【東大型】整数の論証
アプリで開く →
進み具合を記録できるアプリ版です(ノード単位の直リンクはありません)
要点
東大の整数は『解を求めよ』より『存在しないことを示せ』『〜であることを示せ』の比重が大きい。つまり証明として完結させる力を測っており、具体例をいくつか確認しただけでは点にならない。使える手段は合同式・因数分解・評価の3つで、どれを選ぶかは問題の形がほぼ決めている。手が止まるのは発想が足りないからではなく、この対応表を持っていないか、小さい場合の実験を飛ばしているかのどちらかである。
こんなときに使う
- 『割った余り』『倍数である』『存在しない』→ 合同式(法をいくつに取るかが本体)
- 『積 = 定数』の形に変形できる → 因数分解して約数を調べる
- 『解をすべて求めよ』で候補が無限にある → 評価で有限化
- 『すべての自然数 n について』→ 数学的帰納法
- 素数が絡む → 素数の定義(p が ab を割るなら p は a か b を割る)に戻る
- 平方数が絡む → mod 3, 4, 8 を試す(平方数の取りうる余りが限られる)
手順
- 1. 何を示すのかを確定する(存在/非存在/すべての解/ある性質)
- 2. n = 1, 2, 3 で実験し、構造を掴む(ここを飛ばすと手段を選べない)
- 3. 3手段のどれが効くか試す。1つで決まらなければ組み合わせる
- 4. 証明として書く。仮定から結論への流れを切らさない
- 5. 『〜としてよい』『〜だから〜である』と書いた箇所すべてに根拠があるか点検する
例題
n を自然数とするとき、n² + n + 1 は 5 の倍数にならないことを示せ。
解答
- 5 の倍数かどうかが問題なので、n を 5 で割った余りで分類する。
- n ≡ 0, 1, 2, 3, 4 (mod 5) のいずれかであり、それぞれについて n² + n + 1 を mod 5 で計算する。
- n ≡ 0 のとき:0 + 0 + 1 ≡ 1
- n ≡ 1 のとき:1 + 1 + 1 ≡ 3
- n ≡ 2 のとき:4 + 2 + 1 = 7 ≡ 2
- n ≡ 3 のとき:9 + 3 + 1 = 13 ≡ 3
- n ≡ 4 のとき:16 + 4 + 1 = 21 ≡ 1
- いずれの場合も n² + n + 1 ≢ 0 (mod 5)。
- ∴ n² + n + 1 は 5 の倍数にならない。(証明終)
- 【なぜ mod 5 か】問われているのが 5 の倍数性だから。ここは迷う余地がない。
- 【なぜ5通りで尽くせるか】どんな整数も 5 で割った余りは 0〜4 のいずれかであり、
- 合同式は積と和を保つので、余りだけで n²+n+1 の余りが決まる。ここが合同式を使う理由そのもの。
別解・ほかの見方
- 合同式で決まらないときは法を変える(mod 3 で駄目なら mod 4, 8, 9 を試す)
- 因数分解して積の形にし、約数を全部調べる
- 評価で有限化してから、残りを合同式で潰す
- 背理法 + 無限降下(『最小の解を取る』と宣言してから議論を始める)
- 数学的帰納法。示したい命題が弱すぎて回らないときは、より強い命題を立てて帰納する
落とし穴
- 具体例で確認して満足し、一般の証明を書かない(東大では点にならない)
- 『x² が3の倍数 ⇒ x が3の倍数』に、3 が素数であることの言及がない
- mod の取り方を1つ試して諦める
- 場合分けが網羅的であることを示さない
- 合同式で両辺を割ってしまう(法と互いに素なときしか割れない)
- 具体例で確認して終わりにし、一般の証明を書かない
なぜ大事か
合同式・因数分解・評価の3手段から選ぶ。証明として完結させる力を測ってくる
東大での出方
単独の大問になる年が多く、誘導が薄いのが特徴。(1) で小さい場合を実験させ、(2) で一般の証明を書かせる構成が典型。(1) は答えを出すための問いではなく、(2) の方針を発見させるために置かれている。
確認問題
- n³ - n が 6 の倍数であることを示せ
- 連続する2つの整数は互いに素であることを示せ
- n² を 4 で割った余りは 0 か 1 に限ることを示し、それを使って x² + y² = 2003 に整数解がないことを示せ
発展
複数の法を同時に使って絞る。mod 4 と mod 9 の両方の条件を並べると候補が急激に減る。中国剰余定理は範囲外だが、条件を並べて絞るだけなら高校範囲で書ける。
前提になるノード
このノードを前提にするノード
「出題テーマ」のノード
- 【東大型】確率の状態設計
- 【東大型】整数の論証
- 【東大型】通過領域・存在条件
- 【東大型】立体の体積
- 【東大型】複素数平面と図形
- 【東大型】評価と極限の融合
- 【東大型】空間図形の最大最小
- 【東大型】関数の決定・不等式の成立条件
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。