高校化学 要点・解法ノート
化学基礎・化学を、要点・例題・確認問題でまとめた持ち運び用ノート。ネット不要・この1ファイルだけで開ける。
すべての項目に3段階の線引き
必須 共通テスト〜地方国公立の基本。ここが抜けると他が崩れる。
差がつく 合格ラインを超えるための型。必須が固まってから。
右上のメニューで「必須だけ/必須+差がつく/すべて」を切り替え。「理解した」にチェックすると項目が隠れ、単元ごとの進み具合が出る(記録はこの端末のブラウザに保存)。
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物質の構成 純物質と混合物を見分け、混合物は性質の違いで分離する。元素と単体の言い分け、同素体、炎色反応と成分元素の検出までの暗記中心の単元。
純物質と混合物・分離 着眼点 「1種類の物質だけか」で判定。化学式が1つで書けるなら純物質。名前が「〜水」「〜酸(の水溶液)」「空気」なら疑う。
分類 特徴 例 純物質(単体) 1種類の元素だけでできる \ce{O2} 、\ce{Fe} 、ダイヤモンド純物質(化合物) 2種類以上の元素が一定の割合で結合 \ce{H2O} 、\ce{NaCl} 、ドライアイス(\ce{CO2} )混合物 2種類以上の物質が混ざる。組成が一定でない 空気、海水、塩酸、石油、牛乳
例題
1 次を純物質と混合物に分けよ。空気、塩酸、ドライアイス、海水、氷水、エタノール
解答 純物質: ドライアイス(\ce{CO2} )、氷水(氷も水も \ce{H2O} )、エタノール 混合物: 空気、塩酸(\ce{HCl} の水溶液)、海水
ポイント 純物質は融点・沸点が一定、混合物は一定でない。状態変化中に温度が一定なら純物質。
注意 「氷水」は状態が2つでも物質は \ce{H2O} 1種類なので純物質。「塩酸」は \ce{HCl} の水溶液なので混合物。
着眼点 何の性質の差を使うか(粒の大きさ・沸点・溶解度・昇華性・溶媒への溶けやすさ・吸着のしやすさ)で選ぶ。
方法 使う性質の差 例 ろ過 固体と液体(ろ紙を通るか) 砂の混じった水から砂を除く 蒸留 沸点(固体が溶けた液体から液体を取り出す) 海水から水を得る 分留(分別蒸留) 沸点(液体どうしの混合物) 原油からガソリン・灯油などを分ける、液体空気から窒素と酸素 再結晶 温度による溶解度の差 少量の \ce{CuSO4} を含む \ce{KNO3} の精製 昇華法 昇華しやすさ ヨウ素と砂の混合物からヨウ素 抽出 溶媒への溶けやすさ ヨウ素水からヘキサンでヨウ素、茶葉から湯で成分 クロマトグラフィー ろ紙などへの吸着のしやすさ 水性ペンのインクの色素
例題
1 次の分離に最も適した方法は。(1) ヨウ素と砂 (2) 原油 (3) 水性ペンの黒インクの色素 (4) 砂を含む食塩から食塩
解答 (1) 昇華法 (2) 分留 (3) クロマトグラフィー (4) 水に溶かしてろ過し、ろ液を蒸発(ろ過+蒸発)
ポイント 「液体を取り出す」なら蒸留系、「固体を純粋に」なら再結晶、「固体が気体になる」なら昇華法、と出口で選ぶ。
注意 分留と蒸留の区別: 液体どうしの混合物を沸点の違いで分けるのが分留。
着眼点 装置図の正誤問題で問われるのは毎回同じ5点。図を見たらこの5点を順に指で確認する。
温度計の球部は枝付きフラスコの枝の付け根 の高さ(出ていく蒸気の温度を測る) 沸騰石 を入れる(突沸を防ぐ)フラスコの液量は半分以下 リービッヒ冷却器の冷却水は下から入れて上から出す (冷却器内を水で満たす) 受け器(三角フラスコ)は密栓しない (アルミ箔などで軽くふさぐ。密栓すると内圧が上がって危険) 例題
1 蒸留装置で、温度計の球部を液体の中に入れた。何がまずいか。
解答 測りたいのは枝から出ていく蒸気の温度。液中だと留出している物質の沸点が分からない。球部は枝の付け根の高さにする。
ポイント 「温・沸・半・下上・密栓×」と5点を唱えて確認させる。
確認問題
1 リービッヒ冷却器の冷却水を上から入れると何が困るか。
答え 冷却器の中が水で満たされず、冷却効率が落ちる(下から入れて上から出す)
着眼点 ろ過は器具の当て方、再結晶は「溶解度が温度で大きく変わる物質ほど向く」の一点。
ろ過: 液はガラス棒を伝わらせて 注ぐ。ろうとの先の長いほうをビーカーの内壁につける 。ろ紙はろうとに水でぬらして密着させる。 再結晶: 高温で飽和に近い溶液をつくり冷却 → 溶解度の差の分だけ結晶が出る。不純物は少量なので溶液中に残る。 例題
1 少量の硫酸銅(Ⅱ)を含む硝酸カリウムを再結晶で精製できる理由を述べよ。
解答 \ce{KNO3} は温度による溶解度の変化が大きいので冷却で多く析出する。一方 \ce{CuSO4} は少量なので冷却後も飽和に達せず溶液に残るから。
注意 \ce{NaCl} は温度による溶解度の変化が小さく、冷却による再結晶には向かない(蒸発で取り出す)。
元素・単体・同素体 着眼点 「実際に取り出せる物質そのもの」なら単体、「成分として含まれる種類」なら元素。
文 意味 理由 骨や歯にはカルシウム が多く含まれる 元素 金属のCaの塊が入っているわけではない(成分) 水を電気分解すると水素 が発生する 単体 \ce{H2} という物質が出てくる酸素 は水の成分である元素 水の中に \ce{O2} はない 空気中の窒素 は約78%を占める(体積) 単体 \ce{N2} という気体
例題
1 「アンモニアは窒素と水素からできている」の窒素は元素か単体か。
解答 元素。アンモニア \ce{NH3} の成分を言っている(\ce{N2} が入っているわけではない)。
2 「アンモニアは窒素と水素から工業的につくられる」の窒素は。
解答 単体。原料として \ce{N2} という物質を使うから。
ポイント 「その物質を瓶に入れて持ってこられるか」と問いかける。持ってこられれば単体。
着眼点 同じ元素の単体で性質が違うもの。出てくるのはほぼ S・C・O・P の4元素。
元素 同素体 S(硫黄) 斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄 C(炭素) ダイヤモンド、黒鉛、フラーレン(\ce{C60} など)、カーボンナノチューブ O(酸素) 酸素 \ce{O2} 、オゾン \ce{O3} P(リン) 黄リン(白リン)、赤リン
例題
1 互いに同素体である組をすべて選べ。(a) 酸素とオゾン (b) 水と過酸化水素 (c) \ce{^{12}C} と \ce{^{13}C} (d) 黄リンと赤リン
解答 (a)(d)。(b) は化合物どうし、(c) は同位体(原子の話)。
ポイント 「SCOP(スコップ)」で4元素を覚える。
注意 同素体=単体 どうし、同位体=原子 どうし。混同させる選択肢が定番。黄リンは空気中で自然発火するので水中に保存。
着眼点 7元素の色を表で丸暗記。白金線に試料をつけてガスバーナーの外炎に入れる。
元素 Li Na K Ca Sr Ba Cu 炎の色 赤 黄 赤紫 橙赤 紅(深赤) 黄緑 青緑
例題
1 ある白色粉末の水溶液を白金線につけて炎に入れると黄色の炎が見えた。含まれる元素は。
解答 Na(ナトリウム)
ポイント 語呂「リアカー(Li赤)無き(Na黄)K村(K赤紫)、動力(Cu緑)借りるとう(Ca橙)とするも(Sr紅)くれない、馬力(Ba黄緑)」などで覚える。花火の色の原理。
注意 Mg は炎色反応を示さない(「アルカリ土類=全部示す」と覚えるとミスする)。
着眼点 「何を加えて」「何が見えたら」その元素か、のセットで覚える。
元素 操作 結果 Cl 硝酸銀水溶液を加える 白色沈殿 \ce{AgCl} C 燃焼させ、生じた気体を石灰水に通す 石灰水が白く濁る(\ce{CO2} → \ce{CaCO3} ) H 燃焼させて生じた液体を塩化コバルト紙につける 青色 → 淡赤色(水ができた) Na など 炎色反応 Na なら黄色
例題
1 水溶液に硝酸銀水溶液を加えると白色沈殿が生じた。含まれる元素は何か。また沈殿の化学式は。
解答 塩素 Cl。\ce{Ag+ + Cl- -> AgCl v}
状態変化と熱運動 着眼点 状態変化の名前6つと、変化中は温度が一定になること。
変化 名前 固体 → 液体 / 液体 → 固体 融解 / 凝固 液体 → 気体 / 気体 → 液体 蒸発 / 凝縮 固体 → 気体 / 気体 → 固体 昇華 / 凝華
例題
1 氷を一定の熱量で加熱し続けたとき、0℃で温度がしばらく一定になる理由を述べよ。
解答 加えた熱が粒子の熱運動を激しくする(温度を上げる)ことに使われず、粒子間の結びつきを断つ(融解する)ことに使われるから。
ポイント 昇華しやすい物質: ドライアイス、ヨウ素、ナフタレン、パラジクロロベンゼン。
注意 「気体 → 固体」は現行の教科書では「凝華」。古い参考書では「昇華」とまとめている。
着眼点 別の物質ができたら化学変化。状態が変わるだけ・溶けるだけなら物理変化。
例題
1 化学変化をすべて選べ。(a) 鉄がさびる (b) ドライアイスが小さくなる (c) 砂糖が水に溶ける (d) 紙が燃える (e) 水を電気分解する
解答 (a)(d)(e)。(b) は昇華、(c) は溶解でどちらも物理変化。
注意 「溶ける」は物理変化だが、金属が酸に「溶ける」(気体が出る)は化学変化。
着眼点 粒子は温度が高いほど激しく熱運動する。絶対温度は T\,[\mathrm{K}] = t\,[{}^\circ\mathrm{C}] + 273 。
-273\ {}^\circ\mathrm{C} (0\ \mathrm{K} )が熱運動の止まる最低温度(絶対零度)。拡散は熱運動による。
例題
解答 27+273=300\ \mathrm{K} 、200-273=-73\ {}^\circ\mathrm{C}
着眼点 R_f = \dfrac{\text{原点から斑点の中心までの距離}}{\text{原点から溶媒の先端までの距離}}
例題
1 溶媒が原点から 8.0 cm、色素の斑点が 2.0 cm 移動した。Rf 値は。
解答 2.0 \div 8.0 = 0.25
ポイント 不要の理由: 化学基礎では「吸着のしやすさの違いで分ける」と言えれば十分で、Rf の計算はまれ。例外: アミノ酸の分離などを扱う「化学」の有機・生化学分野で出題する大学では確認しておく。
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原子の構造と周期表 陽子・中性子・電子の数え方、同位体と原子量、電子配置と価電子、周期表の並びとイオン化エネルギー・電子親和力・電気陰性度の傾向をまとめる。
原子の構造と同位体 着眼点 左上が質量数、左下が原子番号。原子番号=陽子数(=中性の原子の電子数)、中性子数=質量数−原子番号。
\ce{^{A}_{Z}X}\qquad A=\text{陽子数}+\text{中性子数},\quad Z=\text{陽子数} 陽子は正、電子は負の電荷(大きさは等しい)。中性子は電荷なし。 陽子と中性子の質量はほぼ等しく、電子の質量はその約 1/1840。原子の質量はほぼ原子核の質量。 イオンは電子の数だけが変わる。陽イオンは電子を失い、陰イオンは電子を受け取る。 例題
1 \ce{^{37}_{17}Cl} の陽子・中性子・電子の数は。
解答 陽子 17、中性子 37-17=20 、電子 17(中性の原子なので陽子数と同じ)
2 \ce{^{27}_{13}Al^3+} の陽子・中性子・電子の数は。
解答 陽子 13、中性子 27-13=14 、電子 13-3=10 (3個失って3価の陽イオン)
ポイント 「電荷の符号の逆に電子が動く」: + なら電子が減る、- なら電子が増える。
注意 中性子数を「質量数そのもの」と答えるミスが多い。必ず引き算する。
確認問題
1 \ce{^{16}_{8}O^2-} の電子の数は。
答え 10(陽子8+受け取った電子2)
2 \ce{^{40}_{20}Ca^2+} の中性子の数は。
答え 20(40-20 。イオンになっても中性子数は変わらない)
着眼点 同位体=陽子数が同じで中性子数が違う原子(化学的性質はほぼ同じ)。原子量は同位体の相対質量を存在比で平均した値。
\text{原子量}=\sum(\text{相対質量}\times\text{存在比}) 相対質量の基準は \ce{^{12}C}=12 (ちょうど)。 同位体(原子の話)と同素体(単体の話。\ce{O2} とオゾン \ce{O3} 、ダイヤモンドと黒鉛)を混同しない。 例題
1 塩素には相対質量 35.0 の \ce{^{35}Cl} が 75.0%、37.0 の \ce{^{37}Cl} が 25.0% 存在する。塩素の原子量を求めよ。
解答 35.0\times0.750+37.0\times0.250=26.25+9.25=35.5 答え 35.5
2 銅の同位体は \ce{^{63}Cu} (相対質量 63.0)と \ce{^{65}Cu} (65.0)の2種類で、銅の原子量は 63.5 である。\ce{^{63}Cu} の存在比は何%か。
解答 \ce{^{63}Cu} の存在比を x とすると63.0x+65.0(1-x)=63.5 65.0-2.0x=63.5 より x=0.75 答え 75%(検算: 63\times0.75+65\times0.25=47.25+16.25=63.5 )
ポイント 存在比を x と 1-x でおくと1文字で済む。答えが相対質量の間に入っているか必ず確かめる。
注意 分子の種類を数える問題(\ce{^{35}Cl} と \ce{^{37}Cl} からできる \ce{Cl2} は何種類か)は組合せ: \ce{^{35}Cl^{35}Cl} , \ce{^{35}Cl^{37}Cl} , \ce{^{37}Cl^{37}Cl} の3種類。
確認問題
1 同位体どうしで異なるものは、陽子数・中性子数・電子数・質量数のうちどれか。
答え 中性子数と質量数(陽子数・電子数は同じ)
着眼点 半減期ごとに量が半分。「何分の1になったか」を \left(\frac{1}{2}\right)^n で表し、n を求める。
\text{残っている量}=\text{はじめの量}\times\left(\frac{1}{2}\right)^{t/T}\quad(T:\text{半減期}) \ce{^{14}C} は \beta 線を出して \ce{^{14}N} に変わる(半減期 約5730年)。年代測定に使う。例題
1 \ce{^{14}C} の半減期を5730年とする。ある木片の \ce{^{14}C} の割合が、生きている木の \frac{1}{8} になっていた。この木が切られてからおよそ何年たったか。有効数字2桁で答えよ。
解答 \frac{1}{8}=\left(\frac{1}{2}\right)^3 なので半減期3回分5730\times3=17190 答え 約 1.7\times10^4 年
注意 「\frac{1}{8} になった」を「\frac{1}{8} 減った」と読み違えない。
確認問題
1 半減期 10 日の放射性同位体が 30 日後に残っている割合は。
答え \frac{1}{8} (3回半分になる)
電子配置 着眼点 K殻2、L殻8、M殻は(原子番号20まででは)8で次のN殻へ。最外殻電子のうち結合に関わるのが価電子(貴ガスは0)。
電子殻の最大収容数は 2n^2 (K: 2, L: 8, M: 18, N: 32)。 原子番号19の K、20の Ca は M殻に8個入ったあと N殻に入る。 価電子の数=族番号の1の位(1, 2, 13〜17族)。18族は0。 原子 K L M N 価電子 \ce{C} (6)2 4 4 \ce{O} (8)2 6 6 \ce{Ne} (10)2 8 0 \ce{Na} (11)2 8 1 1 \ce{Cl} (17)2 8 7 7 \ce{Ar} (18)2 8 8 0 \ce{K} (19)2 8 8 1 1 \ce{Ca} (20)2 8 8 2 2
ポイント 1〜20番は「水兵リーベ僕の船 七曲がりシップス クラークか」で周期表ごと書けるようにする。書ければ電子配置は横の位置から読める。
注意 貴ガスの価電子は「最外殻電子8(Heは2)」だが価電子としては0と数える。
確認問題
2 最外殻電子が7個の原子を原子番号20までですべて挙げよ。
答え F, Cl
着眼点 原子は近くの貴ガスと同じ電子配置になるように電子を出し入れする。同じ電子配置なら、陽子が多いほど小さい。
1, 2, 13族 → 価電子を失って陽イオン(\ce{Na+} , \ce{Mg^2+} , \ce{Al^3+} )。 16, 17族 → 電子を受け取って陰イオン(\ce{O^2-} , \ce{F-} , \ce{S^2-} , \ce{Cl-} )。 \ce{Ne} 型: \ce{O^2-} , \ce{F-} , \ce{Na+} , \ce{Mg^2+} , \ce{Al^3+} (どれも電子10個)\ce{Ar} 型: \ce{S^2-} , \ce{Cl-} , \ce{K+} , \ce{Ca^2+} (どれも電子18個)例題
1 \ce{O^2-} , \ce{F-} , \ce{Na+} , \ce{Mg^2+} , \ce{Al^3+} をイオン半径の大きい順に並べよ。
解答 すべて電子10個(Ne型)。陽子数 O 8 < F 9 < Na 11 < Mg 12 < Al 13 で、陽子が多いほど電子を強く引きつけて小さくなる。 答え \ce{O^2-} > \ce{F-} > \ce{Na+} > \ce{Mg^2+} > \ce{Al^3+}
ポイント 原子とそのイオンの大きさ: 陽イオンは原子より小さく(最外殻が1つ減る)、陰イオンは原子より大きい。
確認問題
1 \ce{K+} と同じ電子配置の陰イオンを2つ。
答え \ce{Cl-} , \ce{S^2-} (Ar型・電子18個)
着眼点 電子殻をさらに s・p・d 軌道に分けて、遷移元素の電子配置や第一イオン化エネルギーの凹凸を説明する考え方。
K殻: 1s、L殻: 2s 2p、M殻: 3s 3p 3d … 4s は 3d より先に埋まる。 例題
1 K(原子番号19)の最後の電子が 3d ではなく 4s に入ることを、電子殻の言葉で言うと。
解答 M殻に8個入ったところで、次の電子はN殻に入る(4s が 3d よりエネルギーが低いため)。
ポイント 不要の理由: 化学基礎・化学の教科書では発展扱いで、地方国公立の入試で軌道そのものを問うことは稀。例外: 難関大・医学部の論述や、遷移元素の電子配置を書かせる大学では必要。
周期表と周期律 着眼点 縦が族(性質が似る)、横が周期(電子殻の数)。左下ほど金属性、右上ほど非金属性(貴ガスを除く)。
名前 位置 特徴 アルカリ金属 1族(Hを除く) 価電子1。1価の陽イオン。水と激しく反応 アルカリ土類金属 2族 価電子2。2価の陽イオン ハロゲン 17族 価電子7。1価の陰イオン。単体は二原子分子 貴ガス 18族 安定な電子配置。単原子分子 典型元素 1, 2, 13〜18族 族ごとに性質がよく似る 遷移元素 3〜12族 すべて金属。横の元素どうしも似る
例題
1 次のうち遷移元素はどれか。Na, Fe, Al, Cu, Ca, Zn
解答 Fe(8族)、Cu(11族)、Zn(12族)
ポイント 「H は1族だが非金属」「2族は Be, Mg も含めてアルカリ土類金属(現行課程)」の2点を押さえる。
注意 同じ周期の元素は性質が似ない。似るのは同じ族。
着眼点 原子から電子1個を取り去って1価の陽イオンにするエネルギー。小さいほど陽イオンになりやすい。
同じ周期: 右へ行くほど大きくなる傾向。最大は各周期の貴ガス(全元素で最大は He)。 同じ族: 下へ行くほど小さい(最外殻が原子核から遠くなる)。 各周期で最小はアルカリ金属。 例題
1 Li, Na, K を第一イオン化エネルギーの大きい順に並べよ。
解答 同族は下ほど小さいので \ce{Li} > \ce{Na} > \ce{K}
2 原子番号1〜20の第一イオン化エネルギーのグラフで、山の頂点と谷の底にあたる元素はそれぞれ何族か。
解答 山の頂点は18族(He, Ne, Ar)、谷の底は1族(Li, Na, K)
注意 「エネルギーが大きい=イオンになりやすい」ではない。逆。陽イオンへのなりやすさ=イオン化エネルギーが小さいこと。
確認問題
1 第3周期で第一イオン化エネルギーが最大・最小の元素は。
答え 最大 Ar、最小 Na
着眼点 原子が電子1個を受け取って1価の陰イオンになるときに放出するエネルギー。大きいほど陰イオンになりやすい。
17族(ハロゲン)で大きい。 貴ガスは電子を受け取りにくく小さい。 例題
1 イオン化エネルギーと電子親和力の定義の違いを、「吸収」「放出」を使って一言で。
解答 イオン化エネルギーは電子を取り去るのに吸収するエネルギー、電子親和力は電子を受け取るときに放出するエネルギー。
ポイント 「陽イオン=イオン化エネルギー(小さいほどなりやすい)」「陰イオン=電子親和力(大きいほどなりやすい)」の対で覚える。
注意 電子親和力が最大なのは F ではなく Cl。電気陰性度の最大(F)と混同しない。
着眼点 共有結合している原子が共有電子対を引きつける強さ。右上ほど大きい(貴ガスは除いて考える)。最大は F。
おもな大小: \ce{F} > \ce{O} > \ce{N},\ \ce{Cl} > \ce{C} > \ce{H} (金属元素は小さい)
差が大きい原子どうしの結合ほど極性が大きい。 差が非常に大きい(金属と非金属)とイオン結合になる。 例題
1 H−F, H−Cl, H−Br の結合を極性の大きい順に並べよ。
解答 ハロゲンの電気陰性度は F > Cl > Br なので、H との差もこの順に大きい。 答え H−F > H−Cl > H−Br
ポイント 「フォンクル」F > O > N, Cl と唱える。結合の極性・水素結合・酸化数の決め方すべてに使う。
注意 電気陰性度は「結合している原子」の性質。単独の原子の電子の受け取りやすさは電子親和力。
確認問題
1 \ce{H2O} で共有電子対が引き寄せられているのはどちらの原子か。
答え O(電気陰性度が H より大きい)
着眼点 同じ族は下ほど大きい(電子殻が増える)。同じ周期は右ほど小さい(陽子が増えて電子を強く引く)。
例題
1 Na, Mg, Cl, K を原子半径の大きい順に並べよ。
解答 K は第4周期で最大。第3周期の中では左ほど大きい。 答え \ce{K} > \ce{Na} > \ce{Mg} > \ce{Cl}
ポイント イオン化エネルギーの傾向とちょうど逆向き(半径が大きいほど電子が取れやすい)と結びつけると忘れない。
不要 第一イオン化エネルギーの細かい凹凸(Be > B、N > O) 着眼点 同じ周期で右ほど大きくなる中で、2族→13族、15族→16族でいったん下がる。
例題
1 Be, B, N, O のうち、右隣の元素より第一イオン化エネルギーが大きいものを2つ。
解答 Be(> B)と N(> O)
ポイント 不要の理由: 理由の説明に s・p 軌道が必要で、化学基礎の範囲を超える。例外: グラフを読み取る問題は共通テストでも出うるので、「右上がりだが小さなギザギザがある」という形だけは見て知っておく。難関大の論述では理由まで必要。
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化学結合 元素の組合せで結合の種類を見抜き、電子式・構造式から分子の形と極性を判断する。分子間力で沸点を比べ、結晶の種類ごとの性質を整理する。
結合の種類 着眼点 金属元素+非金属元素ならイオン結合、非金属元素どうしなら共有結合、金属元素だけなら金属結合。
組合せ 結合 例 金属+非金属 イオン結合 \ce{NaCl} , \ce{MgO} , \ce{CaCl2} 非金属+非金属 共有結合 \ce{H2O} , \ce{CO2} , \ce{CH4} , ダイヤモンド金属だけ 金属結合 \ce{Fe} , \ce{Cu} , \ce{Na}
例題
1 次の物質の中の結合をすべて答えよ。(1) \ce{KCl} (2) \ce{NH3} (3) \ce{NH4Cl} (4) \ce{Al}
解答 (1) イオン結合 (2) 共有結合 (3) \ce{NH4+} 内の共有結合(うち1本は配位結合)と、\ce{NH4+} と \ce{Cl-} のイオン結合 (4) 金属結合
注意 例外は \ce{NH4+} を含む塩。非金属元素だけでできているのにイオン結合をもつ。
確認問題
1 \ce{Na2SO4} に含まれる結合の種類を2つ。
答え イオン結合(\ce{Na+} と \ce{SO4^2-} )と共有結合(\ce{SO4^2-} の中の S−O)
着眼点 陽イオンと陰イオンの電荷の合計が0になる最も簡単な整数比で書く。名前は陰イオン→陽イオンの順に読む。
(\text{陽イオンの価数})\times(\text{陽イオンの数})=(\text{陰イオンの価数})\times(\text{陰イオンの数})
覚える多原子イオン 式 アンモニウムイオン \ce{NH4+} 水酸化物イオン \ce{OH-} 硝酸イオン \ce{NO3-} 硫酸イオン \ce{SO4^2-} 炭酸イオン \ce{CO3^2-} リン酸イオン \ce{PO4^3-} 炭酸水素イオン \ce{HCO3-} 酢酸イオン \ce{CH3COO-}
例題
1 アルミニウムイオンと硫酸イオンからなる物質の組成式と名前は。
解答 \ce{Al^3+} と \ce{SO4^2-} 。3\times2=2\times3 なので 2:3。 答え \ce{Al2(SO4)3} 、硫酸アルミニウム
2 \ce{Ca3(PO4)2} の名前と、含まれる陽イオン・陰イオンの数の比は。
解答 リン酸カルシウム。\ce{Ca^2+}:\ce{PO4^3-}=3:2 (2\times3=3\times2 で電荷が0)
ポイント 価数をたすき掛けにすると個数になる(\ce{Al^3+} , \ce{SO4^2-} → \ce{Al2(SO4)3} )。最後に約分できないか確認。
注意 多原子イオンを2個以上使うときはかっこを付ける。\ce{Ca(OH)2} を \ce{CaOH2} と書かない。
着眼点 不対電子どうしで電子対を共有する。原子価(H 1、O 2、N 3、C 4)が構造式の線の本数。
電子式: 元素記号のまわりに価電子を点で書く。 構造式: 共有電子対1組を1本の線(価標)で表す。二重結合は2本、三重結合は3本。 共有結合したあと、各原子は貴ガス型(Hは2個、ほかは8個)になる。 分子 構造式 共有電子対 非共有電子対 \ce{H2O} H−O−H 2 2 \ce{NH3} N に H が3本 3 1 \ce{CH4} C に H が4本 4 0 \ce{CO2} O=C=O 4 4 \ce{N2} N≡N 3 2 \ce{HCl} H−Cl 1 3
例題
1 \ce{CO2} の共有電子対と非共有電子対はそれぞれ何組か。
解答 O=C=O で二重結合が2つ → 共有電子対 2\times2=4 組。O は1つあたり非共有電子対2組 → 2\times2=4 組。
ポイント 非共有電子対の数=(価電子の合計 − 共有に使った電子)÷2。\ce{NH3} なら (5+3-6)\div2=1 。
着眼点 一方の原子の非共有電子対を、相手が一方的に受け入れてできる共有結合。できてしまえば普通の共有結合と区別できない。
\ce{NH3 + H+ -> NH4+}\qquad \ce{H2O + H+ -> H3O+} \ce{NH4+} の4本の N−H は同等(正四面体)。金属イオンに非共有電子対をもつ分子・イオン(配位子)が配位結合したものが錯イオン。例 \ce{[Cu(NH3)4]^2+} (深青色)。 例題
解答 \ce{H2O} の O は非共有電子対2組。そのうち1組を \ce{H+} との配位結合に使うので残り1組。
注意 「\ce{NH4+} の4本のうち1本だけ性質が違う」は誤り。でき方が違うだけ。
確認問題
1 配位結合をつくるために、電子を出す側に必要なものは。
答え 非共有電子対
着眼点 価電子が自由電子として金属全体を動き回り、陽イオンどうしを結びつける。性質はすべて自由電子で説明する。
性質 理由 電気・熱をよく導く 自由電子が移動できる 展性・延性(たたいて広がる・引きのばせる) 原子の位置がずれても自由電子が結びつけ続ける 金属光沢 自由電子が光を反射する
ポイント 「自由電子」という語を答案に必ず入れる。
分子の形と極性・分子間力 着眼点 中心原子のまわりの電子対(共有・非共有の両方)がなるべく離れる向きに並ぶ。形は原子の並びだけで呼ぶ。
分子 形 結合角 \ce{CH4} 正四面体形 約 109.5° \ce{NH3} 三角錐形 約 107° \ce{H2O} 折れ線形 約 104.5° \ce{CO2} 直線形 180° \ce{BF3} 平面正三角形 120°
例題
1 \ce{CH4} , \ce{NH3} , \ce{H2O} はどれも中心原子のまわりに電子対が4組あるのに形が違う。なぜか。
解答 電子対4組は四面体の方向に並ぶが、非共有電子対の位置には原子がない。非共有電子対が0組なら正四面体形、1組なら三角錐形、2組なら折れ線形に見える。
ポイント 「中心原子の電子対の数→並び方→非共有電子対を消す」の3手順。
確認問題
答え 折れ線形(O と同じ16族なので \ce{H2O} と同じ形)
着眼点 結合に極性があっても、形が対称で打ち消し合えば無極性分子。判定は「結合の極性」→「形」の2段階。
分類 例 理由 無極性(単体) \ce{H2} , \ce{N2} , \ce{Cl2} 同じ原子どうしで結合に極性がない 無極性(対称) \ce{CO2} , \ce{CH4} , \ce{CCl4} , \ce{BF3} 結合の極性が形で打ち消される 極性 \ce{HCl} , \ce{H2O} , \ce{NH3} , \ce{CH3Cl} 打ち消されない
例題
1 \ce{CH4} は無極性、\ce{CH3Cl} は極性分子である。理由を説明せよ。
解答 \ce{CH4} は4本の C−H が正四面体の対称な配置で極性が打ち消される。\ce{CH3Cl} は1本が C−Cl で極性の大きさが違うため打ち消されない。
ポイント 極性分子は水に溶けやすく、無極性分子は無極性の溶媒(ヘキサンなど)に溶けやすい(似たものは似たものに溶ける)。
注意 「\ce{CO2} は C=O に極性があるから極性分子」は誤り。直線形で打ち消される。
確認問題
1 \ce{H2O} と \ce{CO2} はどちらも三原子分子だが、極性が違うのはなぜか。
答え \ce{H2O} は折れ線形で打ち消されず極性、\ce{CO2} は直線形で打ち消されて無極性
着眼点 ①水素結合があるか(F・O・N に結合した H)→ ②分子量が大きいか → ③極性があるか、の順に比べる。
ファンデルワールス力: すべての分子にはたらく。分子量が大きいほど強い。極性分子は同程度の分子量の無極性分子より強い。 水素結合: 電気陰性度の大きい F, O, N に結合した H が、となりの分子の F, O, N に引きつけられる。ファンデルワールス力よりずっと強い。 例題
1 \ce{HF} , \ce{HCl} , \ce{HBr} , \ce{HI} を沸点の高い順に並べよ。
解答 \ce{HF} だけ水素結合をもち最も高い。残りは分子量が大きい順。 答え \ce{HF} > \ce{HI} > \ce{HBr} > \ce{HCl}
2 14族の水素化合物(\ce{CH4} , \ce{SiH4} , \ce{GeH4} , \ce{SnH4} )の沸点が、分子量の順にそのまま並ぶのはなぜか。
解答 すべて正四面体形の無極性分子で水素結合もないため、分子量(ファンデルワールス力)だけで決まるから。
ポイント 水素化合物の沸点のグラフ: 15・16・17族は第2周期(\ce{NH3} , \ce{H2O} , \ce{HF} )だけ跳ね上がる。14族は右上がりの一直線。
注意 水素結合は「分子の中」の O−H 結合ではなく「分子と分子の間」の引き合い。
確認問題
1 \ce{H2O} と \ce{H2S} で沸点が高いのはどちらか。理由も。
答え \ce{H2O} 。分子量は小さいが分子間に水素結合がある
着眼点 分子の形を軌道の混ざり方で説明する考え方。CH₄ は sp³、エチレンは sp²、アセチレンは sp。
例題
1 メタン・エチレン・アセチレンの炭素原子のまわりの形を、混成軌道を使わずに言うと。
解答 メタン: 正四面体形、エチレン: 平面(結合角約 120°)、アセチレン: 直線形
ポイント 不要の理由: 高校の教科書では発展扱いで、形は「電子対の反発」で十分に答えられる。例外: 難関大の論述や、有機化学の構造を軌道で説明させる大学では必要。
結晶の種類と性質 着眼点 粒子と結びつける力で4つに分ける。融点の高さと電気伝導性の有無がよく問われる。
結晶 粒子と力 融点 電気伝導性 例 イオン結晶 イオン・イオン結合 高い 固体はなし。融解液・水溶液はあり \ce{NaCl} , \ce{CaO} 共有結合の結晶 原子・共有結合 非常に高い なし(黒鉛だけあり) ダイヤモンド、黒鉛、\ce{Si} , \ce{SiO2} 分子結晶 分子・分子間力 低い(昇華するものもある) なし ドライアイス、ヨウ素、ナフタレン、氷 金属結晶 金属原子・金属結合 いろいろ あり \ce{Fe} , \ce{Cu} , \ce{Na}
例題
1 次の物質を融点の高い順に並べよ。\ce{NaCl} , ダイヤモンド, \ce{I2}
解答 共有結合の結晶 > イオン結晶 > 分子結晶 の順で 答え ダイヤモンド > \ce{NaCl} > \ce{I2}
ポイント 共有結合の結晶は「C, Si, SiO₂, SiC」だけと覚える。非金属だけでできていて、この4つでなければ分子結晶と判断してよい。
注意 イオン結晶は硬いがもろい(たたくと割れる)。金属の展性・延性と対比して問われる。
確認問題
1 \ce{SiO2} と \ce{CO2} の固体は同族の酸化物なのに融点が大きく違う。理由は。
答え \ce{SiO2} は共有結合の結晶、\ce{CO2} (ドライアイス)は分子結晶だから
着眼点 炭素原子1個あたりの共有結合が4本か3本か。残りの価電子1個が黒鉛の電気伝導性の理由。
ダイヤモンド 黒鉛 結合 4つの C と共有結合(正四面体の立体網目) 3つの C と共有結合(平面の層) 電気伝導性 なし あり(残りの価電子が層に沿って動く) 硬さ 非常に硬い やわらかく、はがれやすい(層の間は分子間力)
例題
解答 平面状の層の内部は共有結合だが、層と層の間は弱い分子間力で結びついているだけだから。
注意 ダイヤモンドと黒鉛は同位体ではなく同素体。
着眼点 氷は水素結合ですき間の多い構造をつくるので、液体の水より密度が小さい(氷が水に浮く)。
氷では1つの \ce{H2O} が4つの \ce{H2O} と水素結合し、正四面体の向きにつながる。 融解すると構造が一部くずれてすき間が埋まり、体積が減る。水の密度は約 4°C で最大。 例題
1 多くの物質は固体のほうが液体より密度が大きいのに、水は逆である。理由を述べよ。
解答 氷は水素結合で分子がすき間の多い立体構造に固定されるため、同じ質量で体積が大きくなるから。
着眼点 体心立方・面心立方・六方最密の配位数と粒子数、充填率・密度の計算。
格子 単位格子中の原子数 配位数 体心立方格子 2 8 面心立方格子 4 12 六方最密構造 (六角柱で)6 12
例題
1 面心立方格子の単位格子に含まれる原子の数を、頂点と面に分けて数えよ。
解答 頂点 \frac{1}{8}\times8=1 、面 \frac{1}{2}\times6=3 、合計4
ポイント 不要の理由: 化学基礎の範囲外(「化学」の固体の構造で扱う)。化学基礎だけで受ける人は不要。例外: 「化学」を受験する人は必須なので、化学の単元で改めて固める。
⚖️
