高校化学 要点・解法ノート
差がつく

油脂の構造とけん化価・ヨウ素価

着眼点油脂はグリセリン1分子+脂肪酸3分子のエステル。けん化に KOH は3 mol。ヨウ素価は C=C の数を測る。

\ce{C3H5(OCOR)3 + 3KOH -> C3H5(OH)3 + 3RCOOK}
  • けん化価:油脂 1\ \mathrm{g} のけん化に必要な KOH の mg 数。分子量 M なら \dfrac{3\times56\times10^3}{M}(分子量が小さいほど大きい)。
  • ヨウ素価:油脂 100\ \mathrm{g} に付加する \ce{I2} の g 数。C=C が多いほど大きい。
  • 常温で固体の脂肪は飽和脂肪酸が多く、液体の脂肪油は不飽和脂肪酸が多い。脂肪油に水素を付加して固体にしたものが硬化油。
脂肪酸示性式C=C の数
パルミチン酸\ce{C15H31COOH}0
ステアリン酸\ce{C17H35COOH}0
オレイン酸\ce{C17H33COOH}1
リノール酸\ce{C17H31COOH}2
リノレン酸\ce{C17H29COOH}3
例題
1
原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{O}=16,\ \ce{K}=39,\ \ce{I}=127 とする。オレイン酸だけからなる油脂(分子式 \ce{C57H104O6})のけん化価とヨウ素価を整数で求めよ。
解答
分子量 =12\times57+1.0\times104+16\times6=684+104+96=884。
けん化価:1\ \mathrm{g} は \dfrac{1}{884}\ \mathrm{mol}、KOH(式量 56)はその3倍。\dfrac{3\times56\times10^3}{884}=190.0\ldots より 190。
ヨウ素価:オレイン酸1個に C=C が1つ、油脂1分子で3つ。100\ \mathrm{g} は \dfrac{100}{884}\ \mathrm{mol}、\ce{I2}(分子量 254)はその3倍。\dfrac{100\times3\times254}{884}=86.2\ldots より 86。
(検算:884\times190=167960\fallingdotseq168000=3\times56\times10^3。884\times86=76024\fallingdotseq76200=100\times3\times254。)
確認問題
1
けん化価が大きい油脂は、分子量が大きいか小さいか。
答え
小さい(同じ1 gでも物質量が多いので KOH が多く要る)。

「脂肪族化合物」の項目

  1. 元素分析 → 組成式 → 分子式必須
  2. 構造異性体の数え方と不飽和度必須
  3. 立体異性体(シス・トランス異性体と鏡像異性体)差がつく
  4. アルカン:置換反応差がつく
  5. アルケン:付加反応と製法必須
  6. アルキン:アセチレンの付加反応必須
  7. オゾン分解・マルコフニコフ則不要
  8. アルコールの級数と酸化・エーテル必須
  9. アルデヒド・ケトンと検出反応(銀鏡・フェーリング・ヨードホルム)必須
  10. カルボン酸:酸の強さ・ギ酸・酢酸・マレイン酸必須
  11. エステル化・加水分解・けん化必須
  12. 油脂の構造とけん化価・ヨウ素価差がつく
  13. セッケンと合成洗剤必須

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