極限の3種の神器(はさみうち・区分求積・漸化式評価)
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要点
既知の公式に当てはまらない極限の答案は、ほぼ全て「はさみうち」「区分求積」「漸化式評価(I_nとI_{n+1}の関係から評価する)」のどれかに帰着する。大切なのは3つの公式を覚えることではなく、目の前の式を見て『どれを最初に試すか』を1秒で判断する目利き力。この判断力そのものが、東大の評価問題(積分と不等式・数列の極限)で差がつく部分。
こんなときに使う
- 不等式で上下から挟める形がすぐ作れる → はさみうち
- Σと(1/n)がセットで、kがnと連動して動いている → 区分求積
- I_n(積分やΣで定義された数列)について、I_{n+1}とI_nの大小関係や漸化式が作れる → 漸化式評価
- 1つの型で行き詰まったら、別の型に切り替えて試す(3つとも独立に試す価値がある)
手順
- 1. 式の形を観察する:不等式が作れるか/Σ(1/n)f(k/n)の形に整形できるか/I_nの漸化式が作れるか
- 2. 該当する型で評価式・変形を作る
- 3. n→∞の極限を取り、両端(または評価した値)が一致することを確認する
- 4. 型が複数組み合わさる問題(区分求積で挟んではさみうち、など)もあることを意識する
例題
I_n = ∫[0→1] xⁿ/(1+x) dx とするとき、lim[n→∞] I_n を求めよ。
解答
- 0≦x≦1で0≦xⁿ/(1+x)≦xⁿなので、0≦I_n≦∫[0→1]xⁿdx=1/(n+1)。
- n→∞で1/(n+1)→0なので、はさみうちよりI_n→0。
- (この問題は漸化式でI_nとI_{n-1}の関係を作る解法もあるが、はさみうちが最速)
別解・ほかの見方
- 区分求積とはさみうちの組み合わせ:区分求積で厳密値が出せない和は、積分で上下から挟んで評価する(m3-int-ineqの核心)
- 漸化式評価:I_nの漸化式を作り、I_n>I_{n+1}(単調減少)と下限(I_n>0など)から収束を示す方法もある
落とし穴
- 公式を1つ覚えただけで満足し、他の2つの型を試さずに『解けない』と判断してしまう
- はさみうちで下からの評価(0以上など)を書き忘れ、上からの評価だけで済ませてしまう
- 区分求積とみせかけて実際はΣの中にnが単独で残っている(区分求積が使えない)ことを見抜けない
- 3つとも試さず、覚えている公式が使えないだけで『分からない』と諦める
なぜ大事か
『公式に当てはまらない極限』の答案はほぼ全てこの3つのどれかに帰着する。どれを最初に試すかの判断力が得点力そのもの
東大での出方
東大の数III最難問帯(数学の掌握が体系化したことで有名なテーマ)。単独でも出るが、たいていの年で「評価と極限の融合」(「【東大型】評価と極限の融合」)の中核として組み合わさって出る。
確認問題
- J_n = ∫[0→1] xⁿ e⁻ˣ dx について、lim[n→∞] n·J_n を求めよ(漸化式または評価のどちらが使えるか考える)
- lim[n→∞] (1/n)Σ[k=1→n] 1/√(1+(k/n)²) を求めよ(どの型か判断してから計算する)
発展
log を取ってから区分求積に持ち込む変形(積の極限)や、はさみうちの評価式を自分で微分を使って作る(既存の不等式が使えない場合)も、この3種の神器の応用形として押さえておく。
前提になるノード
このノードを前提にするノード
「メタ技能」のノード
- 実験する手癖(n=1,2,3 を書き出す)
- 対称性を利用して場合を減らす
- 極限の3種の神器(はさみうち・区分求積・漸化式評価)
- 未知を既知に帰着させる(言い換えの技術)
- 場合分けを漏らさない・同値性を保つ記述
- 減点されない答案の書き方
- 計算の設計と検算(次数・単位・特殊値)
- 150分の運用(大問の選択と撤退の判断)
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。