [log(1 + x)]₀¹ = log 2。
- (2) の関係 I_(n+1) = 1/(n+1) − I_n を繰り返し使う。
- I₁ = 1/1 − I₀ = 1 − log 2
- I₂ = 1/2 − I₁ = log 2 − (1 − 1/2)
- I₃ = 1/3 − I₂ = (1 − 1/2 + 1/3) − log 2
- ここで S_n = 1 − 1/2 + 1/3 − … + (−1)^(n−1)/n とおくと、上の形から
- log 2 − S_n = (−1)ⁿ I_n
- が成り立つ(n についての帰納法で示せる)。
- (1) より 0 < I_n ≦ 1/(n+1) であり、1/(n+1) → 0。
- はさみうちの原理より I_n → 0。したがって |log 2 − S_n| = I_n → 0。
- ∴ lim[n→∞] S_n = log 2
- 【誘導の構造】(1) は挟むための道具、(2) は和を作るための道具。
- どちらも (3) のために置かれており、単独では意味を持たない。
- 検算:S₁ = 1、S₂ = 0.5、S₃ ≒ 0.833、S₄ ≒ 0.583 … log 2 ≒ 0.693 の周りで振動しながら収束 ○
別解・ほかの見方
- 漸化式を作ってから極限へ(部分積分で I_n と I_(n−2) を結ぶ)
- 評価だけで極限を出す(漸化式を作らずに、上下から挟む)
- 区分求積と組み合わせる(和の極限を積分に翻訳してから評価する)
- 平均値の定理で不等式を作る
- (1) の不等式が甘くて挟めないときは、被積分関数の評価を精密にし直す
落とし穴
- (1) を独立した小問だと思い、(2)(3) で使わない(最大の失点原因)
- はさみうちを使ったのに『はさみうちの原理より』と書かない
- 下からの評価(0 < I_n)を書かず、上からだけで極限を主張する
- 係数が 1 に近いことを理由に極限が 0 だと決めつける
- n の偶奇で符号が変わる構造を見落とす
- (1)を飛ばして(2)を解こうとする(誘導は使うために置かれている)
なぜ大事か
『(1)で不等式を示し (2)で極限を出す』という誘導の意味を読む。理三で差がつく最上位テーマ
東大での出方
理三で最も差がつく最上位テーマ。3段構成の誘導で出るのが典型で、(1) と (2) は易しく作られていることが多い。つまり (1)(2) を確実に取り、(3) に手を伸ばすのが正しい戦い方であり、完答できなくても部分点で大きく稼げる。
確認問題
- J_n = ∫[0→1] xⁿ e^x dx について 0 < J_n < e/(n+1) を示し、極限を求めよ
- 上の I_n について、n·I_n の極限を予想し、数値で確かめよ
- I_n が単調減少であることを示せ
発展
極限が 0 になる速さ(オーダー)まで求めさせる問題。n·I_n や n²·I_n の極限を問う形で、より精密な評価が必要になる。ここまで来ると挟む不等式を自分で設計する力が問われる。
前提になるノード
このノードを前提にするノード
「出題テーマ」のノード
- 【東大型】確率の状態設計
- 【東大型】整数の論証
- 【東大型】通過領域・存在条件
- 【東大型】立体の体積
- 【東大型】複素数平面と図形
- 【東大型】評価と極限の融合
- 【東大型】空間図形の最大最小
- 【東大型】関数の決定・不等式の成立条件
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。