150分の運用(大問の選択と撤退の判断)
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要点
東大理系数学は6問150分。ここで理解しておくべきなのは、全問完答は必要ないということである。理三でも4完+部分点で十分に戦える。したがって本番で問われるのは解く力だけではなく、どれを解きどれを捨てるかの判断でもある。最も多い失敗は、1問に40分を溶かして他が白紙になることで、これは実力の問題ではなく運用の失敗である。時間配分は知識ではなく訓練なので、9月以降に必ず実戦形式で練習しておくこと。
こんなときに使う
- 開始直後 → まず全6問に目を通す。いきなり第1問から解き始めない
- 25分経って方針が立たない → 一旦離れる(後で戻る)
- 完答できそうにない → (1) だけでも解いて部分点を取る
- 残り15分 → 新しい問題に手を出さず、見直しと書き足しに使う
- 計算が異常に汚い → 方針が違う可能性を疑う
手順
- 1. 0〜5分:全6問を読み、A(すぐ解ける)B(時間をかければ解ける)C(手が出ない)に分類する
- 2. 5〜100分:A から順に処理する。1問あたり25分で打ち切り、次へ移る
- 3. 100〜135分:残した問題に戻る。または部分点の書き足しに回る
- 4. 135〜150分:計算の見直しと、答案の体裁の点検
- 5. C に分類した問題も、(1) だけは必ず手をつける
例題
本番の時間配分を、A2問・B2問・C2問と見積もった場合で組み立ててみる。
解答
- 【0〜5分】全問を読む
- 第1問 A(確率・見覚えのある型)
- 第2問 C(見たことのない設定)
- 第3問 B(体積・計算が重そう)
- 第4問 A(微分・標準)
- 第5問 B(整数・方針は立ちそう)
- 第6問 C(複素数・条件が複雑)
- 【5〜50分】A の2問を確実に取る(1問20分強)
- ここで確実に2完。焦らず、検算までやる。
- 【50〜100分】B の2問に取り組む(1問25分)
- 完答できれば4完。片方が途中で止まっても、そこまでの過程は書き切る。
- 【100〜135分】C の2問の (1) に手をつける
- 完答は狙わない。(1) が取れれば十分。手が出なければ、B の見直しに回る。
- 【135〜150分】全体の見直し
- 『とおく』の宣言、場合分けの網羅、結論の明示を確認する。
- 計算ミスは別の方法で検算する(同じ計算を繰り返さない)。
- 【この配分の考え方】
- ・4完+部分点で理三の水準に届く。6完は狙わない。
- ・最も避けたいのは、C に40分かけて A の見直しができないこと。
- ・25分で撤退するルールを、模試で必ず一度は試しておくこと。
- 本番で初めてやろうとしても、心理的にできない。
別解・ほかの見方
- 得意分野から始めて勢いをつける(心理的な効果を重視する場合)
- 全問の (1) を先に片付けてから (2) 以降に戻る(部分点最大化に振る戦略)
- 難問を最初に読んでおき、他を解きながら頭の片隅で考えさせる
- 分野で決め打ちしない(『確率は得意』という思い込みで難問に突っ込まない)
落とし穴
- 1問に固執して時間を溶かす(最も多い失敗)
- 試験中に時計を見ない
- 解けそうにないからと白紙で出す(方針だけでも部分点になり得る)
- 見直しの時間を確保しない
- 難易度の見積もりを最初にせず、第1問から順に解く
- 1問に40分溶かして他が白紙になる
なぜ大事か
6問150分。全問完答は不要。解ける4問を確実に取り切る配分の設計
東大での出方
本番そのもの。過去問演習では答えが合ったかだけでなく、各問に何分かけたかを必ず記録すること。時間の使い方は記録しない限り改善しない。
確認問題
- 過去問1年分を150分の通しで解き、各問にかけた時間を記録せよ
- 『25分で撤退』を実際にやってみて、心理的な抵抗の大きさを確認せよ
- 自分の答案を、方針・計算・記述のどこで失点したかに分類せよ
発展
分野ごとの得点期待値を自分で把握しておくこと。過去問での分野別正答率を記録すると、本番でのA/B/Cの見積もり精度が上がる。見積もりが当たるようになると、運用は一気に安定する。
前提になるノード
このノードを前提にするノード
「メタ技能」のノード
- 実験する手癖(n=1,2,3 を書き出す)
- 対称性を利用して場合を減らす
- 極限の3種の神器(はさみうち・区分求積・漸化式評価)
- 未知を既知に帰着させる(言い換えの技術)
- 場合分けを漏らさない・同値性を保つ記述
- 減点されない答案の書き方
- 計算の設計と検算(次数・単位・特殊値)
- 150分の運用(大問の選択と撤退の判断)
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