【東大型】複素数平面と図形
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要点
複素数平面の強みは、回転と拡大を掛け算1つで書けることに尽きる。ベクトルでも座標でも書ける問題を、複素数なら数行で処理できる場面があり、その見極めが得点差になる。特に、回転が絡む図形条件と、|z| や arg で書かれた軌跡は複素数平面の独壇場である。逆に、実部・虚部に分解して計算を始めると式が膨張するので、できるだけ z のまま、あるいは共役 z̄ を使って処理するのが原則になる。
こんなときに使う
- 回転が出てくる → 掛け算 e^(iθ) で書く
- 『点 α を中心に θ 回転』→ α + (z − α)e^(iθ)
- |z − a| = |z − b| → 2点から等距離、つまり垂直二等分線
- |z − a| = r → 中心 a、半径 r の円
- |z − a| : |z − b| が一定 → アポロニウスの円
- arg((z−a)/(z−b)) が一定 → 円弧(一定角)
- 1 の n 乗根 → 正 n 角形。和は 0
手順
- 1. 図形の条件を、絶対値・偏角・共役のいずれかで書く
- 2. 実部と虚部に分けたくなっても、まず z のまま処理できないか考える
- 3. 軌跡なら、w = f(z) を z について解き直し(逆に解く)、z の条件に代入する
- 4. 得られた w の条件を図形として読む
- 5. 除外点を確認する(分母が 0 になる点、対応しない点)
例題
|z| = 1 かつ z ≠ 1 を満たす複素数 z に対し、w = (z + 1)/(z − 1) とおく。z が動くとき、w はどのような図形を描くか。
解答
- 実部・虚部に分けると計算が膨張する。w を z について解き直すのが定石。
- 【逆に解く】
- w(z − 1) = z + 1
- wz − w = z + 1
- z(w − 1) = w + 1
- w = 1 のときこの式は 0 = 2 となり不合理なので w ≠ 1。よって
- z = (w + 1)/(w − 1)
- 【条件 |z| = 1 に代入する】
- |(w + 1)/(w − 1)| = 1
- すなわち |w + 1| = |w − 1|
- 【図形として読む】
- これは『w が点 −1 と点 1 から等距離にある』という条件。
- つまり w は 2点 −1, 1 を結ぶ線分の垂直二等分線、すなわち虚軸上にある。
- 【逆に、虚軸上の点はすべて現れるか(十分性)】
- w = it(t は実数)とすると z = (it + 1)/(it − 1)。
- |z| = |it + 1| / |it − 1| = √(1 + t²) / √(1 + t²) = 1 となり条件を満たす。
- また z = 1 となるのは it + 1 = it − 1、すなわち 1 = −1 のときで、これは起こらない。
- よって z ≠ 1 も満たされる。
- ∴ w は虚軸全体を描く。
- 【要点】w を z で表したまま考えず、z を w で表し直して既知の条件に代入する。
- この『逆に解く』手順は、複素数平面の軌跡問題のほぼ全てで使える。
別解・ほかの見方
- 実部・虚部に分ける(最後の手段。式が膨張しやすい)
- 共役を使う:|z|² = z·z̄、実数条件は z = z̄、純虚数条件は z + z̄ = 0
- 回転で書き直す:正三角形の条件は γ − α = (β − α)·e^(±iπ/3)
- ベクトルや座標に翻訳する(回転がない問題なら、そのほうが速いこともある)
- 1 の n 乗根の和が 0 であることを使う(正 n 角形の重心が原点)
落とし穴
- 実部・虚部に分解して計算量が爆発する
- 偏角の一般角(+2kπ)を落として、n 乗根の個数を数え違える
- 軌跡を求めたあと、除外点や十分性の確認をしない
- 回転の中心を原点に移してから戻す、という手順を飛ばす
- |z| = 1 を z = 1 と読み違える
- 実部虚部に分解して計算が膨張する
なぜ大事か
回転・軌跡・n乗根。ベクトルや座標より圧倒的に短く書ける場面を見抜く
東大での出方
東大では複素数平面が単独の大問になる年と、まったく出ない年がある。出るときは回転か軌跡のどちらかで、いずれも『複素数のまま処理できるか』が問われる。ベクトルや座標でも解けるが計算量が数倍になる、という設計になっていることが多い。
確認問題
- 点 1 + i を、点 2 を中心に π/2 だけ回転させた点を求めよ
- |z − 1| = 2|z + 1| を満たす z の軌跡を求めよ(アポロニウスの円)
- z⁵ = 1 の解をすべて求め、その和が 0 になることを確かめよ
発展
回転と拡大を組み合わせた変換(1次分数変換)が、円を円または直線に写すという性質。高校範囲では一般論は扱わないが、個別の問題で『円が直線に写った』という現象に出会ったときに驚かなくなる。
前提になるノード
「出題テーマ」のノード
- 【東大型】確率の状態設計
- 【東大型】整数の論証
- 【東大型】通過領域・存在条件
- 【東大型】立体の体積
- 【東大型】複素数平面と図形
- 【東大型】評価と極限の融合
- 【東大型】空間図形の最大最小
- 【東大型】関数の決定・不等式の成立条件
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。