物質量 原子量・分子量・式量から物質量(mol)を出し、粒子数・質量・気体の体積を自在に行き来する。モル濃度と質量パーセント濃度の換算、希釈、溶液の調製までをまとめる。
原子量・分子量と物質量 着眼点 化学式に含まれる原子の原子量をすべて足す。分子からなる物質は分子量、イオン結晶・金属は式量と呼ぶ。
原子量は \ce{^{12}C}=12 を基準にした相対質量の平均なので単位なし。 水和物は「・」以下の \ce{H2O} も含めて計算する。 例題
1 \ce{H2SO4} の分子量を求めよ。(H=1.0, O=16, S=32)
解答 1.0\times2+32+16\times4=2.0+32+64=98
2 硫酸銅(Ⅱ)五水和物 \ce{CuSO4.5H2O} の式量を求めよ。(H=1.0, O=16, S=32, Cu=63.5)
解答 \ce{CuSO4} : 63.5+32+64=159.5 \ce{5H2O} : 5\times18=90 合計 159.5+90=249.5
ポイント よく使う値は覚えておくと速い: \ce{H2O}=18 , \ce{CO2}=44 , \ce{NaCl}=58.5 , \ce{NaOH}=40 , \ce{CaCO3}=100 。ただし必ず問題文の原子量で確かめる。
確認問題
1 \ce{Ca(OH)2} の式量は。(H=1.0, O=16, Ca=40)
答え 40+(16+1.0)\times2=74
着眼点 どんな量もいったん mol に直してから計算する。粒子数・質量・気体の体積の3つが入口。
n\,[\mathrm{mol}]=\frac{N}{N_A}=\frac{w}{M}=\frac{V}{22.4} アボガドロ定数 N_A=6.0\times10^{23}\ \mathrm{/mol} モル質量 M [g/mol] は分子量・式量に g/mol を付けたもの。 気体のモル体積は 0°C, 1.013\times10^5\ \mathrm{Pa} (標準状態)で 22.4\ \mathrm{L/mol} (気体の種類によらない)。 例題
1 水 9.0 g の物質量と分子の数を求めよ。(H=1.0, O=16, N_A=6.0\times10^{23}\ \mathrm{/mol} )
解答 n=\frac{9.0}{18}=0.50\ \mathrm{mol} 分子数 0.50\times6.0\times10^{23}=3.0\times10^{23} 個
ポイント まず「何 mol か」を書く癖をつける。式を覚えるより、mol を中心に3方向へ矢印を引いた図を毎回書くほうが崩れない。
注意 22.4 L/mol は気体で、しかも標準状態のときだけ。液体の水 1 mol は 22.4 L ではない(約 18 mL)。
確認問題
1 標準状態で 5.6 L の窒素は何 mol か。
答え 5.6\div22.4=0.25\ \mathrm{mol}
着眼点 与えられた量 → mol → 求める量、の2段階で。分子中の原子の数を聞かれたら最後に個数倍する。
例題
1 二酸化炭素 11 g について次を求めよ。(1) 物質量 (2) 分子の数 (3) 標準状態での体積 (4) 含まれる酸素原子の数(C=12, O=16, N_A=6.0\times10^{23}\ \mathrm{/mol} )
解答 \ce{CO2}=44 (1) 11\div44=0.25\ \mathrm{mol} (2) 0.25\times6.0\times10^{23}=1.5\times10^{23} 個 (3) 0.25\times22.4=5.6\ \mathrm{L} (4) O は1分子に2個 → 0.25\times2=0.50\ \mathrm{mol} 、0.50\times6.0\times10^{23}=3.0\times10^{23} 個
2 標準状態で 2.24 L のメタン \ce{CH4} の質量は何 g か。(H=1.0, C=12)
解答 2.24\div22.4=0.100\ \mathrm{mol} 0.100\times16=1.6\ \mathrm{g}
注意 「原子の数」か「分子の数」かを問題文で必ず確認する。
確認問題
1 3.0\times10^{23} 個のアンモニア分子の質量は。(H=1.0, N=14, N_A=6.0\times10^{23}\ \mathrm{/mol} )
答え 0.50\ \mathrm{mol}\times17=8.5\ \mathrm{g}
差がつく 化学式の中の粒子の数(イオン・原子・電子) 着眼点 1 mol の化学式単位の中に、各粒子が何 mol 入っているかを化学式の添え字から読む。
例題
1 \ce{Al2(SO4)3} 0.10 mol を水に溶かしたとき、生じるイオンは合計何 mol か(完全に電離するとする)。
解答 \ce{Al2(SO4)3 -> 2Al^3+ + 3SO4^2-} 1 mol から 2+3=5 mol のイオン → 0.10\times5=0.50\ \mathrm{mol}
2 水 1.8 g に含まれる電子は何 mol か。(H=1.0, O=16)
解答 \ce{H2O} 1分子の電子は 1\times2+8=10 個。\ce{H2O} は 1.8\div18=0.10\ \mathrm{mol} → 電子 0.10\times10=1.0\ \mathrm{mol}
確認問題
1 \ce{CaCl2} 0.20 mol に含まれる \ce{Cl-} は何 mol か。
答え 0.40 mol
着眼点 標準状態の気体 1 mol は 22.4 L なので、密度 [g/L] に 22.4 を掛ければモル質量になる。
M=d\times22.4\quad(d:\text{標準状態での密度 [g/L]}) 例題
1 ある気体の標準状態での密度は 1.25 g/L である。この気体の分子量を求めよ。
解答 1.25\times22.4=28.0 答え 28(\ce{N2} や \ce{CO} が当てはまる)
確認問題
1 同温同圧で、ある気体の密度は酸素の2倍だった。分子量は。(O=16)
答え 32\times2=64
着眼点 各成分の分子量を物質量の割合(=同温同圧での体積の割合)で平均する。
\overline{M}=M_1x_1+M_2x_2+\cdots\quad(x:\text{物質量の割合})
例題
1 空気を窒素と酸素の物質量比 4:1 の混合気体とみなして、平均分子量を求めよ。(N=14, O=16)
解答 28\times\frac{4}{5}+32\times\frac{1}{5}=22.4+6.4=28.8
ポイント 平均分子量が 28.8 より大きい気体は空気より重い(下方置換)、小さい気体は空気より軽い(上方置換)。
注意 割合は質量の割合ではなく物質量(体積)の割合。
確認問題
1 水素とヘリウムを物質量比 1:1 で混ぜた気体の平均分子量は。(H=1.0, He=4.0)
答え 2.0\times0.5+4.0\times0.5=3.0
着眼点 ステアリン酸を水面に1層だけ広げ、膜の面積÷1分子の断面積で分子数を出し、物質量で割る。
例題
1 ステアリン酸 a mol が面積 S の単分子膜をつくり、1分子の断面積が s のとき、アボガドロ定数は。
解答 分子数は \frac{S}{s} 個なので N_A=\frac{S}{s\,a}
ポイント 不要の理由: 出題されることが少なく、出ても問題文の誘導どおりに比を立てれば解ける。例外: 実験考察型の問題を出す大学では一度経験しておく。
濃度と溶液の調製 着眼点 質量パーセント濃度の分母は「溶液」の質量、モル濃度の分母は「溶液」の体積(L)。溶媒ではない。
\text{質量パーセント濃度}=\frac{\text{溶質 [g]}}{\text{溶液 [g]}}\times100,\qquad \text{モル濃度 [mol/L]}=\frac{\text{溶質 [mol]}}{\text{溶液 [L]}}
例題
1 塩化ナトリウム 5.85 g を水に溶かして 250 mL にした。モル濃度を求めよ。(Na=23, Cl=35.5)
解答 \ce{NaCl}=58.5 → 5.85\div58.5=0.100\ \mathrm{mol} 0.100\div0.250=0.400\ \mathrm{mol/L}
2 水 80 g に塩化ナトリウム 20 g を溶かした。質量パーセント濃度は。
解答 \frac{20}{80+20}\times100=20\%
注意 mL を L に直し忘れるミスが最も多い(250 mL → 0.250 L)。
確認問題
1 0.20 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液 150 mL に含まれる NaOH は何 g か。(H=1.0, O=16, Na=23)
答え 0.20\times0.150=0.030\ \mathrm{mol} 、0.030\times40=1.2\ \mathrm{g}
着眼点 溶液 1 L(=1000 mL)を取り出したと考え、密度で質量 → 溶質の質量 → mol と順に出す。
\text{モル濃度}=\frac{1000\times d\times\frac{p}{100}}{M}\quad(d:\text{密度 [g/cm}^3],\ p:\text{質量パーセント})
例題
1 質量パーセント濃度 98%、密度 1.84 g/cm³ の濃硫酸のモル濃度を求めよ。(H=1.0, O=16, S=32)
解答 1 L の質量 1000\times1.84=1840\ \mathrm{g} そのうち \ce{H2SO4} は 1840\times0.98=1803.2\ \mathrm{g} 1803.2\div98=18.4 答え 18.4\ \mathrm{mol/L}
2 2.0 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液(密度 1.08 g/cm³)の質量パーセント濃度を求めよ。(NaOH=40)
解答 1 L で考える。溶液 1080\ \mathrm{g} 、溶質 2.0\times40=80\ \mathrm{g} \frac{80}{1080}\times100=7.40\cdots 答え 約 7.4%
ポイント 式を暗記するより「1 L 取る」を毎回やるほうが逆向き(モル濃度→質量%)にも対応できる。
注意 密度の単位 g/cm³ は g/mL と同じ。1 L=1000 cm³。
着眼点 薄めても溶質の物質量は変わらない。前後で「濃度×体積」が等しい。
c_1V_1=c_2V_2
例題
1 18.4 mol/L の濃硫酸を薄めて、1.0 mol/L の希硫酸 500 mL をつくりたい。濃硫酸は何 mL 必要か。
解答 必要な \ce{H2SO4} は 1.0\times0.500=0.50\ \mathrm{mol} 18.4\times V=0.50 より V=0.0271\cdots\ \mathrm{L} 答え 約 27 mL(検算: 0.0272\times18.4\fallingdotseq0.50 )
注意 濃硫酸は「水に少しずつ加える」。濃硫酸に水を加えると激しく発熱して飛び散り危険。
確認問題
1 0.50 mol/L の塩酸 20 mL を水で薄めて 100 mL にした。濃度は。
答え 0.50\times\frac{20}{100}=0.10\ \mathrm{mol/L}
着眼点 「水 1 L に溶かす」ではなく「溶かしてから水を加えて全体を 1 L にする」。そのための器具がメスフラスコ。
必要な溶質の質量を計算して正確にはかる。 ビーカーで少量の水に溶かす。 メスフラスコに移し、ビーカーを水ですすいだ液も入れる。 標線まで水を加え、栓をしてよく振り混ぜる。 例題
1 0.100 mol/L のシュウ酸水溶液を 250 mL つくるのに必要なシュウ酸二水和物 \ce{(COOH)2.2H2O} は何 g か。(H=1.0, C=12, O=16)
解答 必要なシュウ酸 0.100\times0.250=0.0250\ \mathrm{mol} \ce{(COOH)2.2H2O} の式量 90+36=126 0.0250\times126=3.15\ \mathrm{g}
注意 水 1 L に溶質を溶かすと、溶液の体積は 1 L ちょうどにならない。モル濃度は「溶液」の体積で決まる。
確認問題
1 メスフラスコの標線を少し超えて水を入れてしまった。どうするか。
答え 捨ててつくり直す(吸い出すと溶質も減る)
着眼点 水和物 1 mol の中に無水物が 1 mol 入っている。水和水は溶かすと溶媒の水になる。
例題
1 \ce{CuSO4.5H2O} を使って 0.100 mol/L の硫酸銅(Ⅱ)水溶液 200 mL をつくる。必要な質量は。(H=1.0, O=16, S=32, Cu=64)
解答 \ce{CuSO4} は 0.100\times0.200=0.0200\ \mathrm{mol} 必要\ce{CuSO4.5H2O}=160+90=250 → 0.0200\times250=5.00\ \mathrm{g}
2 \ce{CuSO4.5H2O} 25.0 g を水 75.0 g に溶かした。\ce{CuSO4} の質量パーセント濃度は。(\ce{CuSO4}=160 , \ce{CuSO4.5H2O}=250 )
解答 \ce{CuSO4} の質量 25.0\times\frac{160}{250}=16.0\ \mathrm{g} 溶液 25.0+75.0=100\ \mathrm{g} 答え 16.0%
注意 水和物の質量をそのまま溶質の質量にしない。必ず無水物の割合(\frac{160}{250} など)を掛ける。
着眼点 溶媒 1 kg あたりの溶質の物質量 [mol/kg]。温度で体積が変わっても値が変わらない。
\text{質量モル濃度 [mol/kg]}=\frac{\text{溶質 [mol]}}{\text{溶媒 [kg]}}
例題
1 水 500 g にグルコース 0.10 mol を溶かした。質量モル濃度は。
解答 0.10\div0.500=0.20\ \mathrm{mol/kg}
ポイント 不要の理由: 化学基礎では使わない(「化学」の沸点上昇・凝固点降下で使う)。例外: 「化学」を受験する人は希薄溶液の単元で必須。分母が「溶媒」である点だけはモル濃度との違いとして今のうちに区別しておく。
⚗️
化学反応式と量的関係 反応式の係数をそろえ、係数比=物質量比を使って量的関係を解く。過不足・気体の体積・混合物・純度・グラフ問題まで、手順を固定して解く単元。
化学反応式のつくり方 着眼点 最も複雑な物質の係数を1とおき、そこに含まれる原子から順に両辺をそろえる。O と H は最後。分数が出たら全体を整数倍。
例題
1 プロパン \ce{C3H8} の完全燃焼の反応式を書け。
解答 \ce{C3H8} を1とおく。C: \ce{CO2} が3、H: \ce{H2O} が4。 右辺の O は 3\times2+4=10 個 → \ce{O2} は5。\ce{C3H8 + 5O2 -> 3CO2 + 4H2O}
2 エタン \ce{C2H6} の完全燃焼の反応式を書け。
解答 \ce{C2H6} を1とおくと \ce{CO2} 2、\ce{H2O} 3。右辺の O は 4+3=7 個 → \ce{O2} は \frac{7}{2} 。 全体を2倍して\ce{2C2H6 + 7O2 -> 4CO2 + 6H2O}
ポイント 最後に原子ごとに左右の数を数え直す(検算)。燃焼は「C → \ce{CO2} 、H → \ce{H2O} 、O は \ce{O2} で調整」と決まっている。
注意 化学式の添え字を変えて合わせてはいけない(\ce{H2O} を \ce{H2O2} にしない)。変えてよいのは係数だけ。
確認問題
1 \ce{Al + O2 -> Al2O3} の係数を合わせよ。
答え \ce{4Al + 3O2 -> 2Al2O3}
着眼点 目算で合わないときは係数を a, b, c, \ldots とおき、元素ごとに方程式を立てる。どれか1つを1とおいて解く。
例題
1 銅と希硝酸の反応 \ce{Cu + HNO3 -> Cu(NO3)2 + NO + H2O} の係数を合わせよ。
解答 係数を a, b, c, d, e とおく。 Cu: a=c H: b=2e N: b=2c+d O: 3b=6c+d+e c=1 とおくと a=1 。N の式から d=b-2 。O の式に代入して 3b=6+(b-2)+\frac{b}{2} 、\frac{3}{2}b=4 より b=\frac{8}{3} 。d=\frac{2}{3} , e=\frac{4}{3} 。全体を3倍して\ce{3Cu + 8HNO3 -> 3Cu(NO3)2 + 2NO + 4H2O} 検算 O: 左 24、右 18+2+4=24
ポイント 酸化還元反応なら、半反応式から組み立てるほうが速い(酸化還元の単元)。
確認問題
1 \ce{Fe2O3 + CO -> Fe + CO2} の係数を合わせよ。
答え \ce{Fe2O3 + 3CO -> 2Fe + 3CO2}
着眼点 反応に関わったイオンだけで書く。原子の数に加えて、両辺の電荷の合計もそろえる。
例題
1 硝酸銀水溶液に塩化ナトリウム水溶液を加えたときのイオン反応式を書け。
解答 実際に変化したのは \ce{Ag+} と \ce{Cl-} だけ(\ce{Na+} , \ce{NO3-} はそのまま)。\ce{Ag+ + Cl- -> AgCl v}
解答 \ce{Zn + 2H+ -> Zn^2+ + H2 ^} 電荷: 左 +2 、右 +2 で一致
注意 原子の数だけ合わせて電荷を合わせ忘れるミスが多い。最後に両辺の電荷の合計を必ず計算する。
確認問題
1 \ce{Ba^2+} と \ce{SO4^2-} が沈殿をつくるイオン反応式は。
答え \ce{Ba^2+ + SO4^2- -> BaSO4 v}
量的関係の計算 着眼点 反応式の係数は分子(粒子)の数の比=物質量の比。気体どうしなら同温同圧での体積の比にもなる。質量の比ではない。
\ce{2H2 + O2 -> 2H2O} \ce{H2} \ce{O2} \ce{H2O} 物質量 2 mol 1 mol 2 mol 質量(H=1.0, O=16) 4.0 g 32 g 36 g 気体の体積(同温同圧) 2 体積 1 体積 (液体なら体積比は成り立たない)
例題
1 \ce{N2 + 3H2 -> 2NH3} で、水素 0.60 mol がすべて反応すると、アンモニアは何 mol できるか。
解答 \ce{H2}:\ce{NH3}=3:2 より 0.60\times\frac{2}{3}=0.40\ \mathrm{mol}
注意 質量は保存される(左辺の合計=右辺の合計)が、物質量の合計は保存されるとは限らない。
確認問題
1 \ce{2CO + O2 -> 2CO2} で、一酸化炭素 0.40 mol と過不足なく反応する酸素は何 mol か。
答え 0.20 mol
着眼点 ①反応式を書く ②与えられた量を mol に ③係数比で求める物質の mol ④求める単位(g, L, 個)に直す。
例題
1 プロパン \ce{C3H8} 4.40 g を完全燃焼させた。(1) 生じる \ce{CO2} は何 g か。(2) 必要な \ce{O2} は標準状態で何 L か。(H=1.0, C=12, O=16)
解答 ① \ce{C3H8 + 5O2 -> 3CO2 + 4H2O} ② \ce{C3H8}=44 → 4.40\div44=0.100\ \mathrm{mol} ③ \ce{CO2} は 0.100\times3=0.300\ \mathrm{mol} 、\ce{O2} は 0.100\times5=0.500\ \mathrm{mol} ④ (1) 0.300\times44=13.2\ \mathrm{g} (2) 0.500\times22.4=11.2\ \mathrm{L}
ポイント 答案の左端に①〜④を書かせるだけで、途中で迷子になるのを防げる。
確認問題
1 炭酸カルシウム 5.0 g に十分な塩酸を加えると、\ce{CO2} は標準状態で何 L 発生するか。(\ce{CaCO3 + 2HCl -> CaCl2 + H2O + CO2} , \ce{CaCO3}=100 )
答え 5.0\div100=0.050\ \mathrm{mol} → \ce{CO2} 0.050 mol → 0.050\times22.4=1.12\fallingdotseq1.1\ \mathrm{L}
着眼点 それぞれの物質量を係数で割って小さいほうが「足りないほう」。生成物の量は足りないほうで決まる。
例題
1 マグネシウム 2.40 g に、塩化水素 0.100 mol を含む塩酸を加えた。(1) 発生する水素は標準状態で何 L か。(2) 残る物質とその質量は。(Mg=24)
解答 \ce{Mg + 2HCl -> MgCl2 + H2} Mg: 2.40\div24=0.100\ \mathrm{mol} 。これと反応するには HCl が 0.200 mol 必要だが 0.100 mol しかない → HCl が足りない。 (1) \ce{H2} は HCl の \frac{1}{2} で 0.0500 mol → 0.0500\times22.4=1.12\ \mathrm{L} (2) 反応した Mg 0.0500 mol、残り 0.100-0.0500=0.0500\ \mathrm{mol} → Mg が 0.0500\times24=1.20\ \mathrm{g} 残る
ポイント 「反応前・変化量・反応後」の3行の表を書くと、残る量まで一度に出る。
注意 物質量の大小をそのまま比べない。係数で割ってから比べる(Mg 0.100 と HCl 0.100 は同じに見えるが HCl が不足)。
確認問題
1 水素 3.0 mol と酸素 2.0 mol を反応させた。残る気体と物質量は。
答え \ce{2H2 + O2 -> 2H2O} 。\ce{H2} が先になくなり、\ce{O2} が 2.0-1.5=0.5\ \mathrm{mol} 残る
着眼点 気体どうしの反応で同温同圧なら、mol に直さずに体積のまま係数比で計算できる(気体反応の法則)。
例題
1 一酸化炭素 20 mL と酸素 20 mL を混ぜて完全に反応させた。反応後の気体の組成と全体積は(同温同圧)。
解答 \ce{2CO + O2 -> 2CO2} CO 20 mL が O₂ 10 mL と反応し、\ce{CO2} 20 mL ができる。 答え \ce{O2} 10 mL、\ce{CO2} 20 mL、合計 30 mL
注意 生じた水は、室温に戻した条件なら液体として体積に入れない。「水は液体とする」などの問題文の条件を必ず確認。
確認問題
1 水素 30 mL と酸素 30 mL を反応させ室温に戻した。残る気体は(同温同圧、水は液体)。
答え \ce{O2} が 15 mL 残る(\ce{H2} 30 mL と \ce{O2} 15 mL が反応)
着眼点 反応した成分の量を反応式から逆算し、試料全体の質量で割る。不純物は反応しないものとして扱う。
例題
1 不純物を含む石灰石 10.0 g に十分な塩酸を加えたところ、\ce{CO2} が標準状態で 1.792 L 発生した。石灰石中の \ce{CaCO3} の質量パーセントは。不純物は塩酸と反応しないとする。(\ce{CaCO3}=100 )
解答 \ce{CaCO3 + 2HCl -> CaCl2 + H2O + CO2} \ce{CO2} : 1.792\div22.4=0.0800\ \mathrm{mol} → \ce{CaCO3} も 0.0800 mol → 8.00\ \mathrm{g} \frac{8.00}{10.0}\times100=80.0\%
確認問題
1 純度 90.0% の亜鉛 10.0 g を十分な塩酸と反応させると、水素は何 mol 発生するか。(Zn=65)
答え \ce{Zn} は 9.00\div65=0.138\cdots → 約 0.138 mol(\ce{Zn + 2HCl -> ZnCl2 + H2} で 1:1)
着眼点 一方を少しずつ加えると、生成物の量は増えてから一定になる。折れ曲がる点が「ちょうど過不足なく反応した点」。
例題
1 塩化水素 0.200 mol を含む塩酸に、マグネシウムを少しずつ加えた。加えた Mg の質量を横軸、発生した \ce{H2} (標準状態)を縦軸にとると、グラフはどこで折れ曲がり、そのときの \ce{H2} は何 L か。(Mg=24)
解答 \ce{Mg + 2HCl -> MgCl2 + H2} HCl 0.200 mol とちょうど反応する Mg は 0.100 mol → 2.40\ \mathrm{g} そのとき \ce{H2} は 0.100 mol → 2.24\ \mathrm{L} 答え Mg 2.40 g で折れ曲がり、以後 2.24 L で一定
ポイント 折れ曲がる前は「加えたほうが不足」、後は「最初からあるほうが不足」。どちらの量で生成物が決まるかが入れ替わる。
確認問題
1 上の実験で塩酸の濃度だけを2倍にすると、グラフの折れ曲がり点はどうなるか。
答え 折れ曲がる Mg の質量も \ce{H2} の体積も2倍になる(4.80 g、4.48 L)。傾きは変わらない
着眼点 成分の量を x, y とおき、「全体の量」と「生じた物質の量」で連立方程式を立てる。
例題
1 メタン \ce{CH4} とプロパン \ce{C3H8} の混合気体 10 L を完全燃焼させると、\ce{CO2} が 16 L 生じた。それぞれの体積と、燃焼に必要な \ce{O2} の体積を求めよ(すべて同温同圧)。
解答 \ce{CH4 + 2O2 -> CO2 + 2H2O} , \ce{C3H8 + 5O2 -> 3CO2 + 4H2O} \ce{CH4} を x L、\ce{C3H8} を y L とするとx+y=10 、x+3y=16 → y=3 , x=7 \ce{O2} : 2\times7+5\times3=29\ \mathrm{L} 答え \ce{CH4} 7 L、\ce{C3H8} 3 L、\ce{O2} 29 L(検算: \ce{CO2} 7+9=16 )
確認問題
1 \ce{H2} と \ce{CO} の混合気体 20 mL の完全燃焼に \ce{O2} は何 mL 必要か(同温同圧)。
答え どちらも \ce{O2} は自身の半分の体積と反応するので 10 mL(混合比によらない)
着眼点 質量の式と、発生した気体の物質量の式の2本で連立する。
例題
1 マグネシウムとアルミニウムの混合物 1.14 g に十分な塩酸を加えると、水素が標準状態で 1.232 L 発生した。混合物中の Mg の質量は。(Mg=24, Al=27)
解答 \ce{Mg + 2HCl -> MgCl2 + H2} , \ce{2Al + 6HCl -> 2AlCl3 + 3H2} Mg x mol、Al y mol とすると 質量: 24x+27y=1.14 \ce{H2} : x+\frac{3}{2}y=1.232\div22.4=0.0550 2式目から x=0.0550-1.5y 。1式目に代入: 1.32-36y+27y=1.14 → y=0.0200 、x=0.0250 Mg の質量 0.0250\times24=0.600\ \mathrm{g} (検算: Al 0.0200\times27=0.540 、合計 1.14 g)
注意 Al からは \ce{H2} が \frac{3}{2} 倍の物質量出る。Mg と同じ1:1にしない。
差がつく 多段階の反応(全体で何 mol から何 mol か) 着眼点 各段階の反応式をつなげて「原料1 mol から製品が何 mol できるか」だけを出す。途中の物質の量は求めなくてよい。
例題
1 アンモニアを原料として硝酸をつくる(オストワルト法)。全体として \ce{NH3} 1 mol から \ce{HNO3} が 1 mol できる。\ce{NH3} 3.4 kg からできる \ce{HNO3} は最大何 kg か。(H=1.0, N=14, O=16)
解答 \ce{NH3} : 3400\div17=200\ \mathrm{mol} → \ce{HNO3} 200 mol200\times63=12600\ \mathrm{g}=12.6\ \mathrm{kg} 答え 約 13 kg(有効数字2桁)
ポイント N 原子の数が保存されると見れば、各段階の係数を追わなくても 1:1 と分かる(元素に着目する)。
確認問題
1 硫黄 1 mol から接触法で硫酸は何 mol できるか(S はすべて \ce{H2SO4} になるとする)。
答え 1 mol(S 原子の数が保存される)
着眼点 質量保存(ラボアジエ)、定比例(プルースト)、倍数比例(ドルトン)、気体反応(ゲーリュサック)、分子説(アボガドロ)。
例題
1 「同温同圧で同体積の気体には、同数の分子が含まれる」という法則(説)を提唱したのは誰か。
解答 アボガドロ
ポイント 不要の理由: 計算には使わず、法則名と人物の対応を問う問題は少ない。例外: 共通テストの知識問題で正誤の選択肢として出ることがあるので、直前に表を一度眺めておく。
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酸と塩基 酸・塩基の定義と強弱、電離度から pH を出す。中和の量的関係「酸の H⁺ の mol=塩基の OH⁻ の mol」で滴定を解き、塩の液性・滴定曲線と指示薬の選び方まで整理する。
酸・塩基の定義と強弱 着眼点 アレニウス: 水に溶けて \ce{H+} (\ce{H3O+} )を出すのが酸、\ce{OH-} を出すのが塩基。ブレンステッド: \ce{H+} を渡すのが酸、受け取るのが塩基。
例題
1 \ce{NH3 + H2O <=> NH4+ + OH-} の正反応で、\ce{H2O} は酸・塩基のどちらとしてはたらいているか。
解答 \ce{H2O} は \ce{NH3} に \ce{H+} を渡しているので酸(ブレンステッドの定義)。
2 \ce{HCl + H2O -> H3O+ + Cl-} で、\ce{H2O} は酸・塩基のどちらか。
解答 \ce{H+} を受け取っているので塩基。
ポイント \ce{H2O} は相手によって酸にも塩基にもなる。「\ce{H+} の矢印を描いて、出した側が酸」で判定する。
注意 気体どうしの反応 \ce{NH3 + HCl -> NH4Cl} はアレニウスの定義では説明できないが、ブレンステッドの定義なら HCl が酸、\ce{NH3} が塩基。
確認問題
1 \ce{HCO3- + H2O <=> H2CO3 + OH-} の正反応で \ce{HCO3-} は酸か塩基か。
答え 塩基(\ce{H2O} から \ce{H+} を受け取っている)
着眼点 強酸・強塩基は数が少ないので丸暗記し、それ以外は弱いと判断する。価数は出せる \ce{H+} / \ce{OH-} の数。
1価 2価 3価 強酸 \ce{HCl} , \ce{HNO3} (\ce{HBr} , \ce{HI} )\ce{H2SO4} 弱酸 \ce{CH3COOH} \ce{H2CO3} (\ce{CO2} の水溶液), \ce{H2S} , \ce{(COOH)2} \ce{H3PO4} 強塩基 \ce{NaOH} , \ce{KOH} \ce{Ca(OH)2} , \ce{Ba(OH)2} 弱塩基 \ce{NH3} \ce{Cu(OH)2} , \ce{Mg(OH)2} \ce{Fe(OH)3} , \ce{Al(OH)3}
例題
1 酢酸 \ce{CH3COOH} は H を4個もつが何価の酸か。
解答 1価。\ce{H+} として出せるのは \ce{-COOH} の H の1個だけ。
ポイント 強塩基は「アルカリ金属と Ca, Ba の水酸化物」とまとめて覚える。
注意 価数と強弱は無関係。\ce{H3PO4} は3価でも弱酸、\ce{HCl} は1価でも強酸。\ce{NH3} は \ce{OH-} を含まないが水と反応して \ce{OH-} を出す1価の塩基。
確認問題
1 シュウ酸 \ce{(COOH)2} の価数と強弱は。
答え 2価の弱酸
着眼点 [\ce{H+}] = 酸の濃度 × 価数 × 電離度。強酸は電離度 1 とみなす。
\alpha=\frac{\text{電離した酸の物質量}}{\text{溶かした酸の物質量}},\qquad [\ce{H+}]=c\,a\,\alpha\quad(a:\text{価数})
例題
1 0.10 mol/L の酢酸水溶液の電離度を 0.010 とする。[\ce{H+}] は。
解答 0.10\times1\times0.010=1.0\times10^{-3}\ \mathrm{mol/L}
注意 弱酸の電離度は濃度で変わる(薄いほど大きい)。問題文で与えられた値を使う。
確認問題
1 0.050 mol/L のアンモニア水の電離度を 0.020 とする。[\ce{OH-}] は。
答え 0.050\times0.020=1.0\times10^{-3}\ \mathrm{mol/L}
pH 着眼点 [\ce{H+}]=1.0\times10^{-n} なら pH =n 。塩基は先に [\ce{OH-}] を出し、[\ce{H+}][\ce{OH-}]=1.0\times10^{-14} で直す。
\mathrm{pH}=-\log_{10}[\ce{H+}],\qquad K_w=[\ce{H+}][\ce{OH-}]=1.0\times10^{-14}\ (\mathrm{mol/L})^2\ (25^\circ\mathrm{C}) pH 7 が中性、7 より小さいと酸性、大きいと塩基性(25°C)。 pH が1小さくなると [\ce{H+}] は10倍。 例題
1 0.050 mol/L の硫酸の pH を求めよ(完全に電離するとする)。
解答 2価の強酸なので [\ce{H+}]=0.050\times2=0.10=1.0\times10^{-1} 答え pH 1
2 0.0050 mol/L の水酸化バリウム水溶液の pH を求めよ(完全に電離するとする)。
解答 [\ce{OH-}]=0.0050\times2=1.0\times10^{-2} [\ce{H+}]=\frac{1.0\times10^{-14}}{1.0\times10^{-2}}=1.0\times10^{-12} 答え pH 12
ポイント 塩基は「pOH を出して 14 から引く」でもよい(\mathrm{pH}+\mathrm{pOH}=14 )。
確認問題
1 0.10 mol/L の酢酸(電離度 0.010)の pH は。
答え [\ce{H+}]=1.0\times10^{-3} → pH 3
2 pH 2 の水溶液と pH 4 の水溶液で、[\ce{H+}] は何倍違うか。
答え 100倍(pH 2 のほうが大きい)
着眼点 強酸を10倍に薄めると pH は1大きくなる。ただし酸をいくら薄めても pH は7を超えない(塩基なら7を下回らない)。
例題
1 pH 3 の塩酸を水で100倍に薄めた。pH は。
解答 [\ce{H+}]=1.0\times10^{-3}\div100=1.0\times10^{-5} → pH 5
2 pH 5 の塩酸を水で1000倍に薄めた。pH はおよそいくつか。
解答 計算上は 10^{-8} だが、水の電離による \ce{H+} (10^{-7} )のほうが多くなる。酸性のまま中性に近づくだけで、pH 8 にはならない。答え 約 7(7 よりわずかに小さい)
注意 「薄めると pH が増える」を塩基に当てはめない。塩基を薄めると pH は小さくなる(7に近づく)。
