【東大型】関数の決定・不等式の成立条件
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要点
『すべての x で成り立つ』と『ある x で成り立つ』は、まったく違う条件である。前者(∀)は最小値・最大値の問題に翻訳され、後者(∃)は解の存在条件に翻訳される。この翻訳ができれば、条件つきの不等式は関数の値域を調べる標準問題に落ちる。東大はこの読み分けを、文章の中に紛れ込ませる形で問うてくる。だから問題文を読んだら、まず ∀ か ∃ かを確定させてから式を書き始めること。
こんなときに使う
- 『すべての x に対して f(x) ≧ 0』→ f の最小値 ≧ 0
- 『ある x に対して f(x) ≧ 0』→ f の最大値 ≧ 0
- 『すべての x で f(x) ≧ g(x)』→ 差 h = f − g の最小値 ≧ 0
- 定数 a が分離できる → a ≧(何かの最大値)または a ≦(何かの最小値)
- 変数が2つある → 片方を固定して、もう片方で処理する(予選決勝法)
- 『成り立つような a の最小値』→ 分離した関数の最大値がそのまま答え
手順
- 1. ∀ か ∃ かを確定させる(ここを間違えると全部無駄になる)
- 2. 定数を分離できるか試す(a ≧ g(x) の形にする)
- 3. 分離できたら、g の最大値または最小値を求める
- 4. 分離できなければ、差を取って微分する
- 5. 定義域の端での挙動(極限)を必ず調べる
- 6. 等号が成立する点を確認する
例題
すべての x > 0 に対して log x ≦ ax が成り立つような正の定数 a の最小値を求めよ。
解答
- 【∀ であることを確認】『すべての x > 0 に対して』なので ∀ の問題。
- したがって最大値・最小値の問題に翻訳できる。
- 【定数を分離する】x > 0 なので両辺を x で割ってよい。
- log x ≦ ax ⇔ (log x)/x ≦ a
- これがすべての x > 0 で成り立つ条件は
- a ≧ (関数 f(x) = (log x)/x の最大値)
- 【f の最大値を求める】
- f(x) = (log x)/x (x > 0)
- f′(x) = { (1/x)·x − (log x)·1 } / x² = (1 − log x)/x²
- f′(x) = 0 ⇔ log x = 1 ⇔ x = e
- 0 < x < e のとき log x < 1 なので f′ > 0(増加)
- x > e のとき log x > 1 なので f′ < 0(減少)
- よって x = e で最大となり、最大値は f(e) = (log e)/e = 1/e。
- 【端の挙動も確認しておく】
- x → +0 のとき log x → −∞ なので f(x) → −∞。
- x → ∞ のとき f(x) → 0(分母のほうが速く増える)。
- したがって x = e での値が全体の最大値で間違いない。
- 【結論】a ≧ 1/e が条件。
- ∴ a の最小値は 1/e
- 【確認】a = 1/e のとき、x = e で log e = 1、ax = e/e = 1 となり等号が成立する。
- つまり y = x/e は曲線 y = log x の接線になっている。図で見ると納得しやすい。
別解・ほかの見方
- ∃ の場合:『ある x で f(x) ≧ 0』は f の最大値 ≧ 0
- 定数分離できないときは、差を取って微分する
- 変数が2つあるときは予選決勝法(片方を固定 → もう片方を動かす)
- 接線条件として幾何的に解く(この問題は『y = ax が y = log x の接線になる a』と同じ)
- グラフを描いて視覚的に確認する(東大は図的な理解を要求してくる)
落とし穴
- ∀ と ∃ を取り違える(答えが正反対になる)
- 定数分離するとき、割る量の符号を確認しない
- 定義域の端での極限を調べず、最大値の存在を見誤る
- 等号成立を確認しない(『最小値』を聞かれているのに到達可能か不明のまま)
- 2変数のとき、片方を固定した段階の結論をそのまま最終解答にする
- ∀と∃の翻訳を取り違える
なぜ大事か
『すべてのxで成り立つ』『あるxで成り立つ』の違いを最小値・最大値に翻訳する
東大での出方
東大は ∀ と ∃ の読み分けを、問題文の日本語に埋め込んで問う。『任意の』『常に』は ∀、『存在する』『少なくとも1つ』は ∃。数III の関数と組み合わせると難易度が上がるが、翻訳さえできれば増減表を書く標準問題になる。
確認問題
- すべての実数 x に対して x² + 2ax + 3a > 0 が成り立つ a の範囲を求めよ
- すべての x > 0 に対して eˣ ≧ ax が成り立つ a の最大値を求めよ
- 『ある x > 0 で log x ≧ ax』となる a の範囲を求め、∀ の場合と比べよ
発展
条件が2重になっている場合(『すべての x に対して、ある y が存在して〜』)。∀∃ の順序が入れ替わると意味が変わるので、どちらが外側かを厳密に読む必要がある。
前提になるノード
「出題テーマ」のノード
- 【東大型】確率の状態設計
- 【東大型】整数の論証
- 【東大型】通過領域・存在条件
- 【東大型】立体の体積
- 【東大型】複素数平面と図形
- 【東大型】評価と極限の融合
- 【東大型】空間図形の最大最小
- 【東大型】関数の決定・不等式の成立条件
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。