受験数学マップ

未知を既知に帰着させる(言い換えの技術)

東大レイヤー / メタ技能 / 東大での重要度 ★★★★★

アプリで開く →
進み具合を記録できるアプリ版です(ノード単位の直リンクはありません)

要点

東大は初見の設定を出してくる。しかしその中身は、ほぼ必ず既習の型である。だから問題文の言葉のまま処理しようとすると手が止まり、設定を剥がして『これは何の問題か』を見抜けば、すでに持っている道具で解ける。この翻訳作業こそが受験数学の最上位の技術であり、パターン暗記だけで来た人が最後に止まるのもここである。逆に言えば、翻訳の引き出しを増やすことが、そのまま得点力になる。

こんなときに使う

手順

  1. 1. 問題文から装飾(物語・ゲーム・実験の設定)を全部剥がす
  2. 2. 何が変数で、何が定数で、何を求めるのかを書き出す
  3. 3. 条件をすべて数式にする
  4. 4. 『これは何の型か』を判定する(解の存在条件/最大最小/数え上げ/漸化式)
  5. 5. 既知の型に落ちたら、その型の手順で処理する
  6. 6. 落ちなければ、小さい場合を実験して構造を探す

例題

1辺の長さが 1 の正三角形 ABC の内部の点 P から、3辺に下ろした垂線の長さをそれぞれ p, q, r とする。p + q + r の値を求めよ。
解答
  1. 垂線の足の位置を求めようとすると、点 P の座標を置くことになり計算が重くなる。
  2. しかしこの問題は、幾何の問題ではなく面積の問題に翻訳できる。
  3. 【翻訳】点 P と各頂点を結ぶと、三角形 ABC は3つの三角形に分割される。
  4.  △PBC、△PCA、△PAB
  5. この3つの面積の和が、元の三角形の面積に等しい。
  6. 各三角形について、底辺は正三角形の1辺(長さ 1)、高さがそれぞれ p, q, r。
  7.  (1/2)·1·p + (1/2)·1·q + (1/2)·1·r = (正三角形 ABC の面積)
  8. 正三角形の面積は (√3/4)·1² = √3/4 なので
  9.  (1/2)(p + q + r) = √3/4
  10. ∴ p + q + r = √3/2
  11. 【要点】P がどこにあっても値が変わらない(一定である)ことが結論。
  12. 座標を置いて計算しても出せるが、面積に翻訳すれば3行で終わる。
  13. 『長さの和』を『面積の和』に読み替えた、という一点がこの問題の全て。
  14. 検算:P が重心のとき、p = q = r = 内接円の半径 = √3/6。
  15. 3倍して √3/2 ○

別解・ほかの見方

落とし穴

なぜ大事か

東大は初見の設定を出すが、中身は必ず既習の型。設定を剥がして何の問題かを見抜く作業が本体

東大での出方

東大の問題は『初見の設定 × 既習の型』という設計で作られている。誘導が薄い年ほどこの力が要求され、逆に誘導が丁寧な年は、その誘導自体が翻訳の道筋を示している。過去問を解くときは、答えが合ったかよりも『何に翻訳したか』を記録していくと蓄積になる。

確認問題

発展

翻訳の候補が複数あるとき、どれが最も軽いかを事前に見積もる判断。座標・ベクトル・複素数のどれで書くかで計算量が数倍変わることがあり、書き始める前に30秒考える価値がある。

前提になるノード

このノードを前提にするノード

「メタ技能」のノード

解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。

ノード一覧 ・ 受験数学マップについて