着眼点 \ce{H+} と \ce{OH-} の物質量を比べ、余ったほうを混合後の全体積で割る。体積が足し算になることを忘れない。
例題
1 0.20 mol/L の塩酸 50 mL と 0.10 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液 50 mL を混ぜた。pH を小数第1位まで求めよ。(\log_{10}2=0.30 )
解答 \ce{H+} : 0.20\times0.050=0.010\ \mathrm{mol} 、\ce{OH-} : 0.10\times0.050=0.0050\ \mathrm{mol} 余る \ce{H+} 0.0050\ \mathrm{mol} 、全体積 0.100\ \mathrm{L} → [\ce{H+}]=5.0\times10^{-2} \mathrm{pH}=2-\log_{10}5=2-(1-0.30)=1.30 答え 1.3
ポイント \log_{10}5=1-\log_{10}2=0.70 はそのまま覚えておく。
確認問題
1 0.10 mol/L の塩酸 10 mL と 0.10 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液 10 mL を混ぜた。pH は(25°C)。
答え ちょうど中和して NaCl 水溶液になるので pH 7
中和と滴定 着眼点 酸が出す \ce{H+} の物質量 = 塩基が出す \ce{OH-} の物質量。強弱は関係ない。
a\times c\times V=b\times c'\times V'\quad(a,b:\text{価数},\ c,c':\text{濃度},\ V,V':\text{体積})
例題
1 0.10 mol/L の硫酸 10.0 mL を中和するのに、0.20 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液は何 mL 必要か。
解答 2\times0.10\times10.0=1\times0.20\times V → V=10.0\ \mathrm{mL}
2 食酢を正確に10倍に薄めた液 10.0 mL を、0.100 mol/L の NaOH 水溶液で滴定したら 7.20 mL で中和した。もとの食酢中の酢酸の濃度は。
解答 薄めた液の濃度を c とすると 1\times c\times10.0=1\times0.100\times7.20 → c=0.0720\ \mathrm{mol/L} もとの食酢は10倍で 0.720\ \mathrm{mol/L}
ポイント 両辺とも mL のままでよい(単位がそろっていれば消える)。
注意 弱酸でも中和に必要な塩基の量は同じ(中和が進むと電離していない分も次々と電離する)。電離度を掛けない。
確認問題
1 0.050 mol/L の水酸化カルシウム水溶液 20 mL をちょうど中和する 0.10 mol/L 塩酸の体積は。
答え 2\times0.050\times20=1\times0.10\times V → 20 mL
着眼点 濃度を変えてはいけない器具(ホールピペット・ビュレット)は使う液で共洗い。中に入れる量が決まっている器具(メスフラスコ・コニカルビーカー)は水でぬれたままでよい。
器具 用途 洗い方 ホールピペット 一定体積の液を正確にはかり取る 使う液で共洗い ビュレット 滴下した液の体積をはかる 使う液で共洗い メスフラスコ 一定体積の溶液をつくる 純水でぬれたままでよい コニカルビーカー 中和反応を行う容器 純水でぬれたままでよい
例題
1 ビュレットを純水で洗い、ぬれたまま NaOH 水溶液を入れて滴定した。求めた酸の濃度は真の値より大きくなるか小さくなるか。
解答 NaOH が薄まるので、中和に必要な滴下量が増える。滴下量が多いと計算すると、酸の濃度は大きく出る。
ポイント 「中の物質量が変わるか」で考える。コニカルビーカーに水が残っていても、入れた酸の物質量は変わらない。
注意 ガラスの体積計は加熱乾燥しない(ガラスが変形して目盛りが狂う)。
確認問題
1 コニカルビーカーが純水でぬれたまま酸をホールピペットで入れて滴定した。結果への影響は。
答え 影響なし(入れた酸の物質量は変わらない)
着眼点 名前の「酸性塩」「塩基性塩」は化学式の形による分類で、水溶液の液性とは関係ない。液性は「もとの酸と塩基の強いほう」で決まる。
塩 もとの酸+塩基 液性 \ce{NaCl} , \ce{K2SO4} 強酸+強塩基 中性 \ce{CH3COONa} , \ce{Na2CO3} 弱酸+強塩基 塩基性 \ce{NH4Cl} , \ce{CuSO4} 強酸+弱塩基 酸性 \ce{NaHSO4} (酸性塩)強酸の H が残る 酸性 \ce{NaHCO3} (酸性塩)弱酸の H が残る 弱い塩基性
例題
1 \ce{CH3COONa} の水溶液が塩基性を示す理由をイオン反応式で示せ。
解答 弱酸のイオン \ce{CH3COO-} が水と反応して \ce{OH-} を生じるため(加水分解)。\ce{CH3COO- + H2O <=> CH3COOH + OH-}
ポイント 正塩: H も OH も残っていない。酸性塩: 酸の H が残る。塩基性塩: 塩基の OH が残る(例 \ce{MgCl(OH)} )。
注意 \ce{NaHCO3} は「酸性塩」なのに水溶液は弱い塩基性。最頻出のひっかけ。
確認問題
1 \ce{NH4NO3} , \ce{KNO3} , \ce{Na2CO3} の水溶液の液性は。
答え 酸性・中性・塩基性
着眼点 中和点の pH は「できた塩の液性」。中和点付近の pH の急な変化の中に変色域が入る指示薬を選ぶ。
組合せ 中和点 フェノールフタレイン(変色域 8.0〜9.8、無色→赤) メチルオレンジ(変色域 3.1〜4.4、赤→黄) 強酸+強塩基 中性付近 使える 使える 弱酸+強塩基 塩基性 使える 使えない 強酸+弱塩基 酸性 使えない 使える 弱酸+弱塩基 — 急な変化が小さく、指示薬での判定は不向き 同左
例題
1 酢酸を水酸化ナトリウム水溶液で滴定するとき、適する指示薬とその理由は。
解答 フェノールフタレイン。中和点で生じる \ce{CH3COONa} の水溶液は塩基性で、pH の急な変化が塩基性側にあり、その中に変色域 8.0〜9.8 が入るから。
ポイント 「弱いほうの反対側に変色域がある指示薬」と覚えると逆にならない(弱酸を滴定→塩基性側→フェノールフタレイン)。
注意 曲線の出発点の pH にも注意: 弱酸は同じ濃度の強酸より出発点の pH が高い。
着眼点 気体の塩基(\ce{NH3} )を過剰の酸に吸収させ、残った酸を塩基で滴定する。「酸の \ce{H+} = \ce{NH3} + 滴定した \ce{OH-} 」。
例題
1 0.100 mol/L の硫酸 50.0 mL にアンモニアをすべて吸収させた。残った硫酸を 0.100 mol/L の NaOH 水溶液で滴定すると 40.0 mL 必要だった。吸収されたアンモニアは何 mol か。
解答 硫酸の \ce{H+} : 2\times0.100\times\frac{50.0}{1000}=1.00\times10^{-2}\ \mathrm{mol} NaOH の \ce{OH-} : 0.100\times\frac{40.0}{1000}=4.00\times10^{-3}\ \mathrm{mol} \ce{NH3} =1.00\times10^{-2}-4.00\times10^{-3}=6.00\times10^{-3}\ \mathrm{mol}
ポイント 酸側と塩基側に分けて、「塩基側の合計=酸側」の1本の式にする。
確認問題
答え 中和点では \ce{(NH4)2SO4} が残り弱い酸性になるので、酸性側に変色域がある指示薬を使う
着眼点 \ce{Na2CO3} は \ce{HCl} と2段階で反応する。第1中和点はフェノールフタレイン、第2中和点はメチルオレンジで見る。
\ce{Na2CO3 + HCl -> NaHCO3 + NaCl}\quad(\text{第1段階}) \ce{NaHCO3 + HCl -> NaCl + H2O + CO2}\quad(\text{第2段階})
例題
1 NaOH と \ce{Na2CO3} の混合水溶液 10.0 mL を 0.100 mol/L 塩酸で滴定した。フェノールフタレインが変色するまでに 15.0 mL、そこにメチルオレンジを加えてさらに 5.0 mL で変色した。NaOH と \ce{Na2CO3} のモル濃度は。
解答 第2段階(5.0 mL)は \ce{NaHCO3} だけが反応 → \ce{Na2CO3} は 0.100\times\frac{5.0}{1000}=5.0\times10^{-4}\ \mathrm{mol} 第1段階(15.0 mL)は NaOH の中和と \ce{Na2CO3} → \ce{NaHCO3} 。NaOH は 0.100\times\frac{15.0-5.0}{1000}=1.0\times10^{-3}\ \mathrm{mol} 10.0 mL で割って \ce{Na2CO3} 0.050 mol/L、NaOH 0.10 mol/L
注意 第1段階の滴下量から NaOH をそのまま出さない。\ce{Na2CO3} の第1段階の分(第2段階と同じ量)を引く。
確認問題
1 \ce{Na2CO3} だけの水溶液を塩酸で滴定すると、第1中和点までと第2中和点までの滴下量の関係はどうなるか。
答え 等しい(どちらも \ce{Na2CO3} と同じ物質量の HCl)
不要 電離定数・緩衝液の pH 計算(化学基礎の範囲では) 着眼点 K_a=\frac{[\ce{H+}][\ce{CH3COO-}]}{[\ce{CH3COOH}]} を使って弱酸や緩衝液の pH を求める。
例題
1 酢酸と酢酸ナトリウムを同じ物質量ずつ含む水溶液の [\ce{H+}] は、K_a を使うとどう表せるか。
解答 [\ce{CH3COOH}]=[\ce{CH3COO-}] とみなせるので [\ce{H+}]=K_a
ポイント 不要の理由: 化学基礎では電離度が与えられ、電離定数は扱わない(「化学」の電離平衡で扱う)。例外: 「化学」受験者は必須で、国公立二次の頻出分野。
着眼点 非共有電子対を受け取るのが酸、与えるのが塩基という、さらに広い定義。
例題
1 \ce{NH3 + BF3 -> H3N-BF3} で、ルイス酸はどちらか。
解答 \ce{BF3} (\ce{NH3} の非共有電子対を受け取る)
ポイント 不要の理由: 高校の教科書では発展扱いで、入試で定義そのものが問われることは稀。例外: 錯イオンの配位結合を酸塩基として説明させる難関大の論述。
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酸化還元 酸化数で酸化・還元を判定し、半反応式を自分で組み立てて反応式をつくる。電子の物質量で酸化還元滴定を解き、イオン化傾向から金属の反応・電池・製錬までをつなげる。
酸化と還元・酸化数 着眼点 最終的には「電子」と「酸化数」で判定する。酸化と還元は必ず同時に起こる。
酸化された 還元された 酸素 受け取った 失った 水素 失った 受け取った 電子 失った 受け取った 酸化数 増えた 減った
例題
1 \ce{CuO + H2 -> Cu + H2O} で、酸化された物質と還元された物質は。
解答 \ce{H2} は O を受け取ったので酸化された。\ce{CuO} は O を失ったので還元された。
ポイント 「電子を失う=酸化(Oxidation Is Loss)」。酸化数は「電子を失えば増える」と結びつける。
確認問題
1 \ce{2Na + Cl2 -> 2NaCl} で電子を失ったのはどちらか。
答え Na(\ce{Na+} になる)。Na が酸化され、\ce{Cl2} が還元された
着眼点 単体は0、化合物は合計0、イオンは合計がイオンの電荷。H は +1、O は −2 を基準に残りを出す。
単体中の原子は 0。 化合物中の H は +1、O は −2(例外: \ce{H2O2} の O は −1、\ce{NaH} の H は −1)。 化合物中の酸化数の合計は 0。 単原子イオンはその電荷、多原子イオンは合計がその電荷。 アルカリ金属は +1、2族は +2。 例題
1 \ce{K2Cr2O7} の Cr の酸化数は。
解答 Cr を x とする。(+1)\times2+2x+(-2)\times7=0 → x=+6
2 次のうち酸化還元反応はどれか。(a) \ce{NaOH + HCl -> NaCl + H2O} (b) \ce{CaCO3 -> CaO + CO2} (c) \ce{Cu + 2H2SO4 -> CuSO4 + SO2 + 2H2O}
解答 (c)。Cu が 0\to+2 、S が +6\to+4 と変化している。(a)(b) は酸化数が変わる原子がない。
ポイント 単体が反応物か生成物に含まれていれば、ほぼ必ず酸化還元反応(単体は 0 なので化合物になると酸化数が変わる)。
注意 酸化数は原子1個あたりの値。\ce{Cr2O7^2-} の Cr 2個分(+12)を答えにしない。
確認問題
1 \ce{KMnO4} の Mn、\ce{NH4+} の N、\ce{H2O2} の O の酸化数は。
答え +7, −3, −1
着眼点 同じ元素の原子が異なる状態で含まれると、平均として分数の酸化数になる。
例題
1 \ce{Fe3O4} の Fe と、\ce{S4O6^2-} の S の平均の酸化数は。
解答 \ce{Fe3O4} : 3x-8=0 → x=+\frac{8}{3} \ce{S4O6^2-} : 4x-12=-2 → x=+\frac{5}{2}
ポイント 不要の理由: 計算は普通のルールでできるが、問われることは稀。例外: ヨウ素滴定(\ce{S2O3^2-}\to\ce{S4O6^2-} )の電子数を酸化数から確かめたいときに使う。
酸化剤・還元剤と反応式 着眼点 左辺(反応前)と右辺(反応後)の物質だけ覚え、残りは次の項目の手順で毎回つくる。
反応前 → 反応後 半反応式 酸化剤 \ce{MnO4-} (酸性)→ \ce{Mn^2+} \ce{MnO4- + 8H+ + 5e- -> Mn^2+ + 4H2O} 酸化剤 \ce{Cr2O7^2-} → \ce{Cr^3+} \ce{Cr2O7^2- + 14H+ + 6e- -> 2Cr^3+ + 7H2O} 酸化剤 \ce{H2O2} → \ce{H2O} \ce{H2O2 + 2H+ + 2e- -> 2H2O} 酸化剤 希硝酸 → \ce{NO} \ce{HNO3 + 3H+ + 3e- -> NO + 2H2O} 酸化剤 濃硝酸 → \ce{NO2} \ce{HNO3 + H+ + e- -> NO2 + H2O} 酸化剤 熱濃硫酸 → \ce{SO2} \ce{H2SO4 + 2H+ + 2e- -> SO2 + 2H2O} 酸化剤 \ce{Cl2} → \ce{Cl-} \ce{Cl2 + 2e- -> 2Cl-} 還元剤 \ce{(COOH)2} → \ce{CO2} \ce{(COOH)2 -> 2CO2 + 2H+ + 2e-} 還元剤 \ce{H2O2} → \ce{O2} \ce{H2O2 -> O2 + 2H+ + 2e-} 還元剤 \ce{Fe^2+} → \ce{Fe^3+} \ce{Fe^2+ -> Fe^3+ + e-} 還元剤 \ce{I-} → \ce{I2} \ce{2I- -> I2 + 2e-} 還元剤 \ce{H2S} → \ce{S} \ce{H2S -> S + 2H+ + 2e-} 還元剤 \ce{SO2} → \ce{SO4^2-} \ce{SO2 + 2H2O -> SO4^2- + 4H+ + 2e-}
例題
1 過マンガン酸カリウムの硫酸酸性水溶液は、反応すると色がどう変わるか。
解答 \ce{MnO4-} の赤紫色から、\ce{Mn^2+} のほぼ無色(淡桃色)に変わる。
ポイント 覚えるのは「何が何になるか」だけ。e⁻ の数は酸化数の変化と一致する(Mn: +7\to+2 で 5個)ので検算に使う。
注意 \ce{MnO4-} は中性・塩基性では \ce{MnO2} になる。滴定は硫酸酸性で行う前提。
確認問題
1 \ce{Cr2O7^2-} 1 mol が受け取る電子は何 mol か。
答え 6 mol(Cr 1個あたり +6\to+3 で3個、2個分)
着眼点 ①反応前後の物質を書く ②O の数を \ce{H2O} で合わせる ③H の数を \ce{H+} で合わせる ④電荷を \ce{e-} で合わせる。
例題
1 \ce{Cr2O7^2-} が \ce{Cr^3+} になる半反応式をつくれ。
解答 ① \ce{Cr2O7^2- -> 2Cr^3+} (Cr の数も合わせる) ② 右に \ce{7H2O} ③ 左に \ce{14H+} ④ 電荷 左 -2+14=+12 、右 +6 → 左に \ce{6e-} \ce{Cr2O7^2- + 14H+ + 6e- -> 2Cr^3+ + 7H2O}
2 \ce{SO2} が \ce{SO4^2-} になる半反応式をつくれ。
解答 ② 左に \ce{2H2O} ③ 右に \ce{4H+} ④ 電荷 左 0、右 -2+4=+2 → 右に \ce{2e-} \ce{SO2 + 2H2O -> SO4^2- + 4H+ + 2e-}
ポイント 最後に「e⁻ の数=酸化数の変化×原子数」になっているか確かめる(\ce{Cr2O7^2-} : 3\times2=6 )。
確認問題
1 \ce{H2O2} が酸化剤として \ce{H2O} になる半反応式は。
答え \ce{H2O2 + 2H+ + 2e- -> 2H2O}
着眼点 電子の数をそろえて2式を足し、\ce{e-} を消す(イオン反応式)。化学反応式にするには、省いた対イオンを両辺に足す。
例題
1 硫酸酸性の過マンガン酸カリウム水溶液と過酸化水素水の反応を、イオン反応式と化学反応式で書け。
解答 \ce{MnO4- + 8H+ + 5e- -> Mn^2+ + 4H2O} (×2)\ce{H2O2 -> O2 + 2H+ + 2e-} (×5) 足して \ce{e-} と \ce{H+} を整理:\ce{2MnO4- + 6H+ + 5H2O2 -> 2Mn^2+ + 8H2O + 5O2} 対イオン: \ce{2K+} と \ce{3SO4^2-} を両辺に加える\ce{2KMnO4 + 3H2SO4 + 5H2O2 -> 2MnSO4 + K2SO4 + 8H2O + 5O2} (検算 O: 左 8+12+10=30 、右 8+4+8+10=30 )
ポイント \ce{H+} は硫酸から来たことにして \ce{SO4^2-} を足す。右辺では \ce{Mn^2+} , \ce{K+} と組ませて硫酸塩にする。
注意 電子の数をそろえずに足すと、両辺の電荷が合わない。足したあとに電荷を必ず確認。
確認問題
1 \ce{Fe^2+} と \ce{Cr2O7^2-} (酸性)のイオン反応式は。
答え \ce{Cr2O7^2- + 14H+ + 6Fe^2+ -> 2Cr^3+ + 7H2O + 6Fe^3+}
差がつく 酸化剤にも還元剤にもなる物質(\ce{H2O2} ・\ce{SO2} ) 着眼点 相手がより強い酸化剤なら還元剤として、より強い還元剤なら酸化剤としてはたらく。
例題
1 \ce{SO2} と \ce{H2S} の反応式を書き、\ce{SO2} のはたらきを答えよ。
解答 \ce{SO2 + 2H2S -> 3S + 2H2O} S の酸化数: \ce{SO2} は +4\to0 (還元された)なので \ce{SO2} は酸化剤。
2 \ce{SO2} をヨウ素水に通すと色が消える。このとき \ce{SO2} のはたらきは。
解答 \ce{SO2 + I2 + 2H2O -> H2SO4 + 2HI} 。S が +4\to+6 で、\ce{SO2} は還元剤。
ポイント \ce{H2O2} : \ce{KMnO4} が相手なら還元剤(\ce{O2} 発生)、\ce{KI} が相手なら酸化剤。\ce{SO2} : \ce{H2S} が相手のときだけ酸化剤と覚える。
確認問題
1 硫酸酸性で \ce{H2O2} と \ce{KI} を反応させると何が生じるか。
答え \ce{I2} (\ce{H2O2} が酸化剤として \ce{I-} を酸化)
酸化還元滴定 着眼点 酸化剤が受け取る \ce{e-} の物質量 = 還元剤が渡す \ce{e-} の物質量。中和の「価数」の位置に「受け渡す電子の数」が入る。
(\text{酸化剤の e}^-\text{数})\times c\times V=(\text{還元剤の e}^-\text{数})\times c'\times V' \ce{KMnO4} は自身が指示薬。赤紫色が消えなくなった点が終点。酸性にするのは硫酸。塩酸は \ce{Cl-} が酸化されてしまい、硝酸はそれ自体が酸化剤なので使えない。 例題
1 0.0500 mol/L のシュウ酸水溶液 10.0 mL を硫酸酸性にし、温めながら 0.0200 mol/L の \ce{KMnO4} 水溶液で滴定した。終点までの滴下量は。
解答 \ce{MnO4-} は 5 e⁻、\ce{(COOH)2} は 2 e⁻5\times0.0200\times V=2\times0.0500\times10.0 0.100V=1.00 → V=10.0\ \mathrm{mL}
2 濃度不明の過酸化水素水 10.0 mL を硫酸酸性にし、0.0200 mol/L の \ce{KMnO4} 水溶液で滴定したところ 16.0 mL で終点となった。\ce{H2O2} の濃度は。
解答 5\times0.0200\times16.0=2\times c\times10.0 1.60=20.0c → c=0.0800\ \mathrm{mol/L}
ポイント 反応式を書かなくても、半反応式の e⁻ 数だけで解ける。時間がないときはこれで。
注意 終点の色は「無色→薄い赤紫色が消えずに残る」。指示薬を加えると答える誤りに注意。
確認問題
1 0.0200 mol/L \ce{KMnO4} 10.0 mL とちょうど反応する \ce{Fe^2+} は何 mol か。
答え \ce{e-} : 5\times0.0200\times\frac{10.0}{1000}=1.00\times10^{-3}\ \mathrm{mol} → \ce{Fe^2+} も 1.00\times10^{-3}\ \mathrm{mol}
着眼点 酸化剤に過剰の \ce{KI} を加えて \ce{I2} を出し、その \ce{I2} をチオ硫酸ナトリウムで滴定する。指示薬はデンプン(青紫色が消えたら終点)。
\ce{I2 + 2S2O3^2- -> 2I- + S4O6^2-}
例題
1 過酸化水素水 10.0 mL を硫酸酸性にして過剰の \ce{KI} を加えた。生じた \ce{I2} を 0.100 mol/L の \ce{Na2S2O3} 水溶液で滴定すると 12.0 mL 必要だった。\ce{H2O2} の濃度は。
解答 \ce{H2O2 + 2I- + 2H+ -> I2 + 2H2O} より \ce{H2O2}:\ce{I2}=1:1 \ce{S2O3^2-} : 0.100\times\frac{12.0}{1000}=1.20\times10^{-3}\ \mathrm{mol} → \ce{I2} はその半分 6.00\times10^{-4}\ \mathrm{mol} \ce{H2O2} も 6.00\times10^{-4}\ \mathrm{mol} → \frac{6.00\times10^{-4}}{0.0100}=0.0600\ \mathrm{mol/L}
ポイント \ce{I2} は「中継ぎ」。酸化剤 → \ce{I2} → \ce{S2O3^2-} の比を鎖のようにつなぐ。
注意 \ce{I2} と \ce{S2O3^2-} は 1:2。1:1 にしない。
確認問題
1 ヨウ素滴定でデンプンを加えるのはいつが望ましいか。
答え 終点の近く(\ce{I2} の褐色が薄い黄色になったころ)。はじめから多くの \ce{I2} があるうちに加えると、ヨウ素デンプン反応の青紫色が消えにくくなる
着眼点 水中の有機物を酸化するのに使った \ce{KMnO4} の量を、同じ電子数の \ce{O2} の質量 [mg/L] に換算した値。
\ce{O2 + 4H+ + 4e- -> 2H2O}\quad\Rightarrow\quad \ce{KMnO4}\ 1\ \mathrm{mol}\ \text{は}\ \ce{O2}\ \tfrac{5}{4}\ \mathrm{mol}\ \text{に相当}
例題
1 試料水 100 mL 中の有機物の酸化に \ce{KMnO4} が 5.0\times10^{-5} mol 使われた。COD [mg/L] は。(O=16)
解答 \ce{O2} 換算 5.0\times10^{-5}\times\frac{5}{4}=6.25\times10^{-5}\ \mathrm{mol} → 6.25\times10^{-5}\times32=2.0\times10^{-3}\ \mathrm{g}=2.0\ \mathrm{mg} 1 L あたり 2.0\times10=20\ \mathrm{mg/L}
ポイント 不要の理由: 手順が長く出題は限られる。例外: 環境・水質をテーマにした大問を出す大学では、問題文の誘導に沿って「e⁻ の数をそろえて \ce{O2} に換算」の一点で解ける。
金属のイオン化傾向とその利用 着眼点 並び順を覚え、「水・酸との反応」の区切り位置をセットにする。
Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (\ce{H2} ) > Cu > Hg > Ag > Pt > Au
金属 水との反応 酸との反応 Li, K, Ca, Na 常温の水と反応して \ce{H2} 希酸と反応 Mg 熱水と反応 希酸と反応 Al, Zn, Fe 高温の水蒸気と反応 希酸と反応(Al, Fe は濃硝酸で不動態) Ni, Sn, Pb 反応しない 希酸と反応(Pb は塩酸・希硫酸では表面に難溶性の塩ができて反応しにくい。Ni は濃硝酸で不動態) Cu, Hg, Ag 反応しない 希酸とは反応しない。硝酸・熱濃硫酸(酸化力のある酸)と反応 Pt, Au 反応しない 王水にだけ溶ける
例題
1 銅を希硫酸に入れても変化しないが、熱濃硫酸には溶ける。理由は。
解答 Cu は \ce{H2} よりイオン化傾向が小さく、\ce{H+} には酸化されない。熱濃硫酸は \ce{H2SO4} 自身が強い酸化剤なので Cu を酸化できる(\ce{SO2} が発生)。
ポイント 「リッチに貸そうかな、まああてにすな、ひどすぎる借金」(Li K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb H Cu Hg Ag Pt Au)。
注意 Cu と硝酸の反応で出るのは \ce{H2} ではない(希硝酸 → \ce{NO} 、濃硝酸 → \ce{NO2} )。
確認問題
1 Al を濃硝酸に入れてもほとんど溶けないのはなぜか。
答え 表面に緻密な酸化被膜ができて内部を保護する(不動態)
着眼点 イオン化傾向が大きい金属を、小さい金属のイオンの水溶液に入れると、小さいほうが析出する。逆は起こらない。
例題
1 次のうち変化が起こるものはどれか。(a) 硫酸銅(Ⅱ)水溶液に亜鉛板 (b) 硫酸亜鉛水溶液に銅板 (c) 硝酸銀水溶液に銅線
解答 (a) と (c)。 (a) \ce{Zn + Cu^2+ -> Zn^2+ + Cu} (亜鉛の表面に銅が析出) (c) \ce{Cu + 2Ag+ -> Cu^2+ + 2Ag} (銀が樹状に析出し、溶液は青くなる) (b) は Cu のほうがイオン化傾向が小さいので反応しない。
ポイント 「入れた金属がイオンになる」=入れた金属が酸化される。イオン化傾向は「陽イオンへのなりやすさ」。
確認問題
1 硝酸鉛(Ⅱ)水溶液に亜鉛板を入れると何が析出するか。
答え Pb(Zn のほうがイオン化傾向が大きい)
着眼点 イオン化傾向が大きい金属が負極(酸化される・電子を出す)、小さいほうが正極(還元が起こる)。電子は負極から導線を通って正極へ。
\text{負極: }\ce{Zn -> Zn^2+ + 2e-}\qquad \text{正極: }\ce{Cu^2+ + 2e- -> Cu} ダニエル電池: 亜鉛板を硫酸亜鉛水溶液に、銅板を硫酸銅(Ⅱ)水溶液に入れ、素焼き板(または塩橋)で仕切る。 素焼き板はイオンを通して電気的なつりあいを保ち、2つの溶液がすぐに混ざるのを防ぐ。 例題
1 ダニエル電池を放電させると、亜鉛板と銅板の質量はそれぞれどう変化するか。
解答 亜鉛板は \ce{Zn^2+} として溶け出すので減少、銅板には Cu が析出するので増加。
ポイント 2種類の金属のイオン化傾向の差が大きいほど起電力は大きい。
注意 「負極で還元」と逆にしない。負極=電子を出す=酸化。
確認問題
1 亜鉛と銅の代わりにマグネシウムと銅を使うと、起電力はどうなるか。
答え 大きくなる(Mg のほうが Zn よりイオン化傾向が大きく、差が大きい)
着眼点 金属は鉱石の中で酸化物などの陽イオンの状態。製錬は還元して単体を取り出すこと。イオン化傾向が大きい金属ほど還元が難しい。
金属 方法 鉄 溶鉱炉で鉄鉱石(\ce{Fe2O3} など)をコークスから生じた \ce{CO} で還元 銅 黄銅鉱から粗銅をつくり、電気分解で純銅にする(電解精錬) アルミニウム ボーキサイトから得た酸化アルミニウムを、氷晶石とともに融かして電気分解(溶融塩電解)
例題
1 酸化鉄(Ⅲ)を一酸化炭素で還元する反応式を書け。
解答 \ce{Fe2O3 + 3CO -> 2Fe + 3CO2}
ポイント Al はイオン化傾向が大きく、水溶液を電気分解すると水が先に還元されて \ce{H2} が出る。だから水を使わない溶融塩電解。
確認問題
1 人類が金属を使い始めた順(金・銅 → 鉄 → アルミニウム)とイオン化傾向の関係は。
答え イオン化傾向が小さく還元しやすい金属から使われるようになった
💨
気体と状態変化 三態と状態図、蒸気圧、気体の法則(ボイル・シャルル・状態方程式・分圧)と実在気体。計算は「液体が残るか」の判定が山場。
三態・状態図・蒸気圧 着眼点 状態変化の名前と、その間は温度が一定になること。加熱曲線の水平部分は「熱が状態変化だけに使われている」区間。
温度を上げる区間の熱量: q = mc\Delta t (m 質量、c 比熱)。状態変化の区間の熱量: 物質量 × 融解(蒸発)エンタルピー。
変化 名前 熱 固体 → 液体 融解(逆は凝固) 融解では吸収(融解エンタルピー) 液体 → 気体 蒸発(逆は凝縮) 蒸発では吸収(蒸発エンタルピー) 固体 → 気体 昇華(逆は凝華) 昇華では吸収
例題
1 0 ℃ の氷 18 g をすべて 100 ℃ の水蒸気にするのに必要な熱量を有効数字2桁で求めよ。\ce{H2O}=18 、氷の融解エンタルピー 6.0\ \mathrm{kJ/mol} 、水の蒸発エンタルピー 41\ \mathrm{kJ/mol} 、水の比熱 4.2\ \mathrm{J/(g\cdot K)} とする。
解答 \ce{H2O} は 18/18 = 1.0\ \mathrm{mol} 。 融解: 1.0 \times 6.0 = 6.0\ \mathrm{kJ} 0 ℃ → 100 ℃ の水: 18 \times 4.2 \times 100 = 7560\ \mathrm{J} = 7.56\ \mathrm{kJ} 蒸発: 1.0 \times 41 = 41\ \mathrm{kJ} 合計 6.0 + 7.56 + 41 = 54.56 より 55\ \mathrm{kJ}
ポイント 加熱曲線は「斜め=温度上昇(比熱)」「水平=状態変化(融解・蒸発エンタルピー)」と線ごとに計算を分ける。
注意 蒸発エンタルピーは融解エンタルピーよりずっと大きい(水では約7倍)。水平部分の長さもそれに比例して長くなる。
確認問題
1 純物質を加熱したとき、融解中の温度はどうなるか。
答え 一定(加えた熱は融解だけに使われる)
着眼点 横軸温度・縦軸圧力の図で、3本の線(融解曲線・蒸気圧曲線・昇華圧曲線)に囲まれた領域が固体・液体・気体。点がどの領域にあるかで状態が決まる。
三重点 : 3本の線が交わる点。固体・液体・気体が共存する。臨界点 : 蒸気圧曲線の端。これより高温・高圧では液体と気体の区別がない(超臨界流体)。水の融解曲線は左に傾く (圧力を上げると融点が下がる)。氷のほうが液体の水より密度が小さいため。多くの物質は右に傾く。 例題
1 二酸化炭素の三重点の圧力は約 5.1\times10^5\ \mathrm{Pa} である。大気圧(1.0\times10^5\ \mathrm{Pa} )でドライアイスを放置すると液体を経ずに気体になる理由を述べよ。
解答 大気圧は三重点の圧力より低いので、その圧力の水平線は液体の領域を通らず、固体から直接気体の領域に入る。よって昇華する。
ポイント 「ある圧力で温度を上げる」=図の上を水平に右へ、「ある温度で圧縮する」=垂直に上へ。線を横切るたびに状態が変わる。
確認問題
1 氷に圧力をかけると融けやすくなるのはなぜか(状態図の言葉で)。
答え 水の融解曲線は左に傾いているので、圧力を上げると融点が下がり、同じ温度でも液体の領域に入るから
着眼点 飽和蒸気圧は温度だけ で決まり、容器の体積や他の気体の有無に関係しない。沸騰は「飽和蒸気圧=外圧」になったとき。
密閉容器で液体と蒸気が共存しているとき(気液平衡)、蒸気の圧力=その温度の飽和蒸気圧。 温度が上がると飽和蒸気圧は大きくなる(蒸気圧曲線は右上がり)。 外圧が低い(高い山の上)と、より低い温度で飽和蒸気圧が外圧に達するので沸点が下がる。 分子間力が強い物質ほど、同じ温度での蒸気圧が小さく、沸点が高い。 例題
1 水とエタノールの蒸気圧曲線で、同じ温度での蒸気圧はエタノールのほうが大きい。沸点が高いのはどちらか。理由も述べよ。
解答 水。同じ温度で蒸気圧が小さい(分子間に水素結合が多く蒸発しにくい)ので、蒸気圧が外圧 1.013\times10^5\ \mathrm{Pa} に達する温度が高い。
注意 気液共存のまま体積を変えても、温度が同じなら蒸気の圧力は飽和蒸気圧のまま(液量が増減するだけ)。ボイルの法則は使えない。
確認問題
1 気液平衡にある容器の体積を半分にした(温度一定・液体は残る)。蒸気の圧力は。
答え 変わらない(飽和蒸気圧は温度だけで決まる)
2 富士山の山頂で水の沸点が100 ℃より低いのはなぜか。
答え 外圧が低く、より低い温度で飽和蒸気圧が外圧に達するから
着眼点 「全部気体だと仮定して圧力を計算 → 飽和蒸気圧と比べる」の2段階。仮定の圧力が飽和蒸気圧を超えたら、実際の圧力は飽和蒸気圧で、残りは液体。
全部気体と仮定した圧力 p_0 = \dfrac{nRT}{V} を計算 p_0 が飽和蒸気圧以下 → すべて気体。圧力は p_0 p_0 が飽和蒸気圧より大きい → 一部が液体。圧力は飽和蒸気圧。気体の物質量は 飽和蒸気圧 から逆算例題
1 10 L の真空容器に水 0.18 g を入れ 27 ℃ に保った。容器内の圧力を有効数字2桁で求めよ。\ce{H2O}=18 、R=8.3\times10^3\ \mathrm{Pa\cdot L/(K\cdot mol)} 、27 ℃ の水の飽和蒸気圧 3.6\times10^3\ \mathrm{Pa} 。
解答 n = 0.18/18 = 0.010\ \mathrm{mol} 。全部気体と仮定するとp = \frac{0.010 \times 8.3\times10^3 \times 300}{10} = 2.49\times10^3\ \mathrm{Pa} これは飽和蒸気圧より小さいので、すべて気体。答え 2.5\times10^3\ \mathrm{Pa}
2 上の容器に入れる水を 0.36 g にした。圧力と、液体として残る水の質量を有効数字2桁で求めよ。
解答 n = 0.020\ \mathrm{mol} 。仮定の圧力は 4.98\times10^3\ \mathrm{Pa} で飽和蒸気圧を超えるので、一部は液体。圧力は 3.6\times10^3\ \mathrm{Pa} 。 気体の水: n_g = \frac{3.6\times10^3 \times 10}{8.3\times10^3 \times 300} = 1.44\times10^{-2}\ \mathrm{mol} 液体: 0.020 - 0.0144 = 0.0056\ \mathrm{mol} 、0.0056 \times 18 = 0.10 より 0.10\ \mathrm{g} (液体の体積は無視)
ポイント 混合気体(空気+水蒸気など)でも、水蒸気の分圧だけを取り出して同じ判定をする。他の気体は普通にボイル・シャルルで動く。
注意 冷却や圧縮の問題で「途中から水が凝縮し始める」点がある。凝縮後は水蒸気の分圧=飽和蒸気圧で固定される。
気体の法則 着眼点 物質量が一定の気体で、条件が「前」と「後」の2つあれば、この式。温度は必ず絶対温度(セルシウス温度 + 273)で入れる。
\frac{p_1V_1}{T_1} = \frac{p_2V_2}{T_2} T 一定ならボイル: p_1V_1 = p_2V_2 p 一定ならシャルル: V_1/T_1 = V_2/T_2 例題
1 27 ℃、1.0\times10^5\ \mathrm{Pa} で 3.0 L の気体を、127 ℃、2.0\times10^5\ \mathrm{Pa} にすると体積は何 L か。
解答 V_2 = 3.0 \times \frac{1.0\times10^5}{2.0\times10^5} \times \frac{400}{300} = 3.0 \times 0.50 \times \frac{4}{3} = 2.0 答え 2.0\ \mathrm{L}
ポイント 「圧力が2倍なら体積は半分」「温度が4/3倍なら体積も4/3倍」と、倍率を掛けていくと計算ミスが減る。
注意 ℃のまま比をとるのは誤り(27 ℃ → 54 ℃ は体積2倍ではない)。
確認問題
1 0 ℃で 2.0 L の気体を圧力一定で 273 ℃ にすると何 L か。
答え 4.0 L(絶対温度が 273 K → 546 K で2倍)
着眼点 条件が1つ(ある瞬間の状態)なら pV=nRT 。物質量を質量で書き換えると分子量・密度が出る。
pV = nRT,\quad pV = \frac{w}{M}RT,\quad M = \frac{wRT}{pV},\quad d = \frac{w}{V} = \frac{pM}{RT} R = 8.3\times10^3\ \mathrm{Pa\cdot L/(K\cdot mol)} は体積を L、圧力を Pa で入れるときの値。
例題
1 ある気体 0.64 g は 27 ℃、8.3\times10^4\ \mathrm{Pa} で 0.60 L を占めた。分子量を求めよ。R=8.3\times10^3\ \mathrm{Pa\cdot L/(K\cdot mol)} 。
解答 M = \frac{0.64 \times 8.3\times10^3 \times 300}{8.3\times10^4 \times 0.60} = \frac{0.64 \times 300}{10 \times 0.60} = 32 答え 32
2 27 ℃、1.0\times10^5\ \mathrm{Pa} での酸素の密度 [g/L] を有効数字2桁で。\ce{O2}=32 、R は上と同じ。
解答 d = \frac{1.0\times10^5 \times 32}{8.3\times10^3 \times 300} = \frac{3.2\times10^6}{2.49\times10^6} = 1.28 答え 1.3\ \mathrm{g/L}
ポイント 揮発性液体の分子量測定(フラスコに少量入れて加熱し、蒸気だけを残して冷やして質量を量る)も M = wRT/(pV) そのもの。
注意 体積を mL のまま入れない。R の単位に合わせて L・Pa・K にそろえる。
確認問題
1 同温・同圧で密度が2倍の気体は、分子量が何倍か。
答え 2倍(d = pM/(RT) で p, T が同じ)
着眼点 各成分が「単独で容器全体を占めたときの圧力」が分圧。分圧の比=物質量の比、全圧=分圧の和。
P = p_A + p_B,\qquad p_A = P \times \frac{n_A}{n_A + n_B} P は全圧、\dfrac{n_A}{n_A+n_B} は A のモル分率。
平均分子量 = 各成分の分子量 × モル分率 の和。
例題
1 同温で、3.0\times10^5\ \mathrm{Pa} の \ce{N2} 2.0 L と 2.0\times10^5\ \mathrm{Pa} の \ce{O2} 3.0 L を 5.0 L の容器に移した。各分圧と全圧は。
解答 ボイルの法則で各気体を 5.0 L にしたときの圧力が分圧。p_{\ce{N2}} = 3.0\times10^5 \times 2.0/5.0 = 1.2\times10^5\ \mathrm{Pa} p_{\ce{O2}} = 2.0\times10^5 \times 3.0/5.0 = 1.2\times10^5\ \mathrm{Pa} 全圧 2.4\times10^5\ \mathrm{Pa}
2 空気を \ce{N2}:\ce{O2} = 4:1 (物質量比)とみなして平均分子量を求めよ。\ce{N2}=28 、\ce{O2}=32 。
解答 28 \times 0.80 + 32 \times 0.20 = 22.4 + 6.4 = 28.8 答え 28.8
ポイント 平均分子量 28.8 より大きい気体(\ce{CO2} など)は空気より重い → 下方置換。小さい気体(\ce{NH3} など)は上方置換。
確認問題
1 全圧 1.0\times10^5\ \mathrm{Pa} で \ce{H2} 0.30 mol と \ce{He} 0.20 mol の混合気体。\ce{H2} の分圧は。
答え 6.0\times10^4\ \mathrm{Pa} (モル分率 0.60)
着眼点 捕集した気体には水蒸気が混ざっている。目的の気体の分圧 = 大気圧 − その温度の水の飽和蒸気圧。
メスシリンダー内外の水面をそろえてから体積を読む(内部の全圧=大気圧にするため)。
(目的の気体の分圧)=(大気圧)−(水の飽和蒸気圧)
例題
1 27 ℃、大気圧 1.010\times10^5\ \mathrm{Pa} で水素を水上置換で集め、内外の水面をそろえると 0.50 L だった。水素の物質量を有効数字2桁で。27 ℃ の水の飽和蒸気圧 3.6\times10^3\ \mathrm{Pa} 、R=8.3\times10^3\ \mathrm{Pa\cdot L/(K\cdot mol)} 。
解答 p_{\ce{H2}} = 1.010\times10^5 - 0.036\times10^5 = 9.74\times10^4\ \mathrm{Pa} n = \frac{9.74\times10^4 \times 0.50}{8.3\times10^3 \times 300} = 1.96\times10^{-2} 答え 2.0\times10^{-2}\ \mathrm{mol}
注意 内側の水面が外より高いときは、内部の全圧は大気圧より水柱の分だけ低い。そろえてから測る、が前提。
確認問題
1 水上置換で集めた酸素の分圧を求めるのに、大気圧のほかに必要な値は。
答え その温度での水の飽和蒸気圧
着眼点 同温・同体積なら分圧は物質量に比例する。反応式の係数比を、分圧のまま「反応前・変化量・反応後」の表で追える。
例題
1 容積一定の容器に \ce{CH4} を分圧 1.0\times10^4\ \mathrm{Pa} 、\ce{O2} を 5.0\times10^4\ \mathrm{Pa} で入れ、完全燃焼させて 127 ℃ に保った。各分圧と全圧を求めよ。生じた水はすべて気体とする。
解答 \ce{CH4 + 2O2 -> CO2 + 2H2O} (単位 10^4\ \mathrm{Pa} ) 反応前: \ce{CH4} 1.0、\ce{O2} 5.0、\ce{CO2} 0、\ce{H2O} 0 変化: −1.0、−2.0、+1.0、+2.0 反応後: 0、3.0、1.0、2.0 答え \ce{O2} 3.0\times10^4 、\ce{CO2} 1.0\times10^4 、\ce{H2O} 2.0\times10^4\ \mathrm{Pa} 、全圧 6.0\times10^4\ \mathrm{Pa}
ポイント 燃焼前後で温度が違うときは、まず同じ温度に換算してから表を作る(分圧は絶対温度に比例)。
注意 室温に戻す問題では、水の分圧が飽和蒸気圧を超えないか必ず確認する(超えた分は液体)。
確認問題
1 容積一定で \ce{2H2 + O2 -> 2H2O} (水は液体として除く)が完全に進むと、全圧は増えるか減るか。
答え 減る(気体の物質量が減る)
実在気体 着眼点 ずれの原因は2つだけ。分子間力(体積を小さくする方向)と分子自身の体積(大きくする方向)。
Z = \frac{pV}{nRT} 理想気体は常に Z=1 。 分子間力 が効くと Z<1 (低温・中程度の圧力、極性分子や大きな分子で顕著)。分子自身の体積 が効くと Z>1 (非常に高い圧力)。高温・低圧 ほど理想気体に近づく。例題
1 \ce{H2} と \ce{NH3} では、同じ条件でどちらが理想気体に近いか。
解答 \ce{H2} 。分子が小さく無極性で分子間力が弱い。\ce{NH3} は極性分子で水素結合もあり、分子間力が強い。
ポイント Z と圧力のグラフでは、低圧側で1より下に沈む(分子間力)、高圧側で1を超えて上がる(分子の体積)、と2段で説明する。
確認問題
1 実在気体を理想気体に近づけるには、温度と圧力をどうするか。
答え 高温・低圧にする
着眼点 実在気体の補正を式にしたもの。a は分子間力、b は分子の体積の補正。
\left(p + \frac{an^2}{V^2}\right)(V - nb) = nRT
ポイント 後回しでよい理由: 共通テスト・地方国公立では、ずれの原因を定性的に説明できれば足りる。例外: 難関国公立や理工系単科大で、式を与えて数値計算させる問題が出ることがある。
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溶液と溶解 溶けるしくみと濃度換算、固体の溶解度(析出量)、気体の溶解度(ヘンリー)、沸点上昇・凝固点降下・浸透圧、コロイド。束一的性質は「粒子の数」で考える。
溶解と濃度 着眼点 極性の似たものどうしがよく溶ける。水(極性溶媒)にはイオン結晶・極性分子、ヘキサン(無極性溶媒)には無極性分子。
水和: 溶質粒子のまわりを水分子が取り囲んで安定化すること。イオンには水分子の極性のある側が向く(陽イオンには O 側、陰イオンには H 側)。
溶質 水 ヘキサンなど無極性溶媒 イオン結晶(\ce{NaCl} など) 溶けやすいものが多い(水和) 溶けにくい 極性分子(エタノール、\ce{HCl} など) 溶けやすい 溶けにくいものが多い 無極性分子(ヨウ素、ナフタレンなど) 溶けにくい 溶けやすい
例題
1 エタノールは水にもヘキサンにもよく溶ける。理由を構造から述べよ。
解答 ヒドロキシ基 \ce{-OH} (親水性、水と水素結合)と、エチル基 \ce{C2H5-} (疎水性、無極性溶媒となじむ)の両方をもつから。
注意 イオン結晶でも \ce{AgCl} 、\ce{BaSO4} 、\ce{CaCO3} などは水に溶けにくい(沈殿として覚える)。
着眼点 換算は「溶液 1 L(または溶媒 1 kg)を仮定して、溶質の質量と物質量を出す」で必ず解ける。
濃度 定義 単位 質量パーセント濃度 溶質の質量 ÷ 溶液の質量 × 100 % モル濃度 溶質の物質量 ÷ 溶液の体積 \mathrm{mol/L} 質量モル濃度 溶質の物質量 ÷ 溶媒 の質量 \mathrm{mol/kg}
例題
1 質量パーセント濃度 98 %、密度 1.84\ \mathrm{g/cm^3} の濃硫酸のモル濃度を有効数字2桁で。\ce{H2SO4}=98 。
解答 溶液 1 L(1000\ \mathrm{cm^3} )を考える。 溶液の質量 1000 \times 1.84 = 1840\ \mathrm{g} \ce{H2SO4} の質量 1840 \times 0.98 = 1803.2\ \mathrm{g} 、物質量 1803.2/98 = 18.4\ \mathrm{mol} 答え 18\ \mathrm{mol/L}
2 グルコース 0.10 mol を水 500 g に溶かした。質量モル濃度は。
解答 0.10 / 0.500 = 0.20 答え 0.20\ \mathrm{mol/kg}
注意 質量モル濃度の分母は溶媒 の質量(kg)。溶液の質量ではない。沸点上昇・凝固点降下で使うのはこちら(温度で値が変わらないため)。
確認問題
1 \ce{NaOH} 4.0 g を水に溶かして 200 mL にした。モル濃度は。\ce{NaOH}=40 。
答え 0.50\ \mathrm{mol/L} (0.10 mol ÷ 0.200 L)
着眼点 溶解度は「水 100 g に溶ける溶質の最大質量(g)」。飽和溶液は「水 100 g + 溶質 S g」の比で、どの量でも比例計算できる。
冷却による析出量(水和水なし):
析出量 = 飽和溶液の質量 × (高温の溶解度 − 低温の溶解度)÷(100 + 高温の溶解度)
例題
1 硝酸カリウムの溶解度は 60 ℃ で 109、20 ℃ で 32 とする。60 ℃ の飽和溶液 200 g を 20 ℃ に冷やすと何 g 析出するか。整数で。
解答 60 ℃ の飽和溶液 209 g を 20 ℃ にすると 109 - 32 = 77\ \mathrm{g} 析出する。200 g なら 77 \times \frac{200}{209} = 73.7 答え 74 g (検算: 200 g 中の水は 200 \times 100/209 = 95.7\ \mathrm{g} 、溶質は 104.3\ \mathrm{g} 。20 ℃ で水 95.7 g に溶けるのは 30.6\ \mathrm{g} 。104.3 - 30.6 = 73.7 )
ポイント 比例式は「水:溶質:溶液」の3つを並べて書くと、何を基準にしても迷わない。
注意 蒸発させる問題では、水が減った分だけ溶ける量も減る。減った水の量に溶解度を掛ける。
確認問題
1 溶解度 40 の物質の飽和溶液 70 g に溶けている溶質は。
答え 20 g(70 \times 40/140 )
着眼点 析出する結晶が水和水を含むと、溶液から水も一緒に抜ける。析出量を x と置き、「残った溶液が低温の飽和溶液」という式を立てる。
\ce{CuSO4*5H2O} (式量 250)の x g には、\ce{CuSO4} (160)が \dfrac{160}{250}x g、水が \dfrac{90}{250}x g 含まれる。
例題
1 \ce{CuSO4} の溶解度(無水物の g / 水 100 g)を 60 ℃ で 40、20 ℃ で 20 とする。60 ℃ の飽和溶液 140 g を 20 ℃ に冷やすと、\ce{CuSO4*5H2O} は何 g 析出するか。有効数字2桁で。\ce{CuSO4}=160 、\ce{H2O}=18 。
解答 140 g の飽和溶液は 水 100 g + \ce{CuSO4} 40 g。析出量を x g とすると、残りの溶液は 溶質 40 - 0.64x 、水 100 - 0.36x これが 20 ℃ の飽和溶液(溶質:水 = 20:100)なので 100(40 - 0.64x) = 20(100 - 0.36x) 4000 - 64x = 2000 - 7.2x,\quad 56.8x = 2000,\quad x = 35.2 答え 35 g (検算: 溶質 40 - 22.5 = 17.5 、水 100 - 12.7 = 87.3 、比 17.5/87.3 = 0.200 )
ポイント 「溶質:溶液」で立てる別解: (40 - 0.64x) : (140 - x) = 20 : 120 。同じ答えになることで検算できる。
確認問題
1 \ce{CuSO4*5H2O} 25 g に含まれる \ce{CuSO4} は何 g か。
答え 16 g(25 \times 160/250 )
着眼点 溶ける気体の物質量 は、その気体の分圧 に比例する(温度一定、溶解度の小さい気体)。気体は温度が高いほど溶けにくい。
混合気体では、各気体はそれぞれの分圧に比例して溶ける。 溶けた気体の体積をその時の圧力のもとで 測ると、圧力によらず一定(物質量が p 倍、体積は 1/p 倍になるため)。 標準状態などの一定条件に換算した体積は、分圧に比例する。 例題
1 20 ℃ で、1.0\times10^5\ \mathrm{Pa} の酸素は水 1 L に 1.4\times10^{-3}\ \mathrm{mol} 溶ける。20 ℃、1.0\times10^5\ \mathrm{Pa} の空気(\ce{O2} のモル分率 0.20)に接している水 10 L に溶けている酸素の質量を有効数字2桁で。\ce{O2}=32 。
解答 \ce{O2} の分圧 = 0.20\times10^5\ \mathrm{Pa} 溶ける物質量 = 1.4\times10^{-3} \times 0.20 \times 10 = 2.8\times10^{-3}\ \mathrm{mol} 質量 2.8\times10^{-3} \times 32 = 0.0896 答え 9.0\times10^{-2}\ \mathrm{g}
注意 \ce{NH3} や \ce{HCl} のように水と反応する・非常によく溶ける気体には、ヘンリーの法則は当てはまらない。
確認問題
1 圧力を3倍にすると、溶ける気体の物質量は何倍か。その圧力のもとで測った体積は何倍か。
答え 物質量は3倍、体積は1倍(変わらない)
答え 容器内の \ce{CO2} の分圧が下がり、溶けていられる量が減るから
希薄溶液の性質 着眼点 不揮発性の溶質を溶かすと溶液の蒸気圧は下がる。だから外圧に達する温度(沸点)が上がる。グラフでは溶液の蒸気圧曲線が純溶媒の右下にくる。
蒸気圧降下・沸点上昇・凝固点降下・浸透圧は、溶質の種類によらず溶質粒子の数(濃度) だけで決まる。 電解質は電離後の粒子の総数で考える(\ce{NaCl} なら2倍、\ce{CaCl2} なら3倍)。 例題
1 同じ質量モル濃度のグルコース水溶液と塩化ナトリウム水溶液では、どちらの蒸気圧が低いか。
解答 塩化ナトリウム水溶液。\ce{NaCl -> Na+ + Cl-} と電離して粒子数が2倍になるので、蒸気圧降下が大きい。
ポイント 「溶液は溶媒より蒸発しにくい・凍りにくい」とまとめて覚え、どちらも粒子数で大小を決める。
確認問題
1 0.1 mol/kg の尿素水溶液と 0.1 mol/kg の \ce{CaCl2} 水溶液。沸点が高いのは。
答え \ce{CaCl2} 水溶液(粒子数が3倍)
着眼点 \Delta t = K m 。m は質量モル濃度 、電解質なら電離後の粒子の総数で。
\Delta t_b = K_b m,\qquad \Delta t_f = K_f m K_b : モル沸点上昇、K_f : モル凝固点降下(溶媒ごとに決まる定数、単位 \mathrm{K\cdot kg/mol} )。
例題
1 グルコース(\ce{C6H12O6}=180 )9.0 g を水 250 g に溶かした溶液の凝固点を求めよ。水の K_f = 1.85\ \mathrm{K\cdot kg/mol} 。
解答 9.0/180 = 0.050\ \mathrm{mol} 、m = 0.050/0.250 = 0.20\ \mathrm{mol/kg} \Delta t_f = 1.85 \times 0.20 = 0.37\ \mathrm{K} 答え -0.37 ℃
2 \ce{NaCl} (58.5)1.17 g を水 200 g に溶かした溶液の凝固点降下度は。完全に電離するとし、K_f は上と同じ。
解答 1.17/58.5 = 0.0200\ \mathrm{mol} 、m = 0.0200/0.200 = 0.100\ \mathrm{mol/kg} 粒子は2倍で 0.200\ \mathrm{mol/kg} \Delta t_f = 1.85 \times 0.200 = 0.370 答え 0.370\ \mathrm{K} (上のグルコース溶液と同じ)
注意 答えを「凝固点」で聞かれたら 0 - \Delta t 、「降下度」なら \Delta t 。どちらを聞かれているか確認する。
確認問題
1 水の K_b = 0.52\ \mathrm{K\cdot kg/mol} 。0.50 mol/kg のスクロース水溶液の沸点は(外圧 1.013\times10^5\ \mathrm{Pa} )。
答え 100.26 ℃(\Delta t = 0.52 \times 0.50 = 0.26 )
着眼点 \Delta t = K\dfrac{w/M}{W} (w 溶質 g、W 溶媒 kg)を M について解く。
M = \frac{K w}{\Delta t \cdot W}
例題
1 ある非電解質 1.20 g をベンゼン 50.0 g に溶かすと、凝固点が 1.02 K 下がった。分子量を有効数字3桁で。ベンゼンの K_f = 5.12\ \mathrm{K\cdot kg/mol} 。
解答 M = \frac{5.12 \times 1.20}{1.02 \times 0.0500} = \frac{6.144}{0.0510} = 120.5 答え 1.20\times10^2 (検算: 1.20/120 = 0.0100\ \mathrm{mol} 、m = 0.200 、5.12 \times 0.200 = 1.02 )
ポイント 酢酸をベンゼンに溶かすと、水素結合で2分子が会合(二量体)するため、求めた分子量が本来の約2倍になる。
確認問題
1 電離する物質で同じ計算をすると、求めた分子量は真の値より大きくなるか小さくなるか。
答え 小さくなる(粒子が増えて \Delta t が大きく出る)
着眼点 過冷却のあと温度が少し上がる。純溶媒は凝固中に温度一定、溶液は凝固中も温度が下がり続ける(溶媒だけが凍って濃くなるため)。
凝固点は、凝固が始まってからの直線部分を左へ延長 し、冷却前の曲線と交わる点の温度で読む。 過冷却: 凝固点以下になっても液体のままの状態。結晶ができ始めると凝固熱で温度が上がる。 例題
1 溶液の冷却曲線で、凝固開始後に温度がゆっくり下がり続けるのはなぜか。
解答 溶媒だけが固体になって出ていくので、残った溶液の濃度が大きくなり、凝固点がさらに下がっていくから。
注意 過冷却の最低点を凝固点と読むのは誤り。
着眼点 半透膜を通って溶媒が濃いほうへ移動する。それを止めるのに必要な圧力が浸透圧で、気体の状態方程式と同じ形。
\Pi V = nRT,\qquad \Pi = cRT c はモル濃度(mol/L)。電解質は粒子の総数で。
例題
1 0.10 mol/L のグルコース水溶液の 27 ℃ での浸透圧を有効数字2桁で。R=8.3\times10^3\ \mathrm{Pa\cdot L/(K\cdot mol)} 。
解答 \Pi = 0.10 \times 8.3\times10^3 \times 300 = 2.49\times10^5 答え 2.5\times10^5\ \mathrm{Pa}
2 あるタンパク質 0.50 g を水に溶かして 100 mL にした溶液の浸透圧は 27 ℃ で 1.66\times10^2\ \mathrm{Pa} だった。分子量を有効数字2桁で。R は上と同じ。
解答 M = \frac{wRT}{\Pi V} = \frac{0.50 \times 8.3\times10^3 \times 300}{1.66\times10^2 \times 0.100} = \frac{1.245\times10^6}{16.6} = 7.5\times10^4 答え 7.5\times10^4
ポイント 高分子の分子量測定に使われる。凝固点降下ではほとんど温度差が出ないが、浸透圧なら測れる大きさになるため。
注意 U字管で液面差が生じる問題は、液面差の分だけ濃度が変わる(溶媒が移動した分だけ薄まる)ことに注意。
確認問題
1 同温で 0.10 mol/L の \ce{NaCl} 水溶液と 0.20 mol/L のグルコース水溶液。浸透圧はどちらが大きいか。
答え 等しい(粒子の濃度はどちらも 0.20 mol/L)
着眼点 溶液の蒸気圧 = 純溶媒の蒸気圧 × 溶媒のモル分率。
p = p_0 \times \frac{N}{N + n} N 溶媒の物質量、n 溶質の物質量。
ポイント 後回しでよい理由: 共通テスト・地方国公立では蒸気圧降下は定性的な大小比較までがほとんど。例外: 難関国公立や医学部で、式を与えて蒸気圧を計算させる問題がある。
確認問題
1 溶媒 0.90 mol、溶質 0.10 mol の溶液の蒸気圧は、純溶媒の何倍か。
答え 0.90 倍
コロイド 着眼点 直径およそ 10^{-9} 〜10^{-7}\ \mathrm{m} の粒子。ろ紙は通るが半透膜(セロハン)は通らない。性質は用語と現象を1対1で結ぶ。
疎水コロイド: 水和が少なく電荷の反発で分散(水酸化鉄(Ⅲ)、硫黄、粘土など)。 親水コロイド: 多くの水分子が水和(ゼラチン、デンプン、タンパク質など)。 ゾル(流動性あり)、ゲル(流動性を失い固まったもの)。 現象・操作 内容 チンダル現象 光の通り道が光って見える(粒子が光を散乱) ブラウン運動 粒子の不規則な運動(溶媒分子が衝突するため) 透析 半透膜で小さいイオン・分子を除き、コロイドを精製 電気泳動 帯電したコロイド粒子が反対符号の電極へ移動 凝析 疎水コロイドに少量の電解質 → 沈殿。粒子と反対符号で価数の大きいイオンほど有効 塩析 親水コロイドに多量の電解質 → 沈殿(水和している水を奪う) 保護コロイド 疎水コロイドに親水コロイドを加え、凝析しにくくしたもの(墨汁のにかわ)
例題
1 沸騰水に塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えてできた水酸化鉄(Ⅲ)のコロイドは正に帯電している。これを最も少量で凝析させるのは、\ce{NaCl} 、\ce{Na2SO4} 、\ce{Na3PO4} のどれか。
解答 \ce{Na3PO4} 。正のコロイドには陰イオンが効き、価数が大きいほど有効(\ce{PO4^3-} > \ce{SO4^2-} > \ce{Cl-} )。
ポイント 凝析は「少量・疎水」、塩析は「多量・親水」とセットで。電気泳動で陰極へ動けば正のコロイド。
確認問題
1 デンプン水溶液に横から強い光を当てると光の通路が見えた。この現象は。
答え チンダル現象
2 コロイド溶液をセロハン袋に入れて流水に浸す操作は。
答え 透析
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化学反応とエネルギー 反応式にエンタルピー変化 ΔH を添えて表す。発熱は ΔH が負。ヘスの法則(式の足し引き・生成エンタルピー・結合エネルギー)で未知の ΔH を求めるのが中心。
エンタルピー変化と反応熱 着眼点 発熱反応は \Delta H < 0 、吸熱反応は \Delta H > 0 。反応式の右に ΔH を書き、物質の状態を必ず添える。
\ce{H2(g) + 1/2O2(g) -> H2O(l)}\quad \Delta H = -286\ \mathrm{kJ} 状態: (g) 気体、(l) 液体、(s) 固体、aq 水溶液。 注目する物質の係数を1にし、分数係数も使う。 逆向きの反応は ΔH の符号が逆。係数を2倍すれば ΔH も2倍。 例題
1 メタン 1 mol が完全燃焼して液体の水が生じると 891 kJ の熱が発生する。これをエンタルピー変化を付した反応式で表せ。
解答 \ce{CH4(g) + 2O2(g) -> CO2(g) + 2H2O(l)}\quad \Delta H = -891\ \mathrm{kJ} (発熱なので負)
注意 旧課程の熱化学方程式(「=」で結び、発熱を +Q kJ と書く)とは符号が逆 。古い問題集を使うときは必ず符号を確認する。
確認問題
1 \ce{H2O(l) -> H2(g) + 1/2O2(g)} の ΔH は(上の式を使って)。
答え +286\ \mathrm{kJ} (逆反応なので符号が逆)
必須 反応エンタルピーの種類(何の 1 mol か) 着眼点 名前ごとに「何を 1 mol とするか」が決まっている。式を書くときはその物質の係数を1にする。
名前 基準(1 mol) 符号 燃焼エンタルピー 燃える物質 1 mol が完全燃焼 常に負 生成エンタルピー 化合物 1 mol が単体 から生成 正も負もある 溶解エンタルピー 溶質 1 mol が多量の溶媒に溶ける 正も負もある 中和エンタルピー 中和で水 1 mol が生じる 負(強酸と強塩基の希薄水溶液で約 -56\ \mathrm{kJ/mol} ) 蒸発・融解エンタルピー 物質 1 mol の状態変化 正(吸熱)
例題
1 二酸化炭素の生成エンタルピーが -394\ \mathrm{kJ/mol} であることを反応式で表せ。
解答 \ce{C(s) + O2(g) -> CO2(g)}\quad \Delta H = -394\ \mathrm{kJ} これは黒鉛の燃焼エンタルピーとも同じ式になる。
ポイント 生成エンタルピーは「単体から」がすべて。炭素は黒鉛(式では \ce{C(s)} と書く)、酸素は \ce{O2} のように、ふつうの状態の単体から作る。
確認問題
1 水酸化ナトリウムと硫酸の中和で、硫酸 1 mol が完全に中和されたときの発熱は中和エンタルピーの何 mol 分か。
答え 2 mol 分(水が 2 mol 生じる)
着眼点 q = mc\Delta t で熱量を出し、反応した物質量で割る。最後に発熱なら負号を付ける。
q\ [\mathrm{J}] = m\ [\mathrm{g}] \times c\ [\mathrm{J/(g\cdot K)}] \times \Delta t\ [\mathrm{K}]
例題
1 水 48 g に \ce{NaOH} (固)2.0 g を溶かすと、温度が 10.6 K 上がった。溶液の比熱を 4.2\ \mathrm{J/(g\cdot K)} とし、\ce{NaOH} の溶解エンタルピーを有効数字2桁で求めよ。\ce{NaOH}=40 。
解答 溶液の質量 48 + 2.0 = 50\ \mathrm{g} q = 50 \times 4.2 \times 10.6 = 2226\ \mathrm{J} \ce{NaOH} は 2.0/40 = 0.050\ \mathrm{mol} 、1 mol あたり 2226/0.050 = 4.45\times10^4\ \mathrm{J} 発熱なので 答え -45\ \mathrm{kJ/mol}
注意 m は水だけでなく溶液全体 の質量(問題文の指示に従う)。J と kJ の換算も忘れやすい。
確認問題
1 100 g の水が 4.2 kJ を吸収すると何 K 上がるか。比熱 4.2\ \mathrm{J/(g\cdot K)} 。
答え 10 K(4200 = 100 \times 4.2 \times \Delta t )
着眼点 実験では熱が逃げるので、最高温度をそのまま使わない。温度が下がっていく直線部分を反応開始時刻まで延長した値を使う。
外挿で求めた温度上昇 = 熱が逃げなかったとしたときの温度上昇。 固体の \ce{NaOH} を塩酸に入れると、溶解 と中和 の2つの熱が同時に出る(ヘスの法則で足し算)。 例題
1 \ce{NaOH} (固)の溶解エンタルピーを -45\ \mathrm{kJ/mol} 、中和エンタルピーを -56\ \mathrm{kJ/mol} とする。\ce{NaOH} (固)0.050 mol を過剰の希塩酸に入れたときの発熱量は。
解答 1 mol あたり 45 + 56 = 101\ \mathrm{kJ} の発熱。0.050 \times 101 = 5.05 答え 約 5.1 kJ
ポイント 「固体を酸に直接」と「溶かしてから中和」は、経路が違っても合計の熱は同じ(ヘスの法則の確認実験として出る)。
確認問題
1 外挿をせず最高温度を使うと、求めた発熱量は真の値より大きいか小さいか。
答え 小さい(逃げた熱の分を数えていない)
着眼点 同じ反応でも生成物が液体か気体かで ΔH が変わる。差は蒸発エンタルピー。
\ce{H2(g) + 1/2O2(g) -> H2O(l)}\quad \Delta H = -286\ \mathrm{kJ} \ce{H2(g) + 1/2O2(g) -> H2O(g)}\quad \Delta H = -242\ \mathrm{kJ}
例題
解答 下の式 − 上の式 より \ce{H2O(l) -> H2O(g)}\quad \Delta H = -242 - (-286) = +44\ \mathrm{kJ} 答え +44\ \mathrm{kJ/mol}
注意 燃焼エンタルピーの値は、ふつう生じる水を液体 とした値。問題文の状態指定を必ず見る。
確認問題
1 液体の水が生じる燃焼と気体の水が生じる燃焼。発熱量が大きいのは。
答え 液体の水が生じるほう(凝縮の分だけ多く放出)
ヘスの法則 着眼点 ΔH は最初と最後の状態だけで決まる。求めたい式に出てくる物質を、与えられた式から「消したい物質が消えるように」足し引きする。
求めたい式を書く。 求めたい式の左辺の物質が左に来るように、各式を何倍・逆向きにするか決める。 式を足し引きしたのと同じ計算を ΔH にもする。 例題
1 次の燃焼エンタルピーから、メタンの生成エンタルピーを求めよ。 黒鉛 -394 、\ce{H2} -286 、\ce{CH4} -891 (kJ/mol、生じる水は液体)
解答 (1) \ce{C(s) + O2 -> CO2} \Delta H_1 = -394 (2) \ce{H2 + 1/2O2 -> H2O(l)} \Delta H_2 = -286 (3) \ce{CH4 + 2O2 -> CO2 + 2H2O(l)} \Delta H_3 = -891 求める式 \ce{C(s) + 2H2 -> CH4} = (1) + (2)×2 − (3)\Delta H = -394 + 2 \times (-286) - (-891) = -75 答え -75\ \mathrm{kJ/mol}
ポイント 最後に \ce{O2} 、\ce{CO2} 、\ce{H2O} が両辺で消えているかを数えると、組み合わせのミスに気づける。
確認問題
1 \ce{C(s) + O2 -> CO2} \Delta H=-394 、\ce{CO + 1/2O2 -> CO2} \Delta H=-283 。\ce{C(s) + 1/2O2 -> CO} の ΔH は。
答え -111\ \mathrm{kJ} (上の式 − 下の式)
着眼点 生成エンタルピーなら「生成物 − 反応物」、燃焼エンタルピーなら「反応物 − 生成物」。向きが逆になる点だけ注意。
反応の ΔH =(生成物の生成エンタルピーの和)−(反応物の生成エンタルピーの和)
反応の ΔH =(反応物の燃焼エンタルピーの和)−(生成物の燃焼エンタルピーの和)
単体の生成エンタルピーは 0。各値には係数を掛ける。
例題
1 生成エンタルピー(kJ/mol)\ce{CO2(g)} -394 、\ce{H2O(l)} -286 、\ce{CH4(g)} -75 から、メタンの燃焼エンタルピーを求めよ。
解答 \ce{CH4 + 2O2 -> CO2 + 2H2O(l)} \Delta H = \{-394 + 2 \times (-286)\} - (-75 + 0) = -966 + 75 = -891 答え -891\ \mathrm{kJ/mol}
2 燃焼エンタルピー(kJ/mol)\ce{C2H4} -1411 、\ce{H2} -286 、\ce{C2H6} -1561 から、\ce{C2H4 + H2 -> C2H6} の ΔH を求めよ。
解答 \Delta H = (-1411 - 286) - (-1561) = -1697 + 1561 = -136 答え -136\ \mathrm{kJ}
注意 燃焼エンタルピーで「生成物 − 反応物」としてしまうミスが多い。迷ったら式の足し引き(前項)で確かめる。
着眼点 結合を切るのに吸収、できるときに放出。ΔH =(反応物の結合エネルギーの和)−(生成物の結合エネルギーの和)。すべて気体 のときに使える。
例題
1 結合エネルギー(kJ/mol)H−H 436、Cl−Cl 243、H−Cl 432 として、\ce{H2(g) + Cl2(g) -> 2HCl(g)} の ΔH を求めよ。
解答 \Delta H = (436 + 243) - 2 \times 432 = 679 - 864 = -185 答え -185\ \mathrm{kJ}
2 \ce{N2(g) + 3H2(g) -> 2NH3(g)} \Delta H = -92\ \mathrm{kJ} 、N≡N 946、H−H 436(kJ/mol)として、N−H の結合エネルギーを求めよ。
解答 \ce{NH3} 2分子に N−H は6本。-92 = (946 + 3 \times 436) - 6x 6x = 2254 + 92 = 2346,\quad x = 391 答え 391\ \mathrm{kJ/mol}
ポイント 構造式を書いて結合の本数を数える。\ce{CH4} は C−H が4本、\ce{H2O} は O−H が2本。
注意 液体や固体が含まれるときは、蒸発・昇華のエンタルピーを足して気体にそろえてから使う。
確認問題
1 H−H の結合エネルギーが 436 kJ/mol のとき、\ce{H2(g) -> 2H(g)} の ΔH は。
答え +436\ \mathrm{kJ} (切るので吸熱)
着眼点 縦軸にエンタルピー、物質の組を横線で描く。発熱反応は下向きの矢印。図にすれば足し引きの向きが目で見える。
上の段ほどエンタルピーが大きい(不安定)。 矢印の長さ= |ΔH|、下向きなら ΔH は負。 同じ出発点・到着点を結ぶ2つの経路の ΔH の合計は等しい。 例題
1 図で、\ce{C(s) + O2} の段から \ce{CO + 1/2O2} の段まで 111 kJ 下がり、\ce{C(s) + O2} の段から \ce{CO2} の段まで 394 kJ 下がる。\ce{CO} の燃焼エンタルピーは。
解答 \ce{CO + 1/2O2} の段から \ce{CO2} の段までの下がり幅は 394 - 111 = 283\ \mathrm{kJ} 。答え -283\ \mathrm{kJ/mol}
ポイント 式の足し引きで混乱したら、まず図を描く。3段の図なら差を取るだけで済む。
着眼点 各成分の物質量を x, y と置き、「物質量の合計」と「発熱量の合計」の連立方程式。
例題
1 メタンと水素の混合気体 0.50 mol を完全燃焼させると 264 kJ の熱が発生した(水は液体)。メタンの物質量を求めよ。燃焼エンタルピーは \ce{CH4} -891 、\ce{H2} -286\ \mathrm{kJ/mol} 。
解答 \ce{CH4} を x mol とすると \ce{H2} は 0.50 - x mol。891x + 286(0.50 - x) = 264 605x + 143 = 264,\quad x = 0.200 答え 0.20 mol (検算: 891 \times 0.20 + 286 \times 0.30 = 178.2 + 85.8 = 264 )
着眼点 光のエネルギーを吸収して進む反応(光化学反応)と、反応のエネルギーを光として出す現象(化学発光)を区別する。
光合成: \ce{6CO2 + 6H2O -> C6H12O6 + 6O2} 。光エネルギーを吸収して進む吸熱反応。 水素と塩素の混合気体に光を当てると、爆発的に \ce{HCl} が生じる。 化学発光: ルミノールの反応など。生物の場合はホタルなどの生物発光。 例題
解答 正(グルコースの燃焼 \Delta H<0 の逆向きの反応なので吸熱)。
確認問題
1 反応で生じたエネルギーが光として放出される現象を何というか。
答え 化学発光
発展 着眼点 イオン結晶をばらばらの気体イオンにするのに必要なエネルギー。直接測れないので、ヘスの法則の回り道で求める。
例題
1 次の値(kJ/mol)から、\ce{NaCl(s) -> Na+(g) + Cl-(g)} の ΔH を求めよ。\ce{Na(s) -> Na(g)} +107 、\ce{Na(g) -> Na+(g) + e-} +496 、\ce{1/2Cl2(g) -> Cl(g)} +122 、\ce{Cl(g) + e- -> Cl-(g)} -349 、\ce{NaCl(s)} の生成エンタルピー -411
解答 単体 → 気体イオン の2経路が等しい: -411 + U = 107 + 496 + 122 - 349 U = 376 + 411 = 787 答え +787\ \mathrm{kJ}
ポイント 後回しでよい理由: 地方国公立では出題がまれで、出ても値がすべて与えられヘスの法則で解ける。例外: 難関国公立・医学部では図を描かせる形で出ることがある。
着眼点 反応が自然に進むかどうかは ΔH だけでは決まらない。乱雑さ(エントロピー)が増える変化も起こりやすい。
例: 硝酸アンモニウムの溶解は吸熱だが、水に入れると自然に溶ける(冷却パックに利用)。イオンが水中に散らばって乱雑さが増すため。
ポイント 後回しでよい理由: 現行課程では定性的な紹介にとどまり、計算は出ない。例外: 記述で「吸熱なのに進む理由」を問う大学では一言書けるようにしておく。
確認問題
1 吸熱反応でも自然に進むことがあるのはなぜか(一言で)。
答え 乱雑さ(エントロピー)が増大する変化だから
⚖️
反応速度と化学平衡 反応速度と活性化エネルギー、平衡定数(K・Kp)とルシャトリエの原理、電離平衡(弱酸・緩衝液・加水分解)と溶解度積。平衡は「前・変化・後」の表で解く。
反応速度 着眼点 速度=単位時間あたりの濃度変化。速くする要因は「濃度(圧力)を上げる・温度を上げる・触媒・固体の表面積を大きくする」の4つ。
v = -\frac{\Delta[\ce{A}]}{\Delta t} A は反応物。
濃度↑ → 衝突回数が増える。 温度↑ → 活性化エネルギーを超える分子の割合が増える(衝突回数の増加より効果が大きい)。 触媒 → 活性化エネルギーの小さい経路をつくる。 例題
1 過酸化水素の分解で、[\ce{H2O2}] が 2.0 分間に 0.80 mol/L から 0.60 mol/L に減った。この間の平均の分解速度と、v = k[\ce{H2O2}] としたときの k を有効数字2桁で。
解答 v = \frac{0.80 - 0.60}{2.0} = 0.10\ \mathrm{mol/(L\cdot min)} 平均濃度 (0.80 + 0.60)/2 = 0.70\ \mathrm{mol/L} k = \frac{0.10}{0.70} = 0.143 答え v= 0.10\ \mathrm{mol/(L\cdot min)} 、k= 0.14\ /\mathrm{min}
注意 速度定数 k は温度で変わるが、濃度では変わらない。k を求めるときは平均の濃度 で割る。
確認問題
1 反応 \ce{2A -> B} で A の減少速度が 0.20 mol/(L·s) のとき、B の生成速度は。
答え 0.10 mol/(L·s)(係数比 2:1)
着眼点 1つの濃度だけを変えた2つの実験を比べる。濃度2倍で速度が4倍なら2次、2倍なら1次、変わらなければ0次。
v = k[\ce{A}]^a[\ce{B}]^b 次数 a, b は反応式の係数とは限らない。実験で決める。
例題
1 反応 \ce{2A + B -> C} で次の結果を得た。速度式と k を求めよ。 実験1: [\ce{A}]=0.10 、[\ce{B}]=0.10 、v = 2.0\times10^{-3} 実験2: [\ce{A}]=0.20 、[\ce{B}]=0.10 、v = 8.0\times10^{-3} 実験3: [\ce{A}]=0.10 、[\ce{B}]=0.20 、v = 4.0\times10^{-3} (濃度 mol/L、速度 mol/(L·s))
解答 1と2: A が2倍で v が4倍 → a = 2 1と3: B が2倍で v が2倍 → b = 1 v = k[\ce{A}]^2[\ce{B}] 。実験1より k = \frac{2.0\times10^{-3}}{(0.10)^2 \times 0.10} = 2.0 答え v = k[\ce{A}]^2[\ce{B}] 、k = 2.0\ \mathrm{L^2/(mol^2\cdot s)}
注意 「係数が2だから2次」と決めつけない。次数は必ずデータから。
確認問題
1 v = k[\ce{A}][\ce{B}] で、A と B の濃度をともに3倍にすると速度は何倍か。
答え 9倍
着眼点 反応物が越える山の高さが活性化エネルギー E_a 。触媒は山を低くするだけで、ΔH(スタートとゴールの高さの差)と平衡の位置は変えない。
逆反応の活性化エネルギー = 正反応の E_a − ΔH。 触媒は正反応・逆反応の両方を同じだけ速くする → 平衡に達するまでの時間が短くなるだけ。 例題
1 ある反応の正反応の活性化エネルギーが 174 kJ、ΔH が -9 kJ である。逆反応の活性化エネルギーは。また触媒を加えると ΔH はどうなるか。
解答 逆反応の E_a = 174 - (-9) = 183 kJ 。ΔH は変わらない (始めと終わりの状態は同じ)。
ポイント エネルギー図を描き、山頂から左右の谷までの高さとして読む。
確認問題
答え 活性化エネルギー以上のエネルギーをもつ分子の割合が増えるから
着眼点 速度定数の温度依存を表す式。E_a が大きいほど温度の影響が大きい。
k = A e^{-\frac{E_a}{RT}},\qquad \log_e k = -\frac{E_a}{RT} + \log_e A \log_e k を 1/T に対してプロットすると直線で、傾きが -E_a/R 。
ポイント 後回しでよい理由: 共通テスト・地方国公立では定性的な理解で足りる。例外: 難関国公立・医学部では式を与えてグラフの傾きから E_a を求めさせる問題がある。
化学平衡 着眼点 平衡時のモル濃度を「生成物 ÷ 反応物」で、係数を指数にして掛ける。K は温度だけで決まる。
\ce{aA + bB <=> cC + dD} のとき
K = \frac{[\ce{C}]^c[\ce{D}]^d}{[\ce{A}]^a[\ce{B}]^b} 固体(\ce{C(s)} など)は式に入れない。
例題
1 体積 V L の容器に \ce{H2} と \ce{I2} を 1.0 mol ずつ入れ一定温度に保つと、\ce{HI} が 1.6 mol 生じて平衡に達した。\ce{H2 + I2 <=> 2HI} の平衡定数は。
解答 前: \ce{H2} 1.0、\ce{I2} 1.0、\ce{HI} 0 変化: −0.80、−0.80、+1.6 平衡: 0.20、0.20、1.6K = \frac{(1.6/V)^2}{(0.20/V)(0.20/V)} = \frac{2.56}{0.040} = 64 答え 64 (この反応は体積が約分で消える)
ポイント 必ず「前・変化・平衡」の3段の表を書く。変化量の比=係数の比。
注意 物質量のまま代入してよいのは、分子と分母で V が約分されるときだけ(両辺の係数の和が等しい反応)。
確認問題
1 \ce{2HI <=> H2 + I2} の平衡定数は(同温で \ce{H2 + I2 <=> 2HI} が 64 のとき)。
答え 1/64(逆数)
着眼点 変化量を x と置いて表を作り、K の式に代入して解く。解が2つ出たら、物質量が負にならないほうを選ぶ。
例題
1 前項と同じ温度(K = 64 )で、\ce{H2} 1.0 mol と \ce{I2} 2.0 mol を反応させた。平衡時の \ce{HI} の物質量を有効数字2桁で。\sqrt{6} = 2.45 とする。
解答 平衡: \ce{H2} 1.0 - x 、\ce{I2} 2.0 - x 、\ce{HI} 2x \frac{(2x)^2}{(1.0 - x)(2.0 - x)} = 64 4x^2 = 64(2 - 3x + x^2),\quad 15x^2 - 48x + 32 = 0 x = \frac{48 \pm \sqrt{2304 - 1920}}{30} = \frac{48 \pm 8\sqrt{6}}{30} 0 < x < 1.0 より x = \dfrac{48 - 19.6}{30} = 0.947 。\ce{HI} = 2x = 1.89 答え 1.9 mol (検算: 1.89^2 / (0.053 \times 1.053) = 3.58/0.0558 = 64 )
ポイント 最初に \ce{H2} と \ce{I2} が等量なら、両辺の平方根をとって1次方程式にできる(\dfrac{2x}{1.0 - x} = 8 )。
確認問題
1 K = 64 、\ce{H2} と \ce{I2} を 2.0 mol ずつ入れたときの平衡時の \ce{HI} は。
答え 3.2 mol(2x/(2.0 - x) = 8 より x = 1.6 )
着眼点 気体の反応では濃度の代わりに分圧で書ける。分圧 = 全圧 × モル分率。
K_p = \frac{p_{\ce{C}}^c\, p_{\ce{D}}^d}{p_{\ce{A}}^a\, p_{\ce{B}}^b},\qquad K_p = K_c (RT)^{\Delta n} \Delta n は(生成物の気体の係数の和)−(反応物の気体の係数の和)。
例題
1 \ce{N2O4 <=> 2NO2} で、\ce{N2O4} 1.0 mol のうち 20 % が解離して平衡に達し、全圧は 1.0\times10^5\ \mathrm{Pa} だった。K_p を有効数字2桁で。
解答 平衡: \ce{N2O4} 0.80 mol、\ce{NO2} 0.40 mol、合計 1.20 molp_{\ce{NO2}} = 1.0\times10^5 \times 0.40/1.20 = 3.33\times10^4 p_{\ce{N2O4}} = 1.0\times10^5 \times 0.80/1.20 = 6.67\times10^4 K_p = \frac{(3.33\times10^4)^2}{6.67\times10^4} = 1.67\times10^4 答え 1.7\times10^4\ \mathrm{Pa}
ポイント 解離度 \alpha 、全圧 P なら K_p = \dfrac{4\alpha^2}{1 - \alpha^2}P 。上の例で 4 \times 0.04/0.96 \times 10^5 = 1.67\times10^4 と一致。
注意 K_p の単位は \Delta n によって変わる(この例では Pa)。
確認問題
1 \ce{N2 + 3H2 <=> 2NH3} の \Delta n は。
答え -2 (2 - 4 )
着眼点 加えた変化を打ち消す向き に平衡が移動する。条件ごとに向きを機械的に決められるようにする。
加えた変化 移動する向き ある物質の濃度を上げる その物質が減る向き 加圧(体積を小さく) 気体の分子数が減る向き 加熱 吸熱の向き(ΔH が正の向き) 触媒を加える 移動しない(平衡に早く達するだけ) 体積一定で貴ガスを加える 移動しない(各分圧が変わらない) 全圧一定で貴ガスを加える 気体の分子数が増える向き(体積が増え各分圧が下がる)
例題
1 \ce{N2 + 3H2 <=> 2NH3} \Delta H = -92\ \mathrm{kJ} について、(1) 加圧 (2) 加熱 (3) 触媒を加える (4) 体積一定でアルゴンを加える、のとき平衡はどちらへ移動するか。
解答 (1) 右(分子数 4 → 2 で減る向き) (2) 左(正反応は発熱なので、吸熱の向きは左) (3) 移動しない (4) 移動しない
ポイント ハーバー・ボッシュ法では、平衡だけなら低温が有利だが、速度が遅くなりすぎるので触媒(鉄が主成分)を使い高温・高圧で行う。
注意 温度を変えると K そのものが変わる。濃度・圧力の変化では K は変わらない。
確認問題
1 \ce{2NO2 <=> N2O4} (正反応は発熱)。冷やすと気体の色はどうなるか。
答え 薄くなる(発熱の向き=右へ移動し、赤褐色の \ce{NO2} が減る)
電離平衡と溶解度積 着眼点 電離度 \alpha が小さい(1 - \alpha \fallingdotseq 1 )とみなして、[\ce{H+}] = \sqrt{cK_a} 。
K_a = \frac{[\ce{H+}][\ce{A-}]}{[\ce{HA}]} = \frac{c\alpha^2}{1 - \alpha} \fallingdotseq c\alpha^2 \alpha = \sqrt{\frac{K_a}{c}},\qquad [\ce{H+}] = c\alpha = \sqrt{cK_a}
例題
1 0.10 mol/L の酢酸水溶液の pH と電離度を求めよ。K_a = 2.5\times10^{-5}\ \mathrm{mol/L} 、\log_{10} 2 = 0.30 。
解答 [\ce{H+}] = \sqrt{0.10 \times 2.5\times10^{-5}} = \sqrt{2.5\times10^{-6}} = \frac{1}{2}\sqrt{10}\times10^{-3} \mathrm{pH} = 3 - \log_{10}\sqrt{2.5} = 3 - \frac{1}{2}(1 - 2 \times 0.30) = 3 - 0.20 = 2.8 \alpha = [\ce{H+}]/c = 1.58\times10^{-3}/0.10 = 1.6\times10^{-2} 答え pH 2.8、電離度 1.6\times10^{-2}
ポイント 弱塩基(アンモニアなど)も同じ形: [\ce{OH-}] = \sqrt{cK_b} を出してから pOH → pH。
注意 濃度が非常に薄いと \alpha が大きくなり、近似が使えない。\alpha が 0.05 程度を超えたら二次方程式で解く。
確認問題
1 弱酸の濃度を 1/100 にすると、電離度は何倍か。
答え 10倍(\alpha = \sqrt{K_a/c} )
着眼点 弱酸とその塩(または弱塩基とその塩)の混合液。酢酸イオンの濃度は塩の濃度、酢酸の濃度は加えた酸の濃度とみなす。
[\ce{H+}] = K_a \times \frac{c_{\text{acid}}}{c_{\text{salt}}} c_{\text{acid}} は弱酸の濃度、c_{\text{salt}} は塩の濃度(同じ溶液中なので物質量の比でもよい)。
酸を加えても \ce{CH3COO- + H+ -> CH3COOH} で \ce{H+} が消費される。 塩基を加えても \ce{CH3COOH + OH- -> CH3COO- + H2O} で \ce{OH-} が消費される。 例題
1 酢酸 0.20 mol と酢酸ナトリウム 0.10 mol を水に溶かして 1.0 L にした。pH は。K_a = 2.0\times10^{-5}\ \mathrm{mol/L} 、\log_{10} 2 = 0.30 。
解答 [\ce{H+}] = 2.0\times10^{-5} \times \frac{0.20}{0.10} = 4.0\times10^{-5} \mathrm{pH} = 5 - \log_{10} 4 = 5 - 0.60 = 4.4 答え 4.4
ポイント 酢酸に \ce{NaOH} を半分だけ加えた溶液も緩衝液(酸と塩が等量で [\ce{H+}] = K_a )。滴定曲線の中間点の pH が \mathrm{p}K_a になる理由。
確認問題
1 酢酸 0.20 mol に \ce{NaOH} 0.10 mol を加えた溶液の [\ce{H+}] は(K_a = 2.0\times10^{-5} )。
答え 2.0\times10^{-5}\ \mathrm{mol/L} (酢酸 0.10 mol と酢酸ナトリウム 0.10 mol になる)
着眼点 弱酸と強塩基の塩は塩基性、強酸と弱塩基の塩は酸性。計算は加水分解定数 K_h = K_w/K_a を使って弱塩基と同じ形にする。
\ce{CH3COO- + H2O <=> CH3COOH + OH-},\qquad K_h = \frac{K_w}{K_a} [\ce{OH-}] = \sqrt{cK_h} = \sqrt{\frac{cK_w}{K_a}}
例題
1 0.20 mol/L の酢酸ナトリウム水溶液の pH は。K_a = 2.0\times10^{-5}\ \mathrm{mol/L} 、K_w = 1.0\times10^{-14}\ \mathrm{mol^2/L^2} 。
解答 K_h = 1.0\times10^{-14}/2.0\times10^{-5} = 5.0\times10^{-10} [\ce{OH-}] = \sqrt{0.20 \times 5.0\times10^{-10}} = \sqrt{1.0\times10^{-10}} = 1.0\times10^{-5} pOH = 5.0 より 答え pH 9.0
ポイント 中和滴定の中和点の pH がこれ。酢酸を \ce{NaOH} で滴定すると中和点は塩基性 → 指示薬はフェノールフタレイン。
確認問題
1 \ce{NH4Cl} 水溶液は酸性・中性・塩基性のどれか。
答え 酸性(強酸と弱塩基の塩)
着眼点 混ぜた直後 のイオン濃度の積が K_{sp} を超えたら沈殿が生じる。等量混合なら濃度は半分になる。
\ce{AgCl(s) <=> Ag+ + Cl-},\qquad K_{sp} = [\ce{Ag+}][\ce{Cl-}] イオン濃度の積 > K_{sp} → 沈殿する。 イオン濃度の積 \le K_{sp} → 沈殿しない。 例題
1 2.0\times10^{-4}\ \mathrm{mol/L} の \ce{AgNO3} 水溶液と 2.0\times10^{-4}\ \mathrm{mol/L} の \ce{NaCl} 水溶液を等体積混合した。沈殿は生じるか。\ce{AgCl} の K_{sp} = 1.8\times10^{-10}\ \mathrm{mol^2/L^2} 。
解答 混合直後 [\ce{Ag+}] = [\ce{Cl-}] = 1.0\times10^{-4} 積 = 1.0\times10^{-8} > 1.8\times10^{-10} 答え 沈殿が生じる
2 0.10 mol/L の \ce{NaCl} 水溶液に \ce{AgCl} は何 mol/L まで溶けるか。K_{sp} は上と同じ。
解答 溶ける量を s とすると [\ce{Cl-}] = 0.10 + s \fallingdotseq 0.10 s = 1.8\times10^{-10}/0.10 答え 1.8\times10^{-9}\ \mathrm{mol/L} (純水中の \sqrt{1.8\times10^{-10}} = 1.3\times10^{-5} よりずっと小さい=共通イオン効果)
注意 \ce{Ag2CrO4} のような型では K_{sp} = [\ce{Ag+}]^2[\ce{CrO4^2-}] と係数が指数に入る。
確認問題
答え 同じイオンを含む電解質を加えると、そのイオンが減る向きに平衡が移り、溶解度が小さくなること
着眼点 2段階の電離をまとめると [\ce{S^2-}] は [\ce{H+}]^2 に反比例。酸性では [\ce{S^2-}] が小さく、溶解度積の非常に小さい硫化物(\ce{CuS} など)だけが沈殿する。
\ce{H2S <=> 2H+ + S^2-},\qquad K_1K_2 = \frac{[\ce{H+}]^2[\ce{S^2-}]}{[\ce{H2S}]}
ポイント 後回しでよい理由: 地方国公立では「酸性で沈殿する硫化物・中性〜塩基性で沈殿する硫化物」の暗記(無機分野)で足りる。例外: 難関国公立・医学部で、[\ce{S^2-}] を計算して沈殿の有無を判定させる問題がある。
確認問題
1 酸性溶液に \ce{H2S} を通じると、\ce{Cu^2+} と \ce{Zn^2+} のどちらが沈殿するか。
答え \ce{Cu^2+} (\ce{CuS} 黒色)。\ce{ZnS} は中性〜塩基性で沈殿する
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電池と電気分解 電池は「イオン化傾向の大きい方が負極(酸化)」、電気分解は「陰極で還元・陽極で酸化」。生成物の決め方とファラデーの法則(電子の物質量)で計算はすべて解ける。
電池 着眼点 負極 = 電子を出す(酸化)= イオン化傾向の大きい金属。正極 = 電子を受け取る(還元)。電子は外部回路を負極 → 正極へ流れる(電流は逆)。
2種類の金属のイオン化傾向の差が大きいほど、起電力は大きい。
負極 正極 起こる反応 酸化(電子を放出) 還元(電子を受け取る) 金属の組なら イオン化傾向が大きい方 イオン化傾向が小さい方 外部回路 電子が出ていく 電子が入ってくる
例題
1 亜鉛と銅、マグネシウムと銅の組で電池をつくる。起電力が大きいのはどちらか。どちらの組でも負極になるのは何か。
解答 マグネシウムと銅(イオン化傾向の差が大きい)。負極は亜鉛またはマグネシウム(銅よりイオン化傾向が大きい側)。
ポイント 「負極・酸化・アノード」「正極・還元・カソード」と、電気分解の「陽極・酸化」「陰極・還元」を混同しない。酸化が起こる極がアノード、という一点で両方つながる。
確認問題
1 電池の外部回路で、電子はどちらの極からどちらの極へ流れるか。
答え 負極から正極へ
着眼点 亜鉛板を硫酸亜鉛水溶液に、銅板を硫酸銅(Ⅱ)水溶液に浸し、素焼き板で仕切る。負極で \ce{Zn} が溶け、正極で \ce{Cu} が析出する。
\ce{(-) Zn | ZnSO4 aq | CuSO4 aq | Cu (+)} 負極: \ce{Zn -> Zn^2+ + 2e-} 正極: \ce{Cu^2+ + 2e- -> Cu}
素焼き板: 2つの水溶液がすぐに混ざるのを防ぎつつ、イオンを通して電気的なつり合いを保つ。 長く使うには、\ce{ZnSO4} は薄く、\ce{CuSO4} は濃くする。 例題
1 ダニエル電池で 0.10 mol の電子が流れた。亜鉛板と銅板の質量はそれぞれ何 g 変化するか。\ce{Zn}=65.4 、\ce{Cu}=63.5 。
解答 電子 2 mol で各 1 mol 反応するので、各 0.050 mol。 亜鉛板: 0.050 \times 65.4 = 3.27 → 3.27 g 減少 銅板: 0.050 \times 63.5 = 3.175 → 3.18 g 増加
注意 素焼き板の代わりにガラス板で完全に仕切ると、イオンが移動できず電流が流れない。
確認問題
1 放電中、素焼き板を通って \ce{SO4^2-} はどちら側へ移動するか。
答え 亜鉛側(\ce{Zn^2+} が増えて正電荷が過剰になる側)
着眼点 亜鉛板と銅板を希硫酸に浸したもの。正極(銅)で起こるのは銅の析出ではなく水素の発生。
\ce{(-) Zn | H2SO4 aq | Cu (+)} 負極: \ce{Zn -> Zn^2+ + 2e-} 正極: \ce{2H+ + 2e- -> H2}
放電を始めるとすぐに起電力が低下する(電池の分極)。過酸化水素などの酸化剤を加えると回復する。
例題
解答 変化しない。銅板は電子の受け渡しの場になるだけで、そこで \ce{H+} が還元されて水素が発生する。
着眼点 放電で両極とも \ce{PbSO4} になり質量が増える 。電子 2 mol あたり、負極 +96 g、正極 +64 g、硫酸 2 mol 消費・水 2 mol 生成。
\ce{(-) Pb | H2SO4 aq | PbO2 (+)} 負極: \ce{Pb + SO4^2- -> PbSO4 + 2e-}
正極: \ce{PbO2 + 4H+ + SO4^2- + 2e- -> PbSO4 + 2H2O}
全体: \ce{Pb + PbO2 + 2H2SO4 -> 2PbSO4 + 2H2O} (電子 2 mol)
充電は逆反応(二次電池)。
例題
1 鉛蓄電池を 1.93 A で 10000 秒間放電させた。負極・正極の質量変化を求めよ。F = 9.65\times10^4\ \mathrm{C/mol} 、\ce{O}=16 、\ce{S}=32 。
解答 1.93 \times 10000 = 19300\ \mathrm{C} 、電子 19300/(9.65\times10^4) = 0.200\ \mathrm{mol} 負極: \ce{Pb -> PbSO4} で \ce{SO4} (96)が付く。0.100 \times 96 = 9.6 → 9.6 g 増加 正極: \ce{PbO2 -> PbSO4} で \ce{SO2} (64)分増える。0.100 \times 64 = 6.4 → 6.4 g 増加
2 上の放電で、はじめ 35.0 % の希硫酸 1000 g を使っていた。放電後の質量パーセント濃度を有効数字2桁で。\ce{H2SO4}=98 、\ce{H2O}=18 。
解答 電子 0.200 mol で \ce{H2SO4} 0.200 mol(19.6 g)消費、\ce{H2O} 0.200 mol(3.6 g)生成。 溶質 350 - 19.6 = 330.4\ \mathrm{g} 、溶液 1000 - 19.6 + 3.6 = 984.0\ \mathrm{g} \frac{330.4}{984.0}\times100 = 33.6 答え 34 % (検算: 溶液の減少 16.0 g = 両極の増加 9.6 + 6.4 )
ポイント 電子 1 mol あたりに直すと、負極 +48 g、正極 +32 g、溶液 −80 g(98 - 18 )。
確認問題
答え 大きくなる(放電の逆で \ce{H2SO4} が生じ、水が消費される)
着眼点 水素の燃焼反応のエネルギーを電気として取り出す。負極に \ce{H2} 、正極に \ce{O2} 。生成物は水だけ。
リン酸形(電解質が酸):
負極: \ce{H2 -> 2H+ + 2e-} 正極: \ce{O2 + 4H+ + 4e- -> 2H2O}
アルカリ形(電解質が \ce{KOH} 水溶液):
負極: \ce{H2 + 2OH- -> 2H2O + 2e-} 正極: \ce{O2 + 2H2O + 4e- -> 4OH-}
どちらも全体は \ce{2H2 + O2 -> 2H2O} 。
例題
1 燃料電池で水素 1.0 mol が反応したとき、流れた電気量は何 C か。有効数字2桁で。F = 9.65\times10^4\ \mathrm{C/mol} 。
解答 \ce{H2} 1 mol で電子 2 mol。2.0 \times 9.65\times10^4 = 1.93\times10^5 答え 1.9\times10^5\ \mathrm{C}
確認問題
1 燃料電池で酸素 0.50 mol が反応すると、電子は何 mol 流れるか。
答え 2.0 mol(\ce{O2} 1 mol で電子 4 mol)
着眼点 一次電池(使い切り)か二次電池(充電できる)か、負極と正極の活物質を表で押さえる。
電池 負極 電解質 正極 種類 マンガン乾電池 \ce{Zn} \ce{ZnCl2} 、\ce{NH4Cl} \ce{MnO2} 一次 アルカリマンガン乾電池 \ce{Zn} \ce{KOH} \ce{MnO2} 一次 酸化銀電池 \ce{Zn} \ce{KOH} \ce{Ag2O} 一次 鉛蓄電池 \ce{Pb} \ce{H2SO4} \ce{PbO2} 二次 ニッケル・水素電池 水素吸蔵合金 \ce{KOH} \ce{NiO(OH)} 二次 リチウムイオン電池 リチウムを含む黒鉛 リチウム塩を含む有機溶媒 \ce{LiCoO2} など二次
例題
1 次のうち二次電池をすべて選べ。マンガン乾電池、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、酸化銀電池
解答 鉛蓄電池、リチウムイオン電池
ポイント 乾電池3種は「負極はすべて亜鉛」。二次電池は「鉛・ニッケル水素・リチウムイオン」の3つをまず覚える。
確認問題
1 リチウムイオン電池の電解液に水を使わない理由は。
答え リチウムは水と激しく反応するから(有機溶媒を使う)
電気分解 着眼点 陰極(電源の負極側)では還元、陽極(電源の正極側)では酸化。下の表を上から順に当てはめる。
極 条件 反応 陰極 \ce{Ag+} 、\ce{Cu^2+} がある\ce{Ag+ + e- -> Ag} 、\ce{Cu^2+ + 2e- -> Cu} 陰極 酸性(\ce{H+} が多い) \ce{2H+ + 2e- -> H2} 陰極 イオン化傾向の大きい金属イオンだけ(\ce{Na+} 、\ce{K+} など) \ce{2H2O + 2e- -> H2 + 2OH-} 陽極 電極が \ce{Cu} 、\ce{Ag} など(白金・金・炭素以外) 電極が溶ける: \ce{Cu -> Cu^2+ + 2e-} 陽極 \ce{Cl-} 、\ce{I-} がある\ce{2Cl- -> Cl2 + 2e-} 、\ce{2I- -> I2 + 2e-} 陽極 塩基性(\ce{OH-} が多い) \ce{4OH- -> O2 + 2H2O + 4e-} 陽極 \ce{SO4^2-} 、\ce{NO3-} だけ\ce{2H2O -> O2 + 4H+ + 4e-}
例題
1 白金電極で硫酸ナトリウム水溶液を電気分解した。各極の反応は。
解答 陰極: \ce{Na+} は還元されないので \ce{2H2O + 2e- -> H2 + 2OH-} 陽極: \ce{SO4^2-} は酸化されないので \ce{2H2O -> O2 + 4H+ + 4e-} 結果として水の電気分解(\ce{H2} と \ce{O2} が体積比 2:1)。
ポイント 陰極は「Cu・Ag なら金属、それ以外は水素」、陽極は「電極が溶けるか → ハロゲン → 酸素」。
注意 陽極に銅を使うと、溶液に \ce{Cl-} があっても電極の銅が先に溶ける。電極の材質を最初に見る。
確認問題
1 炭素電極で塩化銅(Ⅱ)水溶液を電気分解した。各極の生成物は。
答え 陰極 \ce{Cu} 、陽極 \ce{Cl2}
着眼点 前項のルールを当てはめた結果を一覧で確認する。「水溶液・電極」の2つを見れば決まる。
水溶液(電極) 陰極 陽極 \ce{CuSO4} (白金)\ce{Cu} \ce{O2} \ce{CuSO4} (銅)\ce{Cu} \ce{Cu} が溶ける\ce{AgNO3} (白金)\ce{Ag} \ce{O2} \ce{NaCl} (炭素)\ce{H2} \ce{Cl2} \ce{KI} (白金)\ce{H2} \ce{I2} \ce{H2SO4} (白金)\ce{H2} \ce{O2} \ce{NaOH} (白金)\ce{H2} \ce{O2}
例題
1 白金電極で硫酸銅(Ⅱ)水溶液を電気分解すると、水溶液の pH はどう変化するか。
解答 陽極で \ce{2H2O -> O2 + 4H+ + 4e-} により \ce{H+} が増えるので、pH は小さくなる 。
ポイント 銅電極で硫酸銅(Ⅱ)水溶液を電気分解すると、陽極で溶けた分だけ陰極に析出するので、溶液の \ce{Cu^2+} の濃度は変わらない。
確認問題
1 白金電極で \ce{NaOH} 水溶液を電気分解すると、陽極で起こる反応は。
答え \ce{4OH- -> O2 + 2H2O + 4e-}
着眼点 電気量 Q = It → 電子の物質量 Q/F → 半反応式の係数比で生成物の物質量。この3段で全部解ける。
Q\ [\mathrm{C}] = I\ [\mathrm{A}] \times t\ [\mathrm{s}],\qquad n_{\ce{e-}} = \frac{Q}{F},\qquad F = 9.65\times10^4\ \mathrm{C/mol}
例題
1 白金電極で硫酸銅(Ⅱ)水溶液を 2.0 A で 32 分 10 秒間電気分解した。陰極に析出する銅の質量と、陽極で発生する気体の体積(標準状態、22.4 L/mol)を有効数字2桁で。\ce{Cu}=63.5 、F = 9.65\times10^4\ \mathrm{C/mol} 。
解答 t = 32 \times 60 + 10 = 1930\ \mathrm{s} 、Q = 2.0 \times 1930 = 3860\ \mathrm{C} 電子 3860/(9.65\times10^4) = 0.0400\ \mathrm{mol} 陰極 \ce{Cu^2+ + 2e- -> Cu} : \ce{Cu} 0.0200 mol、0.0200 \times 63.5 = 1.27 → 1.3 g 陽極 \ce{2H2O -> O2 + 4H+ + 4e-} : \ce{O2} 0.0100 mol、0.0100 \times 22.4 = 0.224 → 0.22 L
ポイント 1930 秒・9650 秒・965 秒など、F と相性のよい数がよく使われる。分・時間は必ず秒に直す。
注意 電子 1 mol で何 mol できるかは、半反応式の電子の係数で決まる(\ce{Ag} は1、\ce{Cu} ・\ce{H2} ・\ce{Cl2} は1/2、\ce{O2} は1/4)。
確認問題
1 電子 0.20 mol が流れたとき、陰極で発生する水素は何 mol か。
答え 0.10 mol
着眼点 塩化ナトリウム水溶液を陽イオン交換膜で仕切って電気分解。\ce{Na+} だけが膜を通って陰極側へ移り、陰極側に \ce{NaOH} がたまる。
陽極: \ce{2Cl- -> Cl2 + 2e-} 陰極: \ce{2H2O + 2e- -> H2 + 2OH-}
膜がないと、生じた \ce{Cl2} と \ce{OH-} が反応してしまい、純度の高い \ce{NaOH} が得られない。
例題
1 イオン交換膜法で 10.0 A の電流を 9650 秒間流した。得られる \ce{NaOH} の質量と、陽極で発生する気体の物質量は。F = 9.65\times10^4\ \mathrm{C/mol} 、\ce{NaOH}=40.0 。
解答 Q = 10.0 \times 9650 = 96500\ \mathrm{C} 、電子 1.00 mol\ce{OH-} 1.00 mol = \ce{NaOH} 1.00 mol → 40.0 g 陽極の \ce{Cl2} : 0.500 mol
着眼点 直列ならどの槽にも同じ電子の量 が流れる。並列なら各槽の電子の量の和 が全体の量。
例題
1 硝酸銀水溶液と硫酸銅(Ⅱ)水溶液の電解槽(電極はすべて白金)を直列につないで電気分解したところ、銀が 2.16 g 析出した。銅は何 g 析出したか。\ce{Ag}=108 、\ce{Cu}=63.5 。
解答 銀 2.16/108 = 0.0200\ \mathrm{mol} = 電子 0.0200 mol 直列なので銅の槽にも電子 0.0200 mol。銅は 0.0100 mol、0.0100 \times 63.5 = 0.635 答え 0.635 g
2 同じ2つの電解槽を並列につなぎ、全体に 5.00 A を 1930 秒間流すと、銀が 5.40 g 析出した。銅は何 g 析出したか。F = 9.65\times10^4\ \mathrm{C/mol} 。
解答 全体の電子 5.00 \times 1930/(9.65\times10^4) = 0.100\ \mathrm{mol} 銀の槽 5.40/108 = 0.0500\ \mathrm{mol} 銅の槽 0.100 - 0.0500 = 0.0500\ \mathrm{mol} → 銅 0.0250 mol、0.0250 \times 63.5 = 1.5875 答え 1.59 g
確認問題
1 直列につないだ2槽で、一方の陰極に \ce{H2} が 0.10 mol 発生した。もう一方の陰極に析出する銀は何 mol か。
答え 0.20 mol(電子 0.20 mol が共通)
着眼点 電解精錬は「粗銅を陽極、純銅を陰極」。アルミニウムはイオン化傾向が大きく水溶液からは得られないので、融解した塩を電気分解する。
銅の電解精錬 : 硫酸酸性の硫酸銅(Ⅱ)水溶液中で、粗銅(陽極)が溶け、純銅(陰極)に \ce{Cu} が析出。銅よりイオン化傾向の小さい \ce{Ag} ・\ce{Au} は陽極の下に陽極泥 として沈む。大きい \ce{Fe} ・\ce{Ni} ・\ce{Zn} などはイオンとして溶液に残る。アルミニウムの溶融塩電解 : 氷晶石 \ce{Na3AlF6} を融解し、酸化アルミニウムを溶かして炭素電極で電気分解。陰極: \ce{Al^3+ + 3e- -> Al} 。陽極の炭素は酸化物イオンと反応して \ce{CO} 、\ce{CO2} になり消耗する。例題
1 アルミニウム 27 g を溶融塩電解で得るのに必要な電気量を有効数字2桁で。\ce{Al}=27 、F = 9.65\times10^4\ \mathrm{C/mol} 。
解答 \ce{Al} 1.0 mol に電子 3.0 mol。3.0 \times 9.65\times10^4 = 2.895\times10^5 答え 2.9\times10^5\ \mathrm{C}
ポイント 氷晶石を使う理由: 酸化アルミニウムの融点が非常に高いので、融解した氷晶石に溶かして低い温度で電気分解するため。
注意 電解精錬では、陽極の質量減少と陰極の質量増加は一致しない(陽極では銅以外の金属も溶けたり陽極泥として落ちたりするため)。
着眼点 各電極の電位の差として起電力を求める考え方。高校の教科書では発展扱い。
起電力 =(正極の電極電位)−(負極の電極電位)。値はすべて問題文で与えられる。
ポイント 後回しでよい理由: 共通テスト・地方国公立では、イオン化傾向の差で起電力の大小を比べられれば足りる。例外: 難関国公立・医学部で、電位の表を与えて起電力や反応の向きを判断させる問題がある。
確認問題
1 電極電位が +0.34\ \mathrm{V} の極と -0.76\ \mathrm{V} の極で電池をつくると、起電力は。
答え 1.10 V(0.34 - (-0.76) )
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無機(非金属元素) 気体の発生・捕集・乾燥を「反応の型」で整理し、ハロゲン・硫黄・窒素・炭素ケイ素の性質と工業的製法を表で押さえる。
気体の発生と扱い 着眼点 試薬を丸暗記せず反応の型 (弱酸の遊離・揮発性酸の遊離・弱塩基の遊離・酸化還元・分解)で分けると、反応式が自分で書ける。
主な反応式
\ce{MnO2 + 4HCl -> MnCl2 + Cl2 ^ + 2H2O}
\ce{NaCl + H2SO4 -> NaHSO4 + HCl ^}
\ce{2NH4Cl + Ca(OH)2 -> CaCl2 + 2H2O + 2NH3 ^}
\ce{FeS + H2SO4 -> FeSO4 + H2S ^}
\ce{Cu + 2H2SO4 -> CuSO4 + 2H2O + SO2 ^}
\ce{3Cu + 8HNO3 -> 3Cu(NO3)2 + 4H2O + 2NO ^}
\ce{Cu + 4HNO3 -> Cu(NO3)2 + 2H2O + 2NO2 ^} 気体 試薬 加熱 型 \ce{H2} 亜鉛+希硫酸(希塩酸) 不要 酸化還元 \ce{O2} 過酸化水素水+酸化マンガン(IV)(触媒) 不要 分解 \ce{O2} 塩素酸カリウム+酸化マンガン(IV)(触媒) 要 分解 \ce{Cl2} 酸化マンガン(IV)+濃塩酸 要 酸化還元 \ce{Cl2} 高度さらし粉+塩酸 不要 酸化還元 \ce{HCl} 塩化ナトリウム+濃硫酸 要 揮発性酸の遊離 \ce{HF} ホタル石 \ce{CaF2} +濃硫酸 要 揮発性酸の遊離 \ce{NH3} 塩化アンモニウム+水酸化カルシウム 要 弱塩基の遊離 \ce{CO2} 石灰石+希塩酸 不要 弱酸の遊離 \ce{H2S} 硫化鉄(II)+希硫酸(希塩酸) 不要 弱酸の遊離 \ce{SO2} 銅+濃硫酸(熱濃硫酸) 要 酸化還元 \ce{SO2} 亜硫酸水素ナトリウム+希硫酸 不要 弱酸の遊離 \ce{NO} 銅+希硝酸 不要 酸化還元 \ce{NO2} 銅+濃硝酸 不要 酸化還元 \ce{CO} ギ酸+濃硫酸 要 脱水
例題
1 石灰石に希塩酸を加えたときの反応式を書き、反応の型を答えよ。
解答 \ce{CaCO3 + 2HCl -> CaCl2 + H2O + CO2 ^} 強酸(塩酸)が弱酸(炭酸)の塩から弱酸を追い出す弱酸の遊離 。発生する \ce{H2CO3} が \ce{H2O + CO2} に分かれる。
2 塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて加熱すると \ce{HCl} が発生する。塩酸は強酸なのに、なぜこの反応が進むのか。
解答 硫酸は不揮発性、塩化水素は揮発性。加熱すると \ce{HCl} が気体として系外に出ていくので、平衡が生成側に移り反応が進む(揮発性酸の遊離 )。
ポイント 加熱が要るのは「濃硫酸を使う (\ce{HCl,\ HF,\ SO2,\ CO} )」「固体どうし (\ce{NH3} 、\ce{KClO3} )」「酸化マンガン(IV)+濃塩酸 」の3パターン。それ以外は常温。
注意 銅と希硝酸は \ce{NO} 、濃硝酸は \ce{NO2} 。逆に覚える生徒が多い。「濃い方が酸素が多い」と覚える。
確認問題
1 \ce{NH3} の発生で、試験管の口を少し下げて加熱するのはなぜか。
答え 生じた水が加熱部に流れ戻って試験管が割れるのを防ぐため(固体どうしの加熱に共通)。
2 硫化鉄(II)に希硫酸を加えて生じる気体と、反応の型は?
答え \ce{H2S} 。弱酸の遊離(強酸が弱酸 \ce{H2S} を追い出す)。
着眼点 捕集は「水に溶けるか」→「空気より重いか(分子量29と比較)」の順に判断。乾燥剤は酸と塩基をぶつけない が原則。
酸性の乾燥剤 (濃硫酸、十酸化四リン \ce{P4O10} ):塩基性の \ce{NH3} には使えない。濃硫酸は \ce{H2S} も酸化してしまうので不可。
塩基性の乾燥剤 (酸化カルシウム、ソーダ石灰):酸性の気体(\ce{Cl2, HCl, CO2, SO2, H2S, NO2} )には使えない。
中性の乾燥剤 (塩化カルシウム):ほぼ何にでも使えるが、\ce{NH3} だけは不可 (\ce{NH3} と結合して吸収してしまう)。
捕集法 条件 主な気体 水上置換 水に溶けにくい \ce{H2, O2, N2, NO, CO, CH4, C2H4} 上方置換 水に溶け、空気より軽い \ce{NH3} (ほぼこれだけ)下方置換 水に溶け、空気より重い \ce{Cl2, HCl, H2S, SO2, NO2, CO2}
例題
1 酸化マンガン(IV)と濃塩酸から塩素を得る。発生した気体を洗気びん2本に通して純粋な乾いた塩素を得るには、どの順に何を通すか。捕集法も答えよ。
解答 ①水 :揮発してきた \ce{HCl} を除く → ②濃硫酸 :水蒸気を除く。 順序を逆にすると、②で乾かしたあと①で再び水蒸気が混じる。 塩素は水に溶け空気より重い(分子量71)ので下方置換 。
ポイント 乾燥剤の表は「\ce{NH3} に使えるのは塩基性(\ce{CaO} ・ソーダ石灰)だけ」から覚えると速い。
注意 \ce{CO2} は水に少し溶けるが、教科書では下方置換が基本(水上置換で集めることもある)。
確認問題
1 \ce{NH3} を乾燥させるのに塩化カルシウムを使えない理由は?
答え \ce{CaCl2} が \ce{NH3} と結合して(\ce{CaCl2.8NH3} をつくる)吸収してしまうため。
2 \ce{H2S} の乾燥に濃硫酸が使えない理由は?
答え \ce{H2S} は還元剤で、濃硫酸に酸化されてしまうため(酸塩基の問題ではない)。
着眼点 色がつく気体は少ない(\ce{Cl2} 黄緑・\ce{NO2} 赤褐・\ce{O3} 淡青)。検出は「何と反応して何が見えるか」をセットで。
気体 色・におい 検出法と結果 \ce{Cl2} 黄緑色・刺激臭 ヨウ化カリウムデンプン紙が青紫色 \ce{NH3} 無色・刺激臭 濃塩酸を近づけると白煙(\ce{NH4Cl} )。赤色リトマス紙が青 \ce{HCl} 無色・刺激臭 アンモニアを近づけると白煙 \ce{H2S} 無色・腐卵臭 酢酸鉛(II)紙が黒(\ce{PbS} ) \ce{CO2} 無色・無臭 石灰水が白濁(\ce{CaCO3} ) \ce{SO2} 無色・刺激臭 漂白作用(還元による) \ce{NO} 無色 空気に触れると赤褐色(\ce{NO2} になる) \ce{NO2} 赤褐色・刺激臭 水に溶けて酸性 \ce{O3} 淡青色・特異臭 ヨウ化カリウムデンプン紙が青紫色
例題
1 石灰水に二酸化炭素を通し続けると、白濁したのちに再び透明になる。それぞれの反応式を書け。
解答 \ce{Ca(OH)2 + CO2 -> CaCO3 v + H2O} \ce{CaCO3 + CO2 + H2O -> Ca(HCO3)2} 炭酸水素カルシウムは水に溶けるので透明に戻る。
ポイント 刺激臭は「\ce{Cl2, HCl, NH3, SO2, NO2} 」、腐卵臭は \ce{H2S} だけ。においの問題はこの6つで足りる。
確認問題
1 無色の気体を空気中に出したら赤褐色になった。この気体は?
答え \ce{NO} (\ce{2NO + O2 -> 2NO2} )
ハロゲン 着眼点 原子番号が小さいほど酸化力が強い (\ce{F2 > Cl2 > Br2 > I2} )。強い方が弱い方のイオンを酸化して単体を追い出す。
\ce{2F2 + 2H2O -> 4HF + O2}
\ce{Cl2 + H2O <=> HCl + HClO}
次亜塩素酸 \ce{HClO} が強い酸化作用をもつので、塩素水は殺菌・漂白に使われる。
単体 常温の状態・色 水素との反応 水との反応 \ce{F2} 気体・淡黄色 冷暗所でも爆発的 激しく反応し \ce{O2} 発生 \ce{Cl2} 気体・黄緑色 光で爆発的 一部反応(塩素水) \ce{Br2} 液体・赤褐色 加熱・触媒で反応 少し溶ける \ce{I2} 固体・黒紫色(昇華性) 加熱で一部反応 ほとんど溶けない(\ce{KI} 水溶液には溶ける)
例題
1 臭化カリウム水溶液に塩素を通すと溶液が褐色になる。反応式を書け。また、ヨウ化カリウム水溶液に臭素水を加えたときの反応式も書け。
解答 \ce{2KBr + Cl2 -> 2KCl + Br2} \ce{2KI + Br2 -> 2KBr + I2} どちらも酸化力の強いハロゲンが、弱いハロゲンの陰イオンを酸化している。
ポイント 状態は「気・気・液・固」、色は「淡黄・黄緑・赤褐・黒紫」とリズムで。
確認問題
1 塩化カリウム水溶液にヨウ素を加えると反応するか。
答え 反応しない。\ce{I2} は \ce{Cl2} より酸化力が弱く、\ce{Cl-} を酸化できない。
着眼点 フッ素だけ例外 :\ce{HF} は弱酸・沸点が高い・ガラスを溶かす、\ce{AgF} は水に溶ける。
\ce{SiO2 + 6HF -> H2SiF6 + 2H2O} フッ化水素酸はガラス(主成分 \ce{SiO2} )を溶かすので、ポリエチレン容器に保存する。
\ce{HF} \ce{HCl} \ce{HBr} \ce{HI} 水溶液の酸性 弱酸 強酸 強酸 強酸 沸点 最も高い(水素結合) 低い ↓ ↓ 銀塩 \ce{AgF} 水に溶ける\ce{AgCl} 白色沈殿\ce{AgBr} 淡黄色沈殿\ce{AgI} 黄色沈殿
ポイント ハロゲン化銀は光で分解して銀が析出する(感光性)。写真フィルムに \ce{AgBr} が使われた理由。
確認問題
1 フッ化水素酸をガラス瓶に保存できないのはなぜか。反応式とともに答えよ。
答え \ce{SiO2 + 6HF -> H2SiF6 + 2H2O} でガラスが溶けるため。
2 ハロゲン化水素のうち、沸点が最も高いのはどれか。理由も。
答え \ce{HF} 。分子間に水素結合をつくるため。
\ce{HClO < HClO2 < HClO3 < HClO4} (酸素数が多いほど強い)。塩素の酸化数は +1,\ +3,\ +5,\ +7 。
ポイント 共通テスト・地方国公立では、塩素水中の \ce{HClO} (酸化・漂白作用)が分かれば足りる。例外 :難関私大・旧帝大の正誤問題や、酸化数の計算問題の題材としては出ることがある。
酸素・硫黄 着眼点 非金属の酸化物は酸性酸化物 、典型金属(陽性の強いもの)の酸化物は塩基性酸化物 、両性元素(Al, Zn, Sn, Pb)は両性酸化物 。
オゾン :酸素の同素体。酸素中で無声放電または紫外線で生じる。強い酸化剤。
\ce{3O2 -> 2O3}
\ce{O3 + 2KI + H2O -> I2 + 2KOH + O2} 分類 例 反応する相手 酸性酸化物 \ce{CO2, SO2, SO3, NO2, P4O10, SiO2} 塩基と反応・水と反応して酸 塩基性酸化物 \ce{Na2O, CaO, MgO, CuO, Fe2O3} 酸と反応・(アルカリ金属等は)水と反応して塩基 両性酸化物 \ce{Al2O3, ZnO, SnO, PbO} 酸とも強塩基とも反応
例題
1 \ce{CaO} と \ce{CO2} の反応、\ce{SO3} と水の反応を書け。
解答 \ce{CaO + CO2 -> CaCO3} (塩基性酸化物+酸性酸化物→塩)\ce{SO3 + H2O -> H2SO4}
確認問題
1 \ce{SiO2} は酸性・塩基性・両性のどれか。
答え 酸性酸化物(水には溶けないが、\ce{NaOH} などの塩基と反応する)。
差がつく 硫黄の化合物(\ce{H2S} と \ce{SO2} ) 着眼点 \ce{H2S} は強い還元剤。\ce{SO2} は普段は還元剤だが、\ce{H2S} が相手のときだけ酸化剤 。
硫黄の同素体:斜方硫黄・単斜硫黄・ゴム状硫黄
\ce{H2S} :無色・腐卵臭・有毒、水溶液は弱酸性。多くの金属イオンと硫化物の沈殿をつくる。
\ce{SO2} :無色・刺激臭・有毒、水溶液は弱酸性。還元作用による漂白。
\ce{SO2 + 2H2S -> 3S v + 2H2O} 例題
1 二酸化硫黄の水溶液に硫化水素を通じると白濁した。反応式を書き、\ce{SO2} が酸化剤・還元剤のどちらとして働いたか答えよ。
解答 \ce{SO2 + 2H2S -> 3S + 2H2O} S の酸化数は \ce{SO2} 中 +4 \to 0 に減少しているので、\ce{SO2} は酸化剤 。白濁は硫黄の単体。
注意 \ce{SO2} の漂白は還元による(塩素の漂白は酸化による)。
着眼点 接触法の触媒は酸化バナジウム(V) \ce{V2O5} 。濃硫酸の性質は「不揮発性・吸湿性・脱水作用・(熱濃硫酸の)酸化作用」の4つ。
\ce{S + O2 -> SO2}
\ce{2SO2 + O2 -> 2SO3}\quad(\ce{V2O5}\ 触媒)
\ce{SO3 + H2O -> H2SO4}
\ce{SO3} は濃硫酸に吸収させて発煙硫酸とし、希硫酸で薄めて濃硫酸にする。
濃硫酸の性質 例 不揮発性 \ce{NaCl} と加熱して \ce{HCl} を発生吸湿性 乾燥剤(塩基性気体・\ce{H2S} 以外) 脱水作用 スクロースが黒く炭化/ギ酸から \ce{CO} 酸化作用(熱濃硫酸) 銅・銀を溶かして \ce{SO2} を発生
例題
1 原子量 H=1.0, O=16, S=32 とする。硫黄 32 kg をすべて硫酸にすると、質量パーセント濃度 98% の濃硫酸は何 kg 得られるか。
解答 S 1 mol から \ce{H2SO4} 1 mol ができる(S原子の保存)。 S:\dfrac{32\times10^3\ \mathrm{g}}{32\ \mathrm{g/mol}}=1.0\times10^3\ \mathrm{mol} \ce{H2SO4} (分子量98):1.0\times10^3\times98=9.8\times10^4\ \mathrm{g}=98\ \mathrm{kg} 98% 溶液の質量:98\div0.98=100\ \mathrm{kg} (検算:100\times0.98=98 kg が純硫酸 ✓)答 1.0\times10^2 kg
注意 希釈は水に濃硫酸を少しずつ 加える。逆にすると発熱で水が沸騰して飛び散る。
確認問題
1 濃硫酸を希硫酸にしたとき、どの性質が失われ、どの性質が強く現れるか。
答え 吸湿性・脱水作用・酸化作用が失われ、強酸としての性質(電離して \ce{H+} )が現れる。
窒素・リン・炭素・ケイ素 必須 アンモニア(ハーバー・ボッシュ法)と硝酸(オストワルト法) 着眼点 \ce{NH3} は四酸化三鉄 \ce{Fe3O4} が主成分の触媒、\ce{HNO3} は白金 \ce{Pt} 触媒。オストワルト法は3式を1式にまとめる と計算が一瞬。
\ce{N2 + 3H2 <=> 2NH3}
オストワルト法
\ce{4NH3 + 5O2 -> 4NO + 6H2O}\quad(\ce{Pt}\ 触媒)
\ce{2NO + O2 -> 2NO2}
\ce{3NO2 + H2O -> 2HNO3 + NO}
まとめると(生じた \ce{NO} は再利用)
\ce{NH3 + 2O2 -> HNO3 + H2O}
硝酸:光や熱で分解するので褐色瓶で保存。強い酸化剤で、銅・銀も溶かす。
\ce{Fe, Al, Ni} は濃硝酸には不動態 となり溶けない。例題
1 原子量 H=1.0, N=14, O=16 とする。アンモニア 17 kg をすべて硝酸に変えると、質量パーセント濃度 63% の硝酸は何 kg 得られるか。
解答 まとめた式より \ce{NH3} 1 mol → \ce{HNO3} 1 mol。\ce{NH3} (分子量17):17\times10^3\div17=1.0\times10^3\ \mathrm{mol} \ce{HNO3} (分子量63):1.0\times10^3\times63=63\ \mathrm{kg} 63% 溶液:63\div0.63=100\ \mathrm{kg} (検算:N原子は \ce{NH3} にも \ce{HNO3} にも1個ずつなので 1:1 で正しい)答 1.0\times10^2 kg
ポイント まとめ方:①×1、②×3、③×2 を足して \ce{NO} と \ce{NO2} を消し、全体を4で割る。
注意 ③で生じる \ce{NO} を再利用しない設定の問題もある。問題文で「すべて硝酸に」とあるかを確認。
\ce{4P + 5O2 -> P4O10}
\ce{P4O10 + 6H2O -> 4H3PO4}\quad(加熱)
十酸化四リン \ce{P4O10} は吸湿性が非常に強く、酸性の乾燥剤。リン酸 \ce{H3PO4} は中程度の強さの酸。
黄リン(白リン) 赤リン 分子 \ce{P4} 多数のPが結合 毒性 猛毒 毒性は小さい 空気中 自然発火する → 水中に保存 自然発火しない(マッチ箱の側薬)
確認問題
答え 空気中で自然発火するため(水とは反応しない)。
差がつく 炭素の同素体と \ce{CO} ・\ce{CO2} \ce{CO} :無色無臭・有毒・水に溶けにくい。燃える。還元性があり製鉄に使う(\ce{Fe2O3 + 3CO -> 2Fe + 3CO2} )。
\ce{CO2} :水に少し溶けて弱酸性。固体はドライアイス(昇華)。同素体 特徴 ダイヤモンド 共有結合の結晶(正四面体)。非常に硬い。電気を通さない 黒鉛 平面層状。やわらかい。電気を通す (自由に動ける価電子) フラーレン \ce{C60} などの球状分子カーボンナノチューブ 筒状の構造
確認問題
1 ダイヤモンドと黒鉛のうち電気を通すのはどちらか。理由も。
答え 黒鉛。各Cの4個の価電子のうち1個が層内を動けるため。
着眼点 \ce{SiO2} → 水ガラス → ケイ酸 → シリカゲル の流れ で覚える。
ケイ素 Si:ダイヤモンドと同じ構造の共有結合の結晶。半導体。天然には単体で存在しない。
\ce{SiO2} :石英・水晶。共有結合の結晶。フッ化水素酸に溶ける。
\ce{SiO2 + 2NaOH -> Na2SiO3 + H2O}\quad(融解)
ケイ酸ナトリウムに水を加えて加熱すると粘性の大きい水ガラス になる。
\ce{Na2SiO3 + 2HCl -> H2SiO3 + 2NaCl}
ケイ酸 \ce{H2SiO3} を加熱乾燥するとシリカゲル (多孔質で表面に -\ce{OH} が多く、水を吸着する乾燥剤)。
確認問題
答え 多孔質で表面積が大きいこと、表面のヒドロキシ基が水分子と水素結合すること。
着眼点 工業的製法は名前・触媒・最終生成物 の3点セットで。
製法 つくる物質 触媒・要点 接触法 硫酸 \ce{V2O5} 。\ce{SO3} は濃硫酸に吸収ハーバー・ボッシュ法 アンモニア \ce{Fe3O4} 主成分。高温・高圧オストワルト法 硝酸 \ce{Pt} 。\ce{NH3} を酸化アンモニアソーダ法 炭酸ナトリウム 触媒なし。\ce{NH3} を回収・再利用(金属元素の単元参照)
ポイント 「硫バナ・アンテツ・硝プラチナ」と組み合わせで唱える。
確認問題
答え \ce{N2 + 3H2 <=> 2NH3} は気体分子数が減る向きの反応なので、加圧すると平衡が \ce{NH3} 生成側に移るため。
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無機(金属元素) アルカリ金属・アルカリ土類・両性金属・鉄銅銀を、沈殿の色と「過剰で溶けるか」の表で整理し、系統分離と炎色反応まで一続きで押さえる。
典型金属 着眼点 単体は水と激しく反応して \ce{H2} 、だから灯油中に保存。化合物は「潮解(NaOH)」「風解(炭酸ナトリウム十水和物)」「加熱分解(\ce{NaHCO3} )」の3つを区別する。
単体は溶融塩電解 (融解した \ce{NaCl} の電気分解)でつくる。水溶液を電気分解しても陰極では \ce{H2} が出るだけで \ce{Na} は得られない。
物質 性質 反応・ポイント \ce{Na} 単体柔らかい・密度小・灯油中に保存 \ce{2Na + 2H2O -> 2NaOH + H2 ^} \ce{NaOH} 潮解性(空気中の水を吸って溶ける) \ce{CO2} も吸収:\ce{2NaOH + CO2 -> Na2CO3 + H2O} \ce{Na2CO3.10H2O} 風解性(結晶水を失って粉末に) \ce{Na2CO3.H2O} になる\ce{NaHCO3} 加熱で分解(ベーキングパウダー) \ce{2NaHCO3 -> Na2CO3 + H2O + CO2 ^} \ce{Na2CO3} 水溶液は塩基性 酸で \ce{CO2} 発生(弱酸の遊離)
例題
1 炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの白い粉末を区別する方法を1つ答えよ。
解答 試験管で加熱し、出る気体を石灰水に通す。白濁すれば \ce{NaHCO3} (\ce{2NaHCO3 -> Na2CO3 + H2O + CO2} )。\ce{Na2CO3} は加熱しても分解しない。
ポイント 「潮解=水を吸ってドロドロ (NaOH・\ce{CaCl2} )」「風解=水を吐いて粉 (炭酸ナトリウム十水和物)」。漢字の「潮(しお)」と「風」で区別。
注意 Kのほうが Na より反応が激しい(イオン化傾向が大きい)。「Na と K の炎色反応の色」は炎色反応の項で。
確認問題
1 水酸化ナトリウムの固体を空気中に放置すると何が起こるか(2つ)。
答え 潮解して水溶液になり、さらに空気中の \ce{CO2} を吸収して \ce{Na2CO3} に変わる。
着眼点 溶けにくい \ce{NaHCO3} を沈殿させて取り出す のが要。\ce{NH3} は回収して再利用するので、全体の式に \ce{NH3} は出てこない。
\ce{NaCl + H2O + NH3 + CO2 -> NaHCO3 v + NH4Cl}
\ce{2NaHCO3 -> Na2CO3 + H2O + CO2}
\ce{CaCO3 -> CaO + CO2}
\ce{CaO + H2O -> Ca(OH)2}
\ce{Ca(OH)2 + 2NH4Cl -> CaCl2 + 2H2O + 2NH3}
全体をまとめると
\ce{2NaCl + CaCO3 -> Na2CO3 + CaCl2} 例題
1 原子量を \ce{C}=12,\ \ce{O}=16,\ \ce{Na}=23,\ \ce{Cl}=35.5 とする。アンモニアソーダ法で塩化ナトリウム 117\ \mathrm{kg} がすべて反応したとき、得られる炭酸ナトリウムは何 kg か。
解答 \ce{NaCl}=58.5 より \dfrac{117\times10^3}{58.5}=2.00\times10^3\ \mathrm{mol} 。 全体の式から \ce{NaCl}:\ce{Na2CO3}=2:1 なので \ce{Na2CO3} は 1.00\times10^3\ \mathrm{mol} 。\ce{Na2CO3}=106 より 1.00\times10^3\times106=1.06\times10^5\ \mathrm{g} 、すなわち 106\ \mathrm{kg} 。 (検算:Na原子は 2.00\times10^3\ \mathrm{mol} のまま保存されている。)
ポイント 全体の式は「食塩+石灰石 → ソーダ+塩化カルシウム」。5本の式を足して消えるもの(\ce{NH3, NH4Cl, CO2, CaO, Ca(OH)2, NaHCO3, H2O} )を確認すると、式の書き忘れに気づける。
確認問題
1 最初の反応で \ce{NaCl} 飽和水溶液に先に通すのは \ce{NH3} と \ce{CO2} のどちらか。
答え \ce{NH3} 。先に塩基性にしておくと酸性の \ce{CO2} がよく溶ける。
必須 アルカリ土類金属(2族):Be・Mg と Ca・Ba の違い 着眼点 2族はBe・Mg だけ仲間外れ :炎色反応なし、常温の水と反応しにくい、水酸化物が水に溶けにくい、硫酸塩が水に溶ける。
カルシウム化合物の流れ(石灰の循環)
\ce{CaCO3 ->[加熱] CaO + CO2}
\ce{CaO + H2O -> Ca(OH)2}
\ce{Ca(OH)2 + CO2 -> CaCO3 v + H2O}
\ce{CaCO3} 石灰石・\ce{CaO} 生石灰(乾燥剤)・\ce{Ca(OH)2} 消石灰(水溶液が石灰水)
セッコウ \ce{CaSO4.2H2O} を加熱すると焼きセッコウ \ce{CaSO4.1/2H2O} 。水を加えると再びセッコウに戻って固まる。
\ce{BaSO4} は水にも酸にも溶けず、X線を通しにくいので胃の造影剤に使う。
Be・Mg Ca・Sr・Ba 水との反応 Mg は熱水と反応 常温の水と反応して \ce{H2} 水酸化物 水に溶けにくい(\ce{Mg(OH)2} は弱塩基) 水に溶けて強塩基 硫酸塩 \ce{MgSO4} は水に溶ける\ce{CaSO4} (少し溶ける)・\ce{BaSO4} は沈殿炭酸塩 水に溶けにくい 水に溶けにくい(白色沈殿) 炎色反応 なし Ca 橙赤・Sr 紅・Ba 黄緑
例題
解答 \ce{CaCO3 + CO2 + H2O <=> Ca(HCO3)2} \ce{CO2} を含む地下水が石灰岩を溶かし(右向き)、水が蒸発したり \ce{CO2} が抜けたりすると \ce{CaCO3} が再び析出する(左向き)。
ポイント 「Be・Mg は炎も出さず水も嫌い 」。硫酸塩だけは逆で Mg のほうが溶ける、と1点だけ例外として覚える。
確認問題
1 \ce{MgSO4} と \ce{BaSO4} のうち水に溶けにくいのはどちらか。
答え \ce{BaSO4} 。
答え 消石灰 \ce{Ca(OH)2} (\ce{CaO + H2O -> Ca(OH)2} )。
着眼点 単体も酸化物も水酸化物も、酸にも強塩基にも溶ける 。強塩基に溶けるとヒドロキシド錯イオンになる。
塩酸との反応(ふつうの金属と同じ)
\ce{2Al + 6HCl -> 2AlCl3 + 3H2 ^}
水酸化ナトリウム水溶液との反応(両性金属だけ)
\ce{2Al + 2NaOH + 6H2O -> 2Na[Al(OH)4] + 3H2 ^}
\ce{Zn + 2NaOH + 2H2O -> Na2[Zn(OH)4] + H2 ^}
\ce{Al2O3 + 2NaOH + 3H2O -> 2Na[Al(OH)4]}
\ce{Al(OH)3 + NaOH -> Na[Al(OH)4]}
Al・Fe・Ni は濃硝酸に溶けない (表面に緻密な酸化被膜ができる=不動態)。
Pb は塩酸・希硫酸には溶けにくい(表面に \ce{PbCl2} ・\ce{PbSO4} の沈殿ができて止まる)。
テルミット反応:\ce{2Al + Fe2O3 -> Al2O3 + 2Fe} (Al の強い還元力。多量の熱)
ミョウバン \ce{AlK(SO4)2.12H2O} は複塩。
例題
1 原子量を \ce{Al}=27 とする。アルミニウム 0.54\ \mathrm{g} を十分な量の水酸化ナトリウム水溶液に溶かすと、発生する水素は何 mol か。
解答 \ce{Al} は \dfrac{0.54}{27}=0.020\ \mathrm{mol} 。\ce{2Al} から \ce{3H2} なので 0.020\times\dfrac{3}{2}= 0.030\ \mathrm{mol} 。 (検算:Al は 3 価なので失う電子 0.060\ \mathrm{mol} 、\ce{H2} 1 mol は電子 2 mol を受け取るので 0.030\ \mathrm{mol} 。一致。)
ポイント 両性金属は「ああ(Al)すん(Sn)なり(Zn)なまり(Pb) 」=「ああ、すんなり、鉛」。
注意 両性金属でもアンモニア水の過剰には溶ける・溶けないが分かれる (Zn は溶ける、Al・Pb は溶けない)。系統分離で使うので次の表で確認。
確認問題
1 亜鉛を水酸化ナトリウム水溶液に溶かしたときにできる錯イオンの化学式は?
