場合分けを漏らさない・同値性を保つ記述
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要点
東大の採点は論理の飛躍に厳しく、答えが合っていても過程で落ちる。押さえるべきは2点しかない。場合分けが排反かつ網羅的であること、そして式変形が同値であることである。特に危ないのが、両辺を2乗する・両辺に文字を掛ける・分母を払うといった操作で、これらは同値ではない。必要条件だけで進んだのなら、最後に必ず十分性を確認する。この確認を書くかどうかが、そのまま点差になる。
こんなときに使う
- 絶対値・平方根・対数が出てきた → 場合分けか条件(真数条件など)
- 両辺を2乗した → 同値でない。符号の確認が必要
- 両辺に文字を掛けた/割った → その文字が 0 の場合を分ける
- 分母を払った → 分母 ≠ 0 を条件として残す
- 『⇒』の向きにだけ進んだ → 逆が言えるか確認する
- 図形で点の位置によって形が変わる → その境目で場合分け
手順
- 1. 場合分けの基準を明示する(『x < 0 のとき』のように見出しを立てる)
- 2. 排反か(重複していないか)を確認する
- 3. 網羅的か(漏れがないか)を確認する。境界値をどちらに入れたかも明示
- 4. 同値でない変形をしたら、その場に印をつけておく
- 5. 最後に十分性を確認する(求めた解を元の式に戻す)
- 6. 各場合の結論を統合して、最終的な答えを書く
例題
方程式 √(x + 2) = x を解け。
解答
- 【よくある答案】
- 両辺を2乗して x + 2 = x²
- x² − x − 2 = 0、(x − 2)(x + 1) = 0
- よって x = 2, −1 ← ここで終えると誤り
- 【なぜ誤りか】
- 「A = B」から「A² = B²」は言えるが、逆は言えない(A = −B でも A² = B² になる)。
- つまり2乗は同値変形ではなく、必要条件しか得られていない。
- 実際 x = −1 を元の式に代入すると √1 = 1 だが右辺は −1 で、成り立たない。
- 【正しい書き方その1:十分性を確認する】
- 2乗して得た候補 x = 2, −1 を元の式に代入して確かめる。
- x = 2 のとき √4 = 2 ○
- x = −1 のとき √1 = 1 ≠ −1 ✕
- ∴ x = 2
- 【正しい書き方その2:最初から同値変形にする】
- √(x+2) = x ⇔ x ≧ 0 かつ x + 2 = x² (左辺は 0 以上なので右辺も 0 以上が必要)
- ⇔ x ≧ 0 かつ (x − 2)(x + 1) = 0
- ⇔ x = 2
- この書き方なら十分性の確認が要らない。東大の答案としてはこちらが望ましい。
- (真数条件 x + 2 ≧ 0 は x = x² − 2 ≧ 0 から自動的に従う)
別解・ほかの見方
- 同値記号(⇔)で繋いで書く(最も安全。ただし本当に同値か毎回確認すること)
- 必要条件で候補を絞り、最後に十分性を確認する(計算は軽いが確認を忘れやすい)
- 場合分けを表にまとめる(3つ以上の条件が絡むとき)
- 『少なくとも』『すべての』が出たら、∀ と ∃ を明示的に書き分ける
落とし穴
- 2乗したあと十分性を確認しない(最頻出)
- 場合分けの境界値をどちらに入れたか書かない
- 『x ≠ 0 のとき』で割ったのに、x = 0 の場合を扱わない
- 必要条件で出した答えを、そのまま最終解答にする
- 場合分けの見出しを立てず、地の文に混ぜて書く(採点者が追えない)
- 必要条件だけ出して十分性の確認を書かない
なぜ大事か
東大の採点は論理の飛躍に厳しい。合っている答えでも過程で落ちる
東大での出方
東大は同値性の意識を直接測ってくる。特に軌跡・領域・方程式の解の議論では、必要条件だけで進むと必ず余分な解が混じる設計になっている。答えが合っているのに点が来ないという経験の大半は、ここが原因。
確認問題
- √(2x + 3) = x を解け(十分性の確認まで書くこと)
- |x − 1| + |x − 3| = 4 を解け(場合分けの網羅性を意識すること)
- 方程式 x + 1/x = a が実数解を持つ a の条件を、同値変形で求めよ
発展
同値でない変形を意図的に使い、あとで十分性を確認するほうが速い場面もある。どちらが速いかを判断できるようになると、時間の使い方が変わる。
前提になるノード
このノードを前提にするノード
「メタ技能」のノード
- 実験する手癖(n=1,2,3 を書き出す)
- 対称性を利用して場合を減らす
- 極限の3種の神器(はさみうち・区分求積・漸化式評価)
- 未知を既知に帰着させる(言い換えの技術)
- 場合分けを漏らさない・同値性を保つ記述
- 減点されない答案の書き方
- 計算の設計と検算(次数・単位・特殊値)
- 150分の運用(大問の選択と撤退の判断)
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。