受験数学マップ

実験する手癖(n=1,2,3 を書き出す)

東大レイヤー / メタ技能 / 東大での重要度 ★★★★★

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要点

東大の問題は、方針が見えない状態から始まる。そして手を動かして規則を見つける以外に入口がない問題が、毎年のように出る。10分考えて紙が白いままなら、それは考えているのではなく実験を飛ばしている。小さい場合を書き出すことは泥臭い手段ではなく、正規の第一手である。実際、誘導の (1) は多くの場合この実験そのもので、出題者は『まず手を動かせ』と言っている。

こんなときに使う

手順

  1. 1. パラメータを最小にする(n = 1、点を2個、操作を1回)
  2. 2. 頭の中でやらず、実際に紙に書き出す
  3. 3. n = 2, 3 と増やし、何がどう変化するかを見る
  4. 4. 規則を予想する(数列なら一般項、確率なら状態の個数)
  5. 5. 予想を数学的帰納法か直接証明で示す
  6. 6. 予想が立たなければ n = 4, 5 まで伸ばす。たいていそこで見える

例題

a₁ = 1、a_(n+1) = a_n / (1 + a_n) で定まる数列 {a_n} の一般項を求めよ。
解答
  1. この漸化式は等比型でも特性方程式型でもなく、既知の型に当てはまらない。
  2. そこで実際に書き出す。
  3. a₁ = 1
  4. a₂ = 1 / (1 + 1) = 1/2
  5. a₃ = (1/2) / (1 + 1/2) = (1/2) / (3/2) = 1/3
  6. a₄ = (1/3) / (1 + 1/3) = (1/3) / (4/3) = 1/4
  7. 【予想】a_n = 1/n
  8. 【数学的帰納法で証明】
  9. n = 1 のとき a₁ = 1 = 1/1 で成立。
  10. n = k で a_k = 1/k と仮定すると
  11.  a_(k+1) = (1/k) / (1 + 1/k) = (1/k) / ((k+1)/k) = 1/(k+1)
  12. よって n = k+1 でも成立。ゆえにすべての自然数 n で a_n = 1/n。
  13. 【別解:逆数を取る】
  14. 漸化式の両辺の逆数を取ると
  15.  1/a_(n+1) = (1 + a_n)/a_n = 1/a_n + 1
  16. b_n = 1/a_n とおくと b_(n+1) = b_n + 1、b₁ = 1。つまり公差1の等差数列で b_n = n。
  17. ∴ a_n = 1/n
  18. 【要点】別解のほうが鮮やかだが、逆数を取るという発想は実験で 1, 1/2, 1/3, 1/4 という並びを
  19. 見たあとなら自然に出てくる。実験は答えを予想するだけでなく、方針そのものを教えてくれる。

別解・ほかの見方

落とし穴

なぜ大事か

東大の問題は方針が見えない状態から始まる。手を動かして規則を見つける以外に入口がない問題が毎年ある

東大での出方

東大は誘導の (1) を実験に充てることが多い。『n = 1 のときを求めよ』『具体的に書き出せ』という小問は、点を取らせるためではなく、(2) 以降の方針を発見させるために置かれている。逆に誘導がない年は、自分で実験を始められるかどうかが分かれ目になる。

確認問題

発展

実験しても規則が見えない場合。見方を変える(差を取る、比を取る、階差の階差を見る、素因数分解する)と現れることがある。この『見方の引き出し』は経験の蓄積そのもの。

前提になるノード

このノードを前提にするノード

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