答え \ce{[Zn(OH)4]^2-} (テトラヒドロキシド亜鉛(II)酸イオン)。
答え 表面に緻密な酸化被膜ができて内部を保護する(不動態)。
差がつく アルミニウムの製錬(溶融塩電解)と電気量の計算 着眼点 Al はイオン化傾向が大きく水溶液の電気分解では得られない。氷晶石に溶かしたアルミナを溶融塩電解 する。計算は「\ce{Al^3+ + 3e- -> Al} 」の係数3が全て。
ボーキサイトを NaOH で処理して精製し、酸化アルミニウム(アルミナ)\ce{Al2O3} をつくる。
融解した氷晶石 \ce{Na3AlF6} にアルミナを溶かして(融点を下げる)、炭素電極で電気分解する。
\text{陰極:}\ce{Al^3+ + 3e- -> Al}
陽極では炭素電極が酸化物イオンと反応して \ce{CO} ・\ce{CO2} になり、電極が消耗する。
例題
1 ファラデー定数を F=9.65\times10^4\ \mathrm{C/mol} 、原子量を \ce{Al}=27 とする。アルミニウム 9.0\ \mathrm{kg} を得るのに必要な電気量は何 C か。また 1.0\times10^4\ \mathrm{A} で電解すると何秒かかるか。
解答 \ce{Al} :\dfrac{9.0\times10^3}{27}=\dfrac{1}{3}\times10^3\ \mathrm{mol} 。 電子はその3倍で 1.0\times10^3\ \mathrm{mol} 。 電気量 1.0\times10^3\times9.65\times10^4= 9.65\times10^7\ \mathrm{C} (有効数字2桁なら 9.7\times10^7\ \mathrm{C} )。 時間 \dfrac{9.65\times10^7}{1.0\times10^4}=9.65\times10^3\ \mathrm{s} 、約 9.7\times10^3\ \mathrm{s} (約2.7時間)。 (検算:1.0\times10^4\times9.65\times10^3=9.65\times10^7 。一致。)
ポイント 電気分解の計算は「物質量 → 電子の物質量 → 電気量」の3段。電子の係数(Al は3、Cu は2、Ag は1)を最初に書く。
確認問題
答え アルミナ(融点が非常に高い)を溶かして、より低い温度で融解状態にするため。
遷移元素(鉄・銅・銀) 必須 鉄:\ce{Fe^2+} と \ce{Fe^3+} の見分け方 着眼点 \ce{Fe^2+} は淡緑色・\ce{Fe^3+} は黄褐色 。検出試薬は「2価には3価のシアニド錯体、3価には2価のシアニド錯体」と数字が入れ替わる 。
鉄を希塩酸・希硫酸に溶かすと \ce{Fe^2+} になる:\ce{Fe + 2HCl -> FeCl2 + H2 ^}
\ce{Fe^2+} は空気中で酸化されやすく、\ce{Fe^3+} に変わる。
製鉄:溶鉱炉で鉄鉱石をコークスから生じた \ce{CO} で還元 \ce{Fe2O3 + 3CO -> 2Fe + 3CO2} 。得られた銑鉄 (炭素を約4%含み硬くてもろい)に転炉で酸素を吹き込み、炭素を減らして鋼 にする。
加える試薬 \ce{Fe^2+} (淡緑色)\ce{Fe^3+} (黄褐色)NaOH 水溶液・アンモニア水 \ce{Fe(OH)2} 緑白色沈殿水酸化鉄(III) 赤褐色沈殿 \ce{K3[Fe(CN)6]} 濃青色沈殿 — \ce{K4[Fe(CN)6]} — 濃青色沈殿 KSCN 水溶液 — 血赤色の溶液
例題
1 原子量を \ce{O}=16,\ \ce{Fe}=56 とする。\ce{Fe2O3} を 80\% 含む鉄鉱石 1.0\ \mathrm{t} から得られる鉄は最大何 t か。
解答 \ce{Fe2O3} は 1.0\times0.80=0.80\ \mathrm{t} 。\ce{Fe2O3}=160 のうち \ce{Fe} は 112 。 鉄は 0.80\times\dfrac{112}{160}=0.56\ \mathrm{t} 。答え 0.56\ \mathrm{t} 。 (検算:0.80\ \mathrm{t} は 5.0\times10^3\ \mathrm{mol} 、Fe はその2倍 1.0\times10^4\ \mathrm{mol}\times56=5.6\times10^5\ \mathrm{g} 。一致。)
ポイント 「2と3はクロス 」:\ce{Fe^2+} にはヘキサシアニド鉄(III)酸カリウム、\ce{Fe^3+} にはヘキサシアニド鉄(II)酸カリウムで濃青色。KSCN の血赤色は \ce{Fe^3+} だけ。
注意 赤さびは \ce{Fe2O3} 系、黒さびは \ce{Fe3O4} 。水酸化鉄(III)は組成が一定しないので、教科書によっては化学式でなく名称で書く。
確認問題
1 ある水溶液に KSCN 水溶液を加えたら血赤色になった。含まれるイオンは?
答え \ce{Fe^3+} 。
着眼点 \ce{Cu^2+} は青色 。NaOH で青白色沈殿、アンモニア水を過剰にすると深青色 の溶液。加熱すると黒の \ce{CuO} 。
銅は塩酸・希硫酸には溶けない。硝酸・熱濃硫酸 (酸化力のある酸)には溶ける。
空気中では表面に緑青(ろくしょう)を生じる。
電解精錬 :粗銅を陽極、純銅を陰極、硫酸銅(II)水溶液中で電気分解。陽極では Cu と、Cu よりイオン化傾向の大きい不純物(Zn・Fe・Ni)が溶け出す。Cu より小さい Ag・Au は溶けずに陽極の下にたまる(陽極泥 )。陰極には Cu だけが析出する。
操作 生成物 色 \ce{Cu^2+} に NaOH・少量のアンモニア水\ce{Cu(OH)2} 青白色沈殿 ↑を加熱 \ce{CuO} 黒色 ↑の沈殿にアンモニア水を過剰に \ce{[Cu(NH3)4]^2+} 深青色の溶液 \ce{Cu^2+} に \ce{H2S} (酸性でも)\ce{CuS} 黒色沈殿 硫酸銅(II)五水和物を加熱 \ce{CuSO4} (無水物)青 → 白(水で青に戻る)
例題
1 ファラデー定数 F=9.65\times10^4\ \mathrm{C/mol} 、原子量 \ce{Cu}=63.5 とする。電解精錬で陰極に銅が 6.35\ \mathrm{g} 析出した。流れた電気量は何 C か。
解答 \ce{Cu} :\dfrac{6.35}{63.5}=0.100\ \mathrm{mol} 。\ce{Cu^2+ + 2e- -> Cu} より電子は 0.200\ \mathrm{mol} 。0.200\times9.65\times10^4= 1.93\times10^4\ \mathrm{C} 。 (検算:1.93\times10^4\div9.65\times10^4=0.200 、その半分が 0.100\ \mathrm{mol} 。一致。)
ポイント 銅の色は「イオン青・水酸化物青白・酸化物黒・アンモニア錯体深青」。青系は全部 Cu と覚えてよい。
注意 電解精錬で陽極の質量減少と陰極の質量増加は一致しない (陽極では不純物も溶け、陽極泥も落ちるため)。
確認問題
答え 銀 Ag と金 Au(Cu よりイオン化傾向が小さい)。
着眼点 \ce{Ag+} に NaOH を加えると水酸化物ではなく酸化銀 \ce{Ag2O} (褐色) 。アンモニア水過剰で無色の \ce{[Ag(NH3)2]+} 。
\ce{AgCl + 2NH3 -> [Ag(NH3)2]+ + Cl-}
\ce{AgBr + 2Na2S2O3 -> Na3[Ag(S2O3)2] + NaBr}
銀は硝酸に溶ける:\ce{3Ag + 4HNO3 -> 3AgNO3 + 2H2O + NO ^} (希硝酸)
化合物 色 アンモニア水過剰 その他 \ce{Ag2O} 褐色沈殿 溶ける \ce{2Ag+ + 2OH- -> Ag2O + H2O} \ce{AgCl} 白色沈殿 溶ける 光で分解して黒ずむ \ce{AgBr} 淡黄色沈殿 — チオ硫酸ナトリウム水溶液に溶ける \ce{AgI} 黄色沈殿 溶けない \ce{Ag2CrO4} 赤褐色沈殿 クロム酸イオンの検出 \ce{Ag2S} 黒色沈殿
例題
1 硝酸銀水溶液にアンモニア水を少しずつ加えると褐色沈殿が生じ、さらに加えると無色透明になった。それぞれの変化を化学式で答えよ。
解答 褐色沈殿は \ce{Ag2O} 。過剰のアンモニア水で \ce{[Ag(NH3)2]+} (ジアンミン銀(I)イオン、無色・直線形)になって溶ける。この溶液が銀鏡反応に使うアンモニア性硝酸銀水溶液。
ポイント ハロゲン化銀の色は「白・淡黄・黄 」と Cl→Br→I で濃くなる。AgF だけは水に溶ける。
確認問題
1 \ce{AgCl} と \ce{AgI} の沈殿を区別するには?
答え アンモニア水を加える。\ce{AgCl} は溶け、\ce{AgI} は溶けない(色でも白と黄で区別できる)。
沈殿・錯イオン・分離 着眼点 「どの陰イオンを加えたら、どの陽イオンが沈むか」で覚える。\ce{Cl-} は Ag・Pb だけ、\ce{SO4^2-} は Ba・Ca・Pb、硫化物は酸性か塩基性か で分かれる。
加える陰イオン 沈殿する陽イオン(沈殿の色) \ce{Cl-} \ce{AgCl} 白、\ce{PbCl2} 白(熱湯に溶ける)\ce{SO4^2-} \ce{BaSO4} 白、\ce{CaSO4} 白、\ce{PbSO4} 白\ce{CO3^2-} \ce{CaCO3} 白、\ce{BaCO3} 白(酸を加えると \ce{CO2} を出して溶ける)\ce{CrO4^2-} \ce{BaCrO4} 黄、\ce{PbCrO4} 黄、\ce{Ag2CrO4} 赤褐\ce{S^2-} (酸性でも沈殿)\ce{CuS} 黒、\ce{Ag2S} 黒、\ce{PbS} 黒、\ce{CdS} 黄\ce{S^2-} (中性・塩基性でのみ沈殿)\ce{ZnS} 白、\ce{FeS} 黒、\ce{NiS} 黒、\ce{MnS} 淡赤
例題
1 \ce{Ba^2+} と \ce{Zn^2+} を含む水溶液がある。一方だけを沈殿させる試薬と、沈殿の化学式を答えよ。
解答 希硫酸を加えると \ce{BaSO4} (白)だけが沈殿する(\ce{ZnSO4} は水に溶ける)。 別解:塩基性にして \ce{H2S} を通すと \ce{ZnS} (白)だけが沈殿する(Ba は硫化物の沈殿をつくらない)。
ポイント 硫化物はイオン化傾向 で決まる:Sn より小さい(Cu・Ag・Pb・Hg など)→ 酸性でも黒く沈む。Zn〜Ni → 中性・塩基性で沈む。Al より大きい → 沈まない。色は「Zn 白・Cd 黄・Mn 淡赤、あとは黒 」。
注意 \ce{Al^3+} を塩基性で \ce{H2S} と反応させても硫化物ではなく \ce{Al(OH)3} が沈む。
確認問題
1 酸性溶液に \ce{H2S} を通すと沈殿するのは \ce{Cu^2+} と \ce{Zn^2+} のどちらか。
答え \ce{Cu^2+} (\ce{CuS} 黒)。\ce{ZnS} は酸性では沈殿しない。
2 \ce{PbCl2} と \ce{AgCl} を分ける方法は?
答え 熱湯を加える。\ce{PbCl2} だけが溶ける。
着眼点 同じ「少量で沈殿」でも、NaOH 過剰で溶けるのは両性 (Al・Zn・Pb)、アンモニア水過剰で溶けるのはアンミン錯体をつくる (Cu・Ag・Zn)。両方で溶けるのは Zn だけ。
イオン 少量の NaOH・アンモニア水 NaOH 過剰 アンモニア水過剰 \ce{Al^3+} \ce{Al(OH)3} 白溶ける(\ce{[Al(OH)4]-} ) 溶けない \ce{Zn^2+} \ce{Zn(OH)2} 白溶ける(\ce{[Zn(OH)4]^2-} ) 溶ける(\ce{[Zn(NH3)4]^2+} ) \ce{Pb^2+} \ce{Pb(OH)2} 白溶ける 溶けない \ce{Cu^2+} \ce{Cu(OH)2} 青白溶けない 溶ける(\ce{[Cu(NH3)4]^2+} 深青) \ce{Ag+} \ce{Ag2O} 褐溶けない 溶ける(\ce{[Ag(NH3)2]+} ) \ce{Fe^2+} \ce{Fe(OH)2} 緑白溶けない 溶けない \ce{Fe^3+} 水酸化鉄(III) 赤褐 溶けない 溶けない
例題
1 \ce{Al^3+} と \ce{Zn^2+} を含む水溶液から、\ce{Al} だけを沈殿として分けたい。何を過剰に加えればよいか。
解答 アンモニア水 を過剰に加える。\ce{Al(OH)3} は溶けずに残り、\ce{Zn} は \ce{[Zn(NH3)4]^2+} となって溶ける。 (NaOH 過剰では両方とも溶けてしまい分けられない。)
ポイント アンモニア水過剰で溶けるのは「銅・銀・亜鉛 」の3つ(どう・ぎん・あえん)。NaOH 過剰は「ああすんなり鉛」の両性金属。
確認問題
1 \ce{Cu^2+} と \ce{Zn^2+} を分けるには NaOH とアンモニア水のどちらを過剰に加えるか。
答え NaOH。\ce{Cu(OH)2} は沈殿のまま、Zn は \ce{[Zn(OH)4]^2-} で溶ける。
2 \ce{Fe^3+} と \ce{Al^3+} を分けるには?
答え NaOH 水溶液を過剰に加える。水酸化鉄(III)は残り、Al は \ce{[Al(OH)4]-} で溶ける。
着眼点 名前は「配位数(ジ・テトラ・ヘキサ)+配位子名+中心金属(価数) 」、陰イオンなら最後に「酸イオン」。形は配位数でほぼ決まる。
配位子の名前:\ce{NH3} アンミン、\ce{OH-} ヒドロキシド、\ce{CN-} シアニド、\ce{Cl-} クロリド、\ce{H2O} アクア、\ce{S2O3^2-} チオスルファト。
錯イオン 名称 形 色 \ce{[Ag(NH3)2]+} ジアンミン銀(I)イオン 直線形 無色 \ce{[Cu(NH3)4]^2+} テトラアンミン銅(II)イオン 正方形 深青色 \ce{[Zn(NH3)4]^2+} テトラアンミン亜鉛(II)イオン 正四面体形 無色 \ce{[Zn(OH)4]^2-} テトラヒドロキシド亜鉛(II)酸イオン 正四面体形 無色 \ce{[Al(OH)4]-} テトラヒドロキシドアルミン酸イオン 正四面体形 無色 \ce{[Fe(CN)6]^4-} ヘキサシアニド鉄(II)酸イオン 正八面体形 \ce{[Fe(CN)6]^3-} ヘキサシアニド鉄(III)酸イオン 正八面体形
例題
1 \ce{[Fe(CN)6]^3-} の中心金属の酸化数が +3 であることを確かめよ。
解答 \ce{CN-} は -1 が6個で -6 。全体が -3 なので中心の Fe は x-6=-3 より x=+3 。
ポイント 形は「配位数2→直線、4→正方形(Cu)か正四面体(Zn)、6→正八面体 」。4配位の Cu だけ正方形と特別に覚える。
確認問題
1 \ce{[Cu(NH3)4]^2+} の名称と形は?
答え テトラアンミン銅(II)イオン、正方形。
着眼点 試薬を加える順番に意味がある 。塩酸 → 酸性で \ce{H2S} → 煮沸・硝酸 → アンモニア水過剰 → 塩基性で \ce{H2S} → 炭酸アンモニウム → 炎色反応。
段階3で煮沸するのは \ce{H2S} を除くため。\ce{H2S} が残ったまま塩基性にすると \ce{ZnS} などが一緒に沈んでしまう。
段階3で硝酸を加えるのは、段階2で \ce{H2S} に還元された \ce{Fe^2+} を \ce{Fe^3+} に戻すため(\ce{Fe(OH)2} よりも水酸化鉄(III)のほうが完全に沈む)。
段階3でアンモニア水を使うのは、Zn をアンミン錯体として溶かしたまま残すため。
段階 操作 沈殿するもの 1 希塩酸を加える \ce{AgCl} 白、\ce{PbCl2} 白2 酸性のまま \ce{H2S} を通す \ce{CuS} 黒(残っていた Pb も \ce{PbS} 黒)3 煮沸して \ce{H2S} を追い出し、希硝酸を加えてからアンモニア水を過剰に 水酸化鉄(III) 赤褐、\ce{Al(OH)3} 白 4 塩基性のまま \ce{H2S} を通す \ce{ZnS} 白5 炭酸アンモニウム水溶液を加える \ce{CaCO3} 白、\ce{BaCO3} 白6 ろ液を炎色反応で調べる \ce{Na+} 黄、\ce{K+} 赤紫
例題
1 \ce{Ag+,\ Cu^2+,\ Fe^3+,\ Zn^2+,\ Ca^2+,\ Na+} を含む水溶液を上の手順で分離した。各段階で得られる沈殿を答えよ。
解答 1:\ce{AgCl} (白) 2:\ce{CuS} (黒) 3:水酸化鉄(III)(赤褐) 4:\ce{ZnS} (白) 5:\ce{CaCO3} (白) 6:ろ液に \ce{Na+} が残り、炎色反応で黄色。
ポイント 段階の陰イオンは「\ce{Cl-} → \ce{S^2-} → \ce{OH-} → \ce{S^2-} → \ce{CO3^2-} 」。硫化物を酸性・塩基性の2回に分けるのは、上の沈殿表の「酸性でも沈む・塩基性でのみ沈む」をそのまま使っている。
注意 段階の順番を入れ替えた問題がよく出る。「先に NaOH を加えたら?」などは、上の2つの表(沈殿表・過剰で溶けるか)に戻って1つずつ判断する。
確認問題
1 段階1で \ce{PbCl2} が沈殿したことを確かめるには?
答え 沈殿に熱湯を加えて溶かし、その液にクロム酸カリウム水溶液を加える。黄色の \ce{PbCrO4} が沈殿すれば Pb。
2 段階2で塩基性にしてから \ce{H2S} を通すと、何が困るか。
答え \ce{ZnS} なども一緒に沈殿して、Cu と Zn を分けられなくなる。
着眼点 白金線に試料をつけてガスバーナーの外炎に入れる。アルカリ金属・Ca・Sr・Ba・Cu が色を示す。Be・Mg は示さない。
元素 炎の色 Li 赤色 Na 黄色 K 赤紫色 Cu 青緑色 Ca 橙赤色 Sr 紅色(深赤色) Ba 黄緑色
例題
1 白色の固体を水に溶かし、炎色反応を調べると黄緑色だった。この水溶液に希硫酸を加えると白色沈殿が生じた。沈殿の化学式は?
解答 黄緑色の炎色反応は Ba。希硫酸で \ce{BaSO4} (白)が沈殿する。
ポイント 「リアカーなき K 村、動力借りようとするもくれない馬力 」= Li 赤・Na 黄・K 紫・Cu(銅)緑・Ca 橙・Sr 紅・Ba 緑。花火の色の原理でもある。
注意 白金線は使う前に濃塩酸で洗い、炎に色がつかなくなるまで焼いてから使う(前の試料の Na が残りやすい)。
着眼点 正方形の \ce{[MA2B2]} 型や正八面体の \ce{[MA4B2]} 型には、同じ配位子が隣り合うシス形と向かい合うトランス形がある。
正方形:\ce{[Pt(NH3)2Cl2]} にシス形・トランス形(シス形は抗がん剤シスプラチン)。 正八面体:\ce{[Co(NH3)4Cl2]+} にシス形・トランス形の2種類。 正四面体の \ce{[MA2B2]} 型には異性体がない(どの2頂点も隣り合う)。 ポイント 後回しでよい。難関大(旧帝大など)で錯体の構造を問う問題が出るときだけ必要。地方国公立では問題文に説明がつくことが多い。
確認問題
1 正四面体形の \ce{[MA2B2]} に立体異性体がない理由は?
答え 正四面体ではどの2頂点も互いに隣り合うので、A どうしの配置が1通りしかない。
🍶
有機(脂肪族) 元素分析から分子式を出し、異性体を数え、炭化水素・アルコール・アルデヒド・カルボン酸・エステル・油脂を「どの反応で何ができるか」の流れで押さえる。
構造決定と異性体 着眼点 \ce{CO2} の質量から C、\ce{H2O} の質量から H を出し、O は引き算 。物質量の比を最も簡単な整数比にして組成式、分子量で何倍かを決めて分子式。
C の質量 =\ce{CO2} の質量 \times\dfrac{12}{44} 、H の質量 =\ce{H2O} の質量 \times\dfrac{2.0}{18} 、O の質量 = 試料 - C - H
吸収管の順番:先に塩化カルシウム管(\ce{H2O} を吸収)、後にソーダ石灰管(\ce{CO2} を吸収) 。逆にするとソーダ石灰が \ce{H2O} も \ce{CO2} も吸ってしまい区別できない。
例題
1 原子量を \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{O}=16 とする。C・H・O からなる化合物 6.0\ \mathrm{mg} を完全燃焼させると、\ce{CO2} が 8.8\ \mathrm{mg} 、\ce{H2O} が 3.6\ \mathrm{mg} 得られた。分子量が 60 のとき分子式を求めよ。
解答 C:8.8\times\dfrac{12}{44}=2.4\ \mathrm{mg} H:3.6\times\dfrac{2.0}{18}=0.40\ \mathrm{mg} O:6.0-2.4-0.40=3.2\ \mathrm{mg} \mathrm{C:H:O}=\dfrac{2.4}{12}:\dfrac{0.40}{1.0}:\dfrac{3.2}{16}=0.20:0.40:0.20=1:2:1 組成式 \ce{CH2O} (式量 30 )。60\div30=2 より分子式 \ce{C2H4O2} 。 (検算:\ce{C2H4O2} 6.0\ \mathrm{mg} は 1.0\times10^{-4}\ \mathrm{mol} 。\ce{CO2} は 2.0\times10^{-4}\ \mathrm{mol}\times44=8.8\ \mathrm{mg} 、\ce{H2O} は 2.0\times10^{-4}\ \mathrm{mol}\times18=3.6\ \mathrm{mg} 。一致。)
ポイント 比が 1:2.5 のように小数になったら、全部を2倍・3倍して整数にする。割り算はいちばん小さい値で割ると速い。
注意 H の質量を \ce{H2O}\times\dfrac{1.0}{18} としてしまうミスが多い。\ce{H2O} 1 分子に H は2個 。
確認問題
1 組成式 \ce{CH2} 、分子量 56 の炭化水素の分子式は?(\ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12 )
答え \ce{CH2}=14 、56\div14=4 より \ce{C4H8} 。
着眼点 まず不飽和度 (二重結合・環の数)を出して骨格の種類を決め、炭素骨格 → 官能基の位置 の順に数える。
\text{不飽和度}=\dfrac{2\times(\text{C の数})+2-(\text{H の数})}{2}
(O は無視、ハロゲンは H と同じに数える、N は1個につき H を1個減らして数える)
分子式 構造異性体 内訳 \ce{C4H10} 2 ブタン、2-メチルプロパン \ce{C5H12} 3 ペンタン、2-メチルブタン、2,2-ジメチルプロパン \ce{C3H8O} 3 アルコール2(1-プロパノール、2-プロパノール)+エーテル1(エチルメチルエーテル) \ce{C4H10O} 7 アルコール4+エーテル3 \ce{C4H8O2} のエステル4 \ce{HCOOCH2CH2CH3} 、\ce{HCOOCH(CH3)2} 、\ce{CH3COOC2H5} 、\ce{C2H5COOCH3}
例題
1 分子式 \ce{C4H10O} のアルコールをすべて示性式で書け。
解答 不飽和度 0 なので鎖状で二重結合なし。 直鎖の骨格 C–C–C–C:端に OH → \ce{CH3CH2CH2CH2OH} (1-ブタノール)、2番目に OH → \ce{CH3CH2CH(OH)CH3} (2-ブタノール) 枝分かれの骨格:端に OH → \ce{(CH3)2CHCH2OH} (2-メチル-1-プロパノール)、中央に OH → \ce{(CH3)3COH} (2-メチル-2-プロパノール) 計 4種類 。
ポイント エステル \ce{RCOOR'} は「酸側の炭素数+アルコール側の炭素数 」の分け方(1+3, 2+2, 3+1)で数え、アルコール側に枝分かれがあるか確認すると漏れない。
注意 「異性体の数」を聞かれたら、立体異性体を含むか を必ず問題文で確認する(次の項目)。
確認問題
答え \dfrac{2\times4+2-8}{2}=1 。二重結合1つか環1つ。
差がつく 立体異性体(シス・トランス異性体と鏡像異性体) 着眼点 シス・トランスは二重結合の両側の炭素それぞれに異なる2つの原子(団) がつくとき。鏡像異性体は不斉炭素原子 (4つの異なる原子・原子団と結合した C)があるとき。
鏡像異性体どうしは、融点・沸点・密度などはほぼ同じだが、偏光面を回転させる向き(旋光性)が逆。
種類 条件 例 シス・トランス異性体 \ce{C=C} の各炭素に異なる2つの原子団2-ブテン、マレイン酸(シス)とフマル酸(トランス) 鏡像異性体(光学異性体) 不斉炭素原子をもつ 乳酸 \ce{CH3CH(OH)COOH} 、2-ブタノール、アラニン
例題
1 分子式 \ce{C4H8} のアルケンの異性体を、立体異性体も区別して数えよ。
解答 1-ブテン \ce{CH2=CHCH2CH3} (シス・トランスなし:左端の C に H が2つ) 2-ブテン \ce{CH3CH=CHCH3} :シス形とトランス形の2つ 2-メチルプロペン \ce{CH2=C(CH3)2} (なし) 計 4種類 (シクロアルカン2種を含めれば6種類)。
ポイント シス・トランスは「二重結合の片方の炭素に同じものが2つついていたらアウト 」と否定から判定すると速い。
確認問題
1 2-ブタノール \ce{CH3CH(OH)CH2CH3} の不斉炭素はどれか。
答え OH のついた2番目の炭素(H・OH・\ce{CH3} ・\ce{C2H5} の4つが異なる)。鏡像異性体が存在する。
炭化水素 着眼点 \ce{C_nH_{2n+2}} 。単結合だけで反応性は低いが、光を当てるとハロゲンと置換反応 する。
\ce{CH4 + Cl2 -> CH3Cl + HCl}
さらに置換が進み \ce{CH2Cl2} 、\ce{CHCl3} (クロロホルム)、\ce{CCl4} (テトラクロロメタン)ができる。
炭素数が増えるほど沸点が高い(分子間力が大きい)。炭素数4までは常温で気体。
同じ炭素数なら、枝分かれが多いほど沸点が低い。 例題
1 メタン 1\ \mathrm{mol} のすべての H を Cl に置き換えるのに、塩素は何 mol 必要か。
解答 1回の置換で \ce{Cl2} 1 分子を使い H 1個が Cl になる(もう1個の Cl は HCl になる)。H は4個なので 4\ \mathrm{mol} 。\ce{CH4 + 4Cl2 -> CCl4 + 4HCl}
ポイント 名前は C1〜C4 が「メタン・エタン・プロパン・ブタン」、5以上は数詞(ペンタ・ヘキサ・ヘプタ・オクタ)+「アン」。
確認問題
1 ペンタンと2,2-ジメチルプロパンで沸点が高いのは?
