減点されない答案の書き方
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要点
同じ実力でも、答案の書き方だけで15〜25点は変わる。採点者は読み手であり、書いた本人の頭の中は見えない。だから必要なのは、宣言・根拠・結論の3つを揃えることに尽きる。文字を置いたら『〜とおく』と宣言し、使った定理には名前を書き、最後に『∴』で結論を明示する。計算だけが並んでいる答案は、たとえ正しくても何を求めているのかが伝わらず、部分点を拾えない。
こんなときに使う
- 文字を新しく置いた → 『〜とおく』と宣言する
- 座標を設定した → どこを原点に取ったかを明示する
- 図形問題 → 図を描く(採点者に状況が伝わる)
- 定理を使った → 名前を書く(はさみうちの原理、平均値の定理、中間値の定理)
- 場合分けした → 見出しを立てる
- 答えが出た → 『∴』で結論を書く
- 完答できなかった → 方針だけでも書く(部分点になる)
手順
- 1. 問題文の条件を自分の記号に翻訳し、置いた文字をすべて宣言する
- 2. 図が描けるなら描く。座標設定の根拠(対称性など)も一言添える
- 3. 方針を最初に1行書く(『〜を示すため、差を取って微分する』)
- 4. 場合分けは見出しを立て、各場合の結論を書く
- 5. 使った定理の名前を明記する
- 6. 最後に『∴』で結論を書く。単位や範囲も忘れずに
例題
同じ内容を、伝わらない答案と伝わる答案で書き比べてみる。題材は「x > 0 で x > log(1+x) を示せ」。
解答
- 【伝わらない答案】
- f' = 1 − 1/(1+x) = x/(1+x) > 0
- f(0) = 0
- よって成り立つ
- → f が何なのか宣言されていない。x > 0 という条件をどこで使ったかも不明。
- 計算は合っているが、読み手には論理が追えない。
- 【伝わる答案】
- f(x) = x − log(1 + x) とおく。定義域は x > −1 であり、以下 x ≧ 0 で考える。
- 示したいのは x > 0 で f(x) > 0 である。
- f′(x) = 1 − 1/(1 + x) = x/(1 + x)
- x > 0 のとき分子・分母ともに正なので f′(x) > 0。
- よって f は x ≧ 0 で単調増加。
- また f(0) = 0 − log 1 = 0。
- 単調増加で f(0) = 0 だから、x > 0 では f(x) > 0。
- ∴ x > 0 のとき x > log(1 + x) (証明終)
- 【違い】
- ・f を宣言した(何を調べているかが分かる)
- ・定義域を書いた
- ・示したいことを最初に述べた
- ・単調増加と f(0) = 0 を結びつけた(ここが論理の要)
- ・∴ で結論を明示した
- 内容は同じでも、後者は途中で計算を間違えても部分点が来る。前者は来ない。
別解・ほかの見方
- 方針を冒頭に1行書く(採点者が読む姿勢を作れる)
- 図・表・増減表を使う(言葉より速く正確に伝わる)
- 完答できない場合、『ここまでは示せた』と書いて区切る
- 計算が長くなる部分は、結果だけ書いて別枠で計算する(本筋が読みやすくなる)
落とし穴
- 文字を宣言せずに使う
- 定義域・条件を書かない
- 定理名を書かず『よって』で済ませる
- 結論を書かずに計算で終わる
- 解けなかった問題を白紙で出す(方針だけでも部分点の可能性がある)
- 字が読めない、消しゴムの跡で判別できない
- 計算だけが並び、何を求めているかが読み手に伝わらない
なぜ大事か
同じ実力で15〜25点変わる領域。図・宣言(〜とおく)・結論の明示の3点
東大での出方
東大の採点基準は非公表だが、開示得点と自己採点のずれの多くはここに由来する。特に論証問題では、結論が合っていることより過程が通っていることが重視される。過去問を解いたら、答え合わせだけでなく『この答案は他人が読めるか』を必ず点検すること。
確認問題
- 自分の答案を1週間後に読み返し、宣言・根拠・結論が揃っているか確認せよ
- 上の証明を、定義域と定理名を入れて自分で書き直せ
- 完答できなかった過去問について、部分点が来る形で書き直してみよ
発展
採点者の立場で自分の答案を読む訓練。可能なら他人に読んでもらい、どこで詰まったかを聞く。これが最も効率のよい改善方法になる。
前提になるノード
このノードを前提にするノード
「メタ技能」のノード
- 実験する手癖(n=1,2,3 を書き出す)
- 対称性を利用して場合を減らす
- 極限の3種の神器(はさみうち・区分求積・漸化式評価)
- 未知を既知に帰着させる(言い換えの技術)
- 場合分けを漏らさない・同値性を保つ記述
- 減点されない答案の書き方
- 計算の設計と検算(次数・単位・特殊値)
- 150分の運用(大問の選択と撤退の判断)
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。