答え ペンタン(直鎖のほうが分子どうしの接触面積が大きく分子間力が強い)。
着眼点 \ce{C_nH_{2n}} 。二重結合に付加反応 。臭素水の赤褐色が消えれば不飽和結合がある証拠。
エチレンの製法:エタノールに濃硫酸を加えて 160〜170℃ に加熱(分子内脱水)
\ce{C2H5OH -> CH2=CH2 + H2O} 反応 相手 生成物(エチレンの場合) 付加(水素) \ce{H2} (Pt・Ni 触媒)エタン \ce{C2H6} 付加(臭素) \ce{Br2} 1,2-ジブロモエタン \ce{CH2BrCH2Br} (臭素の色が消える) 付加(水) \ce{H2O} (リン酸触媒)エタノール 付加重合 多数のエチレン ポリエチレン 酸化 \ce{KMnO4} 赤紫色が消える
例題
1 プロペン \ce{CH2=CHCH3} に臭素を付加させた生成物の示性式を書け。
解答 二重結合の2つの炭素に Br が1個ずつつく:\ce{CH2BrCHBrCH3} (1,2-ジブロモプロパン)。
ポイント 「臭素水の脱色=C=C か C≡C がある 」は構造決定で最初に使う判定。
注意 エタノール+濃硫酸は温度で生成物が変わる。130〜140℃ はジエチルエーテル (分子間脱水)、160〜170℃ はエチレン(分子内脱水)。
確認問題
1 臭素水に通して色が消えないのはエタンとエチレンのどちらか。
答え エタン(単結合のみで付加反応をしない)。
着眼点 アセチレン \ce{HC#CH} は炭化カルシウムと水 でつくる。何を付加するかで生成物が決まる、表で覚える。
\ce{CaC2 + 2H2O -> HC#CH ^ + Ca(OH)2}
付加するもの 触媒など 生成物 \ce{H2} Pt・Ni エチレン → さらにエタン \ce{H2O} 硫酸水銀(II) ビニルアルコール(不安定)→ アセトアルデヒド \ce{CH3CHO} \ce{HCl} 塩化ビニル \ce{CH2=CHCl} \ce{CH3COOH} 酢酸ビニル \ce{CH2=CHOCOCH3} \ce{HCN} アクリロニトリル \ce{CH2=CHCN} アセチレン3分子 加熱した鉄 ベンゼン \ce{C6H6}
例題
1 アセチレンに水を付加させるとアセトアルデヒドができる理由を説明せよ。
解答 まず \ce{CH2=CH-OH} (ビニルアルコール)ができるが、二重結合の炭素に OH がついた構造は不安定で、すぐに \ce{CH3-CHO} に変わる。
ポイント 付加後にできる \ce{CH2=CH-} (ビニル基)の化合物は、すべて付加重合して高分子の原料 になる(塩化ビニル→ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル→ビニロンの原料、アクリロニトリル→アクリル繊維)。
確認問題
1 アセチレンと塩化水素の付加生成物と、それを付加重合した高分子は?
答え 塩化ビニル \ce{CH2=CHCl} 、ポリ塩化ビニル。
着眼点 オゾン分解は \ce{C=C} を切って両側を \ce{C=O} にする。マルコフニコフ則は、HX の付加で H がH の多い側の炭素 につく傾向。
\ce{R1R2C=CHR3 -> R1R2C=O + R3CHO} 生成物から元のアルケンの二重結合の位置を逆算できる。
ポイント 後回しでよい。教科書では発展扱いで、入試に出るときは問題文で反応が説明されることが多い。難関大の構造決定を解く人だけ。
確認問題
1 2-メチル-2-ブテン \ce{(CH3)2C=CHCH3} をオゾン分解すると何ができるか。
答え アセトン \ce{CH3COCH3} とアセトアルデヒド \ce{CH3CHO} 。
酸素を含む化合物 着眼点 OH のついた炭素に結合する炭素の数で第一級・第二級・第三級 。第一級 → アルデヒド → カルボン酸、第二級 → ケトン、第三級は酸化されにくい。
ナトリウムと反応して \ce{H2} を発生:\ce{2C2H5OH + 2Na -> 2C2H5ONa + H2 ^} (エーテルは反応しない → 区別に使う)
アルコールは分子間で水素結合をつくるので、同じ分子量程度のエーテルより沸点がずっと高い。
エーテルの製法:エタノール+濃硫酸 130〜140℃ \ce{2C2H5OH -> C2H5OC2H5 + H2O}
メタノールは \ce{CO + 2H2 -> CH3OH} (触媒)で工業的につくる。エタノールはグルコースの発酵でもできる。
級数 例 酸化生成物 第一級 \ce{CH3CH2OH} エタノールアセトアルデヒド → 酢酸 第二級 \ce{CH3CH(OH)CH3} 2-プロパノールアセトン(ケトン) 第三級 \ce{(CH3)3COH} 2-メチル-2-プロパノール酸化されにくい
例題
1 分子式 \ce{C4H10O} の化合物 A は Na と反応して \ce{H2} を出し、二クロム酸カリウムで酸化するとケトンになった。A の示性式は?
解答 Na と反応 → アルコール。酸化でケトン → 第二級アルコール。\ce{C4H10O} の第二級アルコールは2-ブタノールだけ。\ce{CH3CH(OH)CH2CH3} 。
ポイント 構造決定では「Na と反応するか(OH があるか)→ 酸化で何になるか(級数)→ ヨードホルム反応(\ce{CH3CH(OH)-} か) 」の3段で絞る。
確認問題
1 ジエチルエーテルとエタノールの区別に使える試薬は?
答え ナトリウム。エタノールだけが \ce{H2} を発生する。
必須 アルデヒド・ケトンと検出反応(銀鏡・フェーリング・ヨードホルム) 着眼点 アルデヒド基 \ce{-CHO} は還元性 :銀鏡反応・フェーリング液の還元。\ce{CH3CO-} または \ce{CH3CH(OH)-} をもつとヨードホルム反応。
ホルムアルデヒド \ce{HCHO} :メタノールの酸化。水溶液がホルマリン。
アセトアルデヒド \ce{CH3CHO} :エタノールの酸化。
アセトン \ce{CH3COCH3} :2-プロパノールの酸化、または酢酸カルシウムの乾留 \ce{(CH3COO)2Ca -> CH3COCH3 + CaCO3} 。ケトンは還元性を示さない。
反応 試薬 陽性のしるし 陽性になる構造 銀鏡反応 アンモニア性硝酸銀水溶液 銀が析出(鏡) \ce{-CHO} (ギ酸・ギ酸エステルも)フェーリング液の還元 フェーリング液(加熱) 赤色沈殿 \ce{Cu2O} \ce{-CHO} ヨードホルム反応 ヨウ素+水酸化ナトリウム水溶液 黄色沈殿 \ce{CHI3} (特異臭) \ce{CH3CO-R} 、\ce{CH3CH(OH)-R} (R は H または炭化水素基)
例題
1 次のうちヨードホルム反応が陽性のものをすべて選べ。メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、酢酸
解答 エタノール・2-プロパノール・アセトン 。 エタノール \ce{CH3CH2OH} は \ce{CH3CH(OH)-H} 、2-プロパノールは \ce{CH3CH(OH)-CH3} 、アセトンは \ce{CH3CO-CH3} の形。 酢酸は \ce{CH3CO-OH} で R が OH なので陰性。
ポイント ヨードホルムは「アセチル基 \ce{CH3CO-} の隣が H か C 」。隣が O(酢酸・エステル)なら陰性。
注意 ギ酸 \ce{HCOOH} はカルボン酸だが、構造の中にアルデヒド基を含むので銀鏡反応を示す 。
確認問題
答え 銀鏡反応(またはフェーリング液)。アセトアルデヒドだけが陽性。ヨードホルム反応はどちらも陽性なので使えない。
着眼点 カルボン酸は炭酸より強い弱酸 。だから炭酸水素ナトリウムと反応して \ce{CO2} を出す。
\ce{CH3COOH + NaHCO3 -> CH3COONa + H2O + CO2 ^}
酸の強さ:塩酸・硫酸 > カルボン酸 > 炭酸 > フェノール
化合物 ポイント ギ酸 \ce{HCOOH} 還元性あり(銀鏡反応)。濃硫酸で脱水すると \ce{CO} 酢酸 \ce{CH3COOH} 純粋なものは冬に凍る(氷酢酸)。2分子から脱水して無水酢酸 \ce{(CH3CO)2O} マレイン酸(シス形) 加熱すると分子内で脱水して無水マレイン酸になる フマル酸(トランス形) COOH が離れているので分子内脱水しない 乳酸 \ce{CH3CH(OH)COOH} 不斉炭素原子あり(鏡像異性体)
例題
1 マレイン酸とフマル酸は互いに何の関係か。加熱で区別できる理由も答えよ。
解答 シス・トランス異性体。マレイン酸(シス形)は2つの COOH が同じ側にあり近いので、加熱で分子内脱水して無水マレイン酸になる。フマル酸(トランス形)は反対側で離れているので起こらない。
ポイント 「炭酸水素ナトリウムで泡が出る=カルボン酸(またはスルホン酸) 」。フェノールは泡が出ない。芳香族の分離でもそのまま使う。
確認問題
答え 炭酸水素ナトリウム水溶液(酢酸だけ \ce{CO2} を発生)。
着眼点 カルボン酸+アルコール ⇄ エステル+水(濃硫酸が触媒 、可逆)。塩基で加水分解するけん化は不可逆 (カルボン酸の塩になるから)。
\ce{CH3COOH + C2H5OH <=> CH3COOC2H5 + H2O}
\ce{CH3COOC2H5 + NaOH -> CH3COONa + C2H5OH}
酢酸エチルは水に溶けにくく、果実のような香りをもつ。
例題
1 分子式 \ce{C4H8O2} のエステル A を加水分解すると、銀鏡反応を示すカルボン酸 B と、ヨードホルム反応を示すアルコール C が得られた。A の示性式は?
解答 銀鏡反応を示すカルボン酸はギ酸 \ce{HCOOH} 。残りの炭素3個がアルコール側で、候補は1-プロパノールと2-プロパノール。ヨードホルム陽性なのは2-プロパノール。 A は \ce{HCOOCH(CH3)2} (ギ酸イソプロピル)。
ポイント エステルの構造決定は「加水分解して酸側とアルコール側に割る 」→ それぞれを銀鏡・ヨードホルム・酸化生成物で特定。
注意 エステル化で取れる水の O はカルボン酸側の OH から来る(酸から OH、アルコールから H)。
確認問題
1 エステルを NaOH で加水分解する反応を何というか。
答え けん化。
着眼点 油脂はグリセリン1分子+脂肪酸3分子 のエステル。けん化に KOH は3 mol 。ヨウ素価は C=C の数を測る。
\ce{C3H5(OCOR)3 + 3KOH -> C3H5(OH)3 + 3RCOOK}
けん化価 :油脂 1\ \mathrm{g} のけん化に必要な KOH の mg 数。分子量 M なら \dfrac{3\times56\times10^3}{M} (分子量が小さいほど大きい)。
ヨウ素価 :油脂 100\ \mathrm{g} に付加する \ce{I2} の g 数。C=C が多いほど大きい。
常温で固体の脂肪は飽和脂肪酸が多く、液体の脂肪油は不飽和脂肪酸が多い。脂肪油に水素を付加して固体にしたものが硬化油。
脂肪酸 示性式 C=C の数 パルミチン酸 \ce{C15H31COOH} 0 ステアリン酸 \ce{C17H35COOH} 0 オレイン酸 \ce{C17H33COOH} 1 リノール酸 \ce{C17H31COOH} 2 リノレン酸 \ce{C17H29COOH} 3
例題
1 原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{O}=16,\ \ce{K}=39,\ \ce{I}=127 とする。オレイン酸だけからなる油脂(分子式 \ce{C57H104O6} )のけん化価とヨウ素価を整数で求めよ。
解答 分子量 =12\times57+1.0\times104+16\times6=684+104+96=884 。 けん化価:1\ \mathrm{g} は \dfrac{1}{884}\ \mathrm{mol} 、KOH(式量 56 )はその3倍。\dfrac{3\times56\times10^3}{884}=190.0\ldots より 190 。 ヨウ素価:オレイン酸1個に C=C が1つ、油脂1分子で3つ。100\ \mathrm{g} は \dfrac{100}{884}\ \mathrm{mol} 、\ce{I2} (分子量 254 )はその3倍。\dfrac{100\times3\times254}{884}=86.2\ldots より 86 。 (検算:884\times190=167960\fallingdotseq168000=3\times56\times10^3 。884\times86=76024\fallingdotseq76200=100\times3\times254 。)
ポイント 脂肪酸は「C17 で H が 35・33・31・29 」と2ずつ減る=C=C が1つずつ増える。パルミチン酸だけ C15。
確認問題
1 けん化価が大きい油脂は、分子量が大きいか小さいか。
答え 小さい(同じ1 gでも物質量が多いので KOH が多く要る)。
着眼点 セッケン \ce{RCOONa} は弱酸と強塩基の塩 なので水溶液は弱塩基性。硬水中では \ce{Ca^2+} ・\ce{Mg^2+} と沈殿をつくり泡立たない。合成洗剤はこの弱点がない。
疎水性の炭化水素基 R と親水性の \ce{-COO-} をもつ。水中で R を内側に向けて集まり(ミセル )、油汚れを内側に取り込んで水中に分散させる(乳化作用)。
セッケン 合成洗剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなど) 水溶液の性質 弱塩基性 中性 硬水中 \ce{(RCOO)2Ca} などが沈殿して洗浄力が落ちる沈殿しない 酸性の水中 脂肪酸が遊離して洗浄力が落ちる 使える(強酸の塩)
例題
1 セッケン水にフェノールフタレイン溶液を加えると何色になるか。理由も答えよ。
解答 淡赤色(赤)。\ce{RCOO- + H2O <=> RCOOH + OH-} と加水分解して弱塩基性を示すため。
ポイント 「セッケンは硬水と酸に弱い、合成洗剤は強い 」の1行で表が再現できる。
確認問題
1 セッケン水に塩化カルシウム水溶液を加えるとどうなるか。
答え 白く濁る(脂肪酸カルシウムが沈殿する)。泡立ちが悪くなる。
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有機(芳香族) ベンゼンの置換反応を起点に、フェノール・サリチル酸・アニリン・ジアゾ化の「製法の流れ」をつなげ、酸の強さを使った抽出分離で仕上げる。
ベンゼンと置換反応 着眼点 6つの C–C 結合はすべて同じ長さ(単結合と二重結合の中間)で安定。だから付加より置換が起こりやすい 。付加は特別な条件のときだけ。
置換(ふつう):H が他の原子・原子団に置き換わる。ベンゼン環は残る。
付加(特別な条件):
\ce{C6H6 + 3H2 -> C6H12}
(Ni 触媒、高温・高圧。シクロヘキサンになる)
\ce{C6H6 + 3Cl2 -> C6H6Cl6}
(紫外線を当てる。1,2,3,4,5,6-ヘキサクロロシクロヘキサン)
例題
1 ベンゼンに臭素水を加えて振っても、エチレンのように臭素の色はすぐには消えない。理由を説明せよ。
解答 ベンゼン環は安定で、アルケンのような付加反応を起こしにくいため。臭素との反応は鉄などの触媒があるときの置換反応になる。
ポイント 「ベンゼンは置換が基本。付加は \ce{H2} (Ni・高温高圧)と \ce{Cl2} (光)の2つだけ 」と例外を2つ覚える。
注意 塩素との反応は条件で別物:鉄触媒 → 置換(クロロベンゼン) 、光 → 付加(\ce{C6H6Cl6} ) 。
確認問題
1 ベンゼンの分子式と、炭素原子間の結合の長さの特徴は?
答え \ce{C6H6} 。6つの結合の長さがすべて等しい(単結合と二重結合の中間)。
必須 置換反応3種(ハロゲン化・ニトロ化・スルホン化) 着眼点 試薬と条件を表でセット にして覚える。ニトロ化は「濃硝酸+濃硫酸」、スルホン化は「濃硫酸だけ」。
\ce{C6H6 + Cl2 -> C6H5Cl + HCl}
\ce{C6H6 + HNO3 -> C6H5NO2 + H2O}
\ce{C6H6 + H2SO4 -> C6H5SO3H + H2O}
反応 試薬・条件 生成物 生成物の性質 塩素化 \ce{Cl2} 、鉄(または塩化鉄(III))触媒クロロベンゼン \ce{C6H5Cl} 無色の液体 ニトロ化 濃硝酸+濃硫酸(混酸)、約60℃ ニトロベンゼン \ce{C6H5NO2} 淡黄色の油状液体、水より重い スルホン化 濃硫酸、加熱 ベンゼンスルホン酸 \ce{C6H5SO3H} 水に溶け、強い酸性
例題
1 ベンゼンからアニリンをつくる2段階の反応を、試薬とともに答えよ。
解答 ①ニトロ化:濃硝酸と濃硫酸でニトロベンゼンにする。 ②還元:スズ(または鉄)と濃塩酸で還元してアニリン塩酸塩にし、水酸化ナトリウム水溶液を加えてアニリンを遊離させる。
ポイント ここで出た3つは次の製法の起点:ニトロベンゼン → アニリン 、ベンゼンスルホン酸 → フェノール(アルカリ融解) 、クロロベンゼン → フェノール 。
確認問題
答え 触媒(脱水剤としても働く)。ニトロ基を入れるのは濃硝酸。
着眼点 ベンゼン環に直接ついた炭素の側鎖は、長さに関係なく \ce{KMnO4} で \ce{-COOH} になる 。側鎖の数=COOH の数。
\ce{KMnO4} による酸化では、はじめにカルボン酸の塩ができるので、最後に塩酸などで酸性にしてカルボン酸を取り出す。
原料 酸化生成物 ポイント トルエン \ce{C6H5CH3} 安息香酸 \ce{C6H5COOH} エチルベンゼン \ce{C6H5C2H5} 安息香酸 側鎖が長くても COOH は1つ o-キシレン フタル酸 加熱で分子内脱水 → 無水フタル酸 m-キシレン イソフタル酸 p-キシレン テレフタル酸 PET(ポリエチレンテレフタラート)の原料
例題
1 分子式 \ce{C8H10} の芳香族炭化水素 A を \ce{KMnO4} で酸化したところ、加熱すると容易に分子内脱水する2価カルボン酸が得られた。A の名称は?
解答 2価カルボン酸 → 側鎖が2本(キシレン)。分子内脱水しやすいのは COOH が隣り合うフタル酸 。よって A は o-キシレン 。
ポイント 「酸化で何価のカルボン酸ができるか」で側鎖の本数 、「脱水するか・PET 原料か」で位置 (o か p)が決まる。
確認問題
1 エチルベンゼンを \ce{KMnO4} で酸化すると何ができるか。
答え 安息香酸(側鎖は長さによらず COOH 1つになる)。
着眼点 すでにある置換基によって、次の置換が入る位置が決まる。\ce{-OH,\ -NH2,\ -CH3,\ -Cl} は o・p 位、\ce{-NO2,\ -COOH,\ -SO3H} は m 位に入りやすい。
例:トルエンをニトロ化すると、主に o-ニトロトルエンと p-ニトロトルエンができる。さらに進めると 2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)。
ポイント 後回しでよい。教科書では発展扱いで、地方国公立では問題文に指示がつく。難関大の合成経路問題を解く人だけ必要。
確認問題
1 ニトロベンゼンをさらにニトロ化すると、主に o・m・p のどれができるか。
答え m-ジニトロベンゼン(\ce{-NO2} はメタ配向)。
フェノール類と芳香族カルボン酸 着眼点 ベンゼン環に OH が直接ついたもの。炭酸より弱い酸 :NaOH とは反応するが \ce{NaHCO3} とは反応しない。塩化鉄(III)で紫系に呈色 。
\ce{C6H5OH + NaOH -> C6H5ONa + H2O}
\ce{C6H5ONa + CO2 + H2O -> C6H5OH + NaHCO3}
\ce{C6H5OH + 3Br2 -> C6H2Br3OH v + 3HBr}
試薬 結果 塩化鉄(III)水溶液 紫色に呈色(フェノール類に共通) NaOH 水溶液 溶ける(ナトリウムフェノキシド) \ce{NaHCO3} 水溶液反応しない(炭酸より弱い酸) 臭素水 2,4,6-トリブロモフェノールの白色沈殿 Na \ce{H2} 発生(アルコールと同じ)
例題
1 ナトリウムフェノキシドの水溶液に二酸化炭素を十分に通すと、白く濁る。何が起こったか。
解答 炭酸のほうがフェノールより強い酸なので、弱い酸であるフェノールが遊離した(弱酸の遊離)。\ce{C6H5ONa + CO2 + H2O -> C6H5OH + NaHCO3} 。フェノールは水に溶けにくいので白濁する。
ポイント アルコールとの違いは「NaOH に溶ける・塩化鉄(III)で呈色 」。どちらも OH をもつが、アルコールは酸性を示さない。
確認問題
1 ベンジルアルコール \ce{C6H5CH2OH} は塩化鉄(III)で呈色するか。
答え しない。OH がベンゼン環に直接ついていない(アルコール)。
着眼点 工業的にはクメン法 :ベンゼン+プロペン → クメン → 酸化 → 分解でフェノールとアセトンが同時に できる。
クメン法
\ce{C6H6 + CH2=CHCH3 -> C6H5CH(CH3)2}
(クメン)→ 酸素で酸化してクメンヒドロペルオキシド \ce{C6H5C(CH3)2OOH} → 希硫酸で分解
\ce{C6H5C(CH3)2OOH -> C6H5OH + CH3COCH3}
アルカリ融解 :ベンゼンスルホン酸ナトリウムを固体の NaOH と高温で融解
\ce{C6H5SO3Na + 2NaOH -> C6H5ONa + Na2SO3 + H2O}
その後、酸(\ce{CO2} と水など)を加えてフェノールを遊離させる。
クロロベンゼンから :高温・高圧で NaOH 水溶液と反応させてナトリウムフェノキシドにし、酸で遊離。
例題
1 原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{O}=16 とする。クメン法でフェノール 9.4\ \mathrm{kg} をつくると、同時に得られるアセトンは何 kg か(反応はすべて完全に進むとする)。
解答 フェノール \ce{C6H5OH}=94 。\dfrac{9.4\times10^3}{94}=1.0\times10^2\ \mathrm{mol} 。 フェノールとアセトンは 1:1 で生じるので、アセトン(\ce{CH3COCH3}=58 )も 1.0\times10^2\ \mathrm{mol} 。1.0\times10^2\times58=5.8\times10^3\ \mathrm{g} 、答え 5.8\ \mathrm{kg} 。 (検算:クメン \ce{C9H12}=120 由来の炭素 9 個が 6+3 に分かれる。94+58=152=120+32 (\ce{O2} 1分子分)。質量の釣り合いも合う。)
ポイント クメン法は「C6+C3 → C9(クメン)→ C6(フェノール)+C3(アセトン) 」。炭素数で追うと生成物を間違えない。
必須 サリチル酸とその誘導体(アセチルサリチル酸・サリチル酸メチル) 着眼点 サリチル酸はOH と COOH の両方 をもつ。OH をアセチル化 → アセチルサリチル酸(解熱鎮痛剤)、COOH をエステル化 → サリチル酸メチル(消炎鎮痛剤)。
製法:ナトリウムフェノキシドに高温・高圧で \ce{CO2} を反応させ、サリチル酸ナトリウムにしてから強酸で遊離。
\ce{C6H5ONa + CO2 -> C6H4(OH)COONa}
\ce{C6H4(OH)COONa + HCl -> C6H4(OH)COOH + NaCl}
アセチル化(無水酢酸):
\ce{C6H4(OH)COOH + (CH3CO)2O -> C6H4(OCOCH3)COOH + CH3COOH}
エステル化(メタノール+濃硫酸):
\ce{C6H4(OH)COOH + CH3OH -> C6H4(OH)COOCH3 + H2O} 化合物 塩化鉄(III) \ce{NaHCO3} で \ce{CO2} サリチル酸 呈色する(OH あり) 発生する(COOH あり) アセチルサリチル酸 呈色しない(OH がない) 発生する サリチル酸メチル 呈色する 発生しない(COOH がない)
例題
1 原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{O}=16 とする。サリチル酸 2.76\ \mathrm{g} を無水酢酸と完全に反応させると、アセチルサリチル酸は何 g 得られるか。
解答 サリチル酸 \ce{C7H6O3}=138 :\dfrac{2.76}{138}=0.0200\ \mathrm{mol} 。 アセチルサリチル酸 \ce{C9H8O4}=180 も 0.0200\ \mathrm{mol} 。0.0200\times180= 3.60\ \mathrm{g} 。 (検算:\ce{C7H6O3} に \ce{C2H2O} (42 )が加わって \ce{C9H8O4} 。138+42=180 。2.76\times\dfrac{180}{138}=3.60 。)
ポイント 表は「OH が残っていれば塩化鉄(III)で呈色、COOH が残っていれば \ce{NaHCO3} で泡 」の2つのルールから毎回作れる。
注意 アセチルサリチル酸の合成で未反応のサリチル酸が残っているかは、塩化鉄(III)水溶液で調べる(呈色すれば残っている)。
窒素を含む芳香族化合物 着眼点 ニトロベンゼンをスズと濃塩酸で還元 → アニリン塩酸塩 → NaOH で遊離。アニリンは弱塩基 で、さらし粉で赤紫色。
\ce{2C6H5NO2 + 3Sn + 14HCl -> 2C6H5NH3Cl + 3SnCl4 + 4H2O}
\ce{C6H5NH3Cl + NaOH -> C6H5NH2 + NaCl + H2O}
アセチル化(無水酢酸)でアセトアニリド(アミド結合 \ce{-NHCO-} をもつ):
\ce{C6H5NH2 + (CH3CO)2O -> C6H5NHCOCH3 + CH3COOH} 試薬 結果 さらし粉水溶液 赤紫色に呈色(アニリンの検出) 二クロム酸カリウム(硫酸酸性) 黒色物質(アニリンブラック) 塩酸 溶ける(アニリン塩酸塩) NaOH 水溶液 溶けない
例題
1 スズと塩酸による還元の後、なぜ NaOH 水溶液を加える必要があるのか。
解答 還元直後のアニリンは、塩酸と中和したアニリン塩酸塩 \ce{C6H5NH3Cl} (水に溶ける)になっている。強塩基を加えると弱塩基のアニリンが遊離して取り出せる(弱塩基の遊離)。
ポイント アニリンの検出は「さらし粉で赤紫 」、フェノールは「塩化鉄(III)で紫 」。どちらも紫系なので試薬で区別して覚える。
確認問題
1 アニリンと無水酢酸からできる化合物と、その結合の名前は?
答え アセトアニリド、アミド結合。
着眼点 アニリン+亜硝酸ナトリウム+塩酸を氷で冷やしながら(5℃以下) 反応 → 塩化ベンゼンジアゾニウム。温めると分解してフェノールと \ce{N2} 。ナトリウムフェノキシドとカップリングで橙赤色のアゾ化合物 。
ジアゾ化:
\ce{C6H5NH2 + NaNO2 + 2HCl -> C6H5N2Cl + NaCl + 2H2O}
温めると分解:
\ce{C6H5N2Cl + H2O -> C6H5OH + N2 ^ + HCl}
カップリング(ジアゾカップリング):
\ce{C6H5N2Cl + C6H5ONa -> C6H5-N=N-C6H4-OH + NaCl}
生成物は p-ヒドロキシアゾベンゼン(p-フェニルアゾフェノール)、橙赤色。アゾ基 \ce{-N=N-} をもつ化合物はアゾ染料として使われる。
例題
解答 塩化ベンゼンジアゾニウムは不安定で、温度が上がると水と反応して分解し(\ce{N2} が発生し、フェノールになる)、目的物が得られなくなるため。
ポイント 流れで覚える:ベンゼン →(ニトロ化)→ ニトロベンゼン →(Sn・HCl 還元)→ アニリン →(ジアゾ化・氷冷)→ ジアゾニウム塩 →(カップリング)→ アゾ染料 。
注意 カップリングの相手はフェノールそのものではなくナトリウムフェノキシド (塩基性条件)として書くのが教科書の形。
確認問題
1 塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液を温めると発生する気体は?
答え 窒素 \ce{N2} (同時にフェノールができる)。
分離と構造決定 差がつく 芳香族の異性体と構造決定(\ce{C8H10} ・\ce{C7H8O} ) 着眼点 二置換ベンゼンは o・m・p の3種類 。分子式から「側鎖1本か2本か」をまず分ける。
分子式 異性体 見分け方 \ce{C8H10} (4種)エチルベンゼン、o-・m-・p-キシレン 酸化生成物:安息香酸/フタル酸/イソフタル酸/テレフタル酸 \ce{C7H8O} (5種)ベンジルアルコール、アニソール(メチルフェニルエーテル)、o-・m-・p-クレゾール Na と反応しない → アニソール。塩化鉄(III)で呈色 → クレゾール
例題
1 分子式 \ce{C7H8O} の芳香族化合物 A は、Na と反応して \ce{H2} を出すが、NaOH 水溶液には溶けず、塩化鉄(III)で呈色しない。A の名称は?
解答 Na と反応 → OH をもつ。NaOH に溶けず塩化鉄(III)で呈色しない → フェノール類ではない。よって OH がベンゼン環に直接ついていないベンジルアルコール \ce{C6H5CH2OH} 。
ポイント \ce{C7H8O} の判定は「Na(OH の有無)→ 塩化鉄(III)(フェノール性か) 」の2本で5種類が全部分かれる。
確認問題
1 \ce{C8H10} の芳香族炭化水素で、酸化するとテレフタル酸になるものは?
答え p-キシレン。
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高分子化合物 糖・アミノ酸・核酸の天然高分子は「単量体と結合の種類」と「検出反応」で、合成高分子は「重合の種類と原料」の表で整理し、重合度の計算を型にする。
糖類 着眼点 単糖は \ce{C6H12O6} 。水溶液中で環状構造と鎖状構造が平衡 にあり、鎖状構造がもつ還元性の基のため単糖はすべて還元性 を示す。
グルコース(ブドウ糖):水溶液中で α-グルコース・鎖状構造・β-グルコースが平衡。鎖状構造にアルデヒド基 \ce{-CHO} 。
フルクトース(果糖):鎖状構造はケトン基をもつが、\ce{-COCH2OH} の部分が還元性を示すので、やはり銀鏡反応・フェーリング液の還元が陽性。
ガラクトース:グルコースの立体異性体。ラクトースの構成成分。
アルコール発酵(酵素群チマーゼ):
\ce{C6H12O6 -> 2C2H5OH + 2CO2} 例題
1 原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{O}=16 とする。グルコース 36\ \mathrm{g} を完全にアルコール発酵させると、エタノールは何 g できるか。
解答 グルコース \ce{C6H12O6}=180 :\dfrac{36}{180}=0.20\ \mathrm{mol} 。 エタノールはその2倍の 0.40\ \mathrm{mol} 。\ce{C2H5OH}=46 より 0.40\times46= 18.4\ \mathrm{g} 、有効数字2桁で 18\ \mathrm{g} 。 (検算:\ce{CO2} は 0.40\times44=17.6\ \mathrm{g} 。18.4+17.6=36 で質量保存が成り立つ。)
ポイント 「単糖はすべて還元性 」と言い切ってよい。還元性がないのは二糖のスクロースと多糖。
確認問題
1 グルコースの水溶液が銀鏡反応を示すのは、どの構造のためか。
答え 鎖状構造のアルデヒド基 \ce{-CHO} 。
着眼点 二糖 \ce{C12H22O11} は単糖2つが脱水縮合(グリコシド結合)したもの。スクロースだけ還元性なし (還元性を示す部分どうしで結合しているため)。
スクロースを加水分解して得られるグルコースとフルクトースの等量混合物を転化糖 という(還元性あり)。
二糖 構成単糖 還元性 加水分解酵素 マルトース(麦芽糖) α-グルコース+グルコース あり マルターゼ セロビオース β-グルコース+グルコース あり セロビアーゼ ラクトース(乳糖) ガラクトース+グルコース あり ラクターゼ スクロース(ショ糖) グルコース+フルクトース なし インベルターゼ(スクラーゼ)
例題
1 原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{O}=16 とする。スクロース 34.2\ \mathrm{g} を完全に加水分解した。得られる単糖の合計は何 g か。
解答 \ce{C12H22O11}=342 :\dfrac{34.2}{342}=0.100\ \mathrm{mol} 。\ce{C12H22O11 + H2O -> C6H12O6 + C6H12O6} より単糖は合計 0.200\ \mathrm{mol} 、0.200\times180= 36.0\ \mathrm{g} 。 (検算:加わった水 0.100\times18=1.8\ \mathrm{g} 。34.2+1.8=36.0 。)
ポイント 酵素名は「糖の名前の語尾を -アーゼに 」(マルトース→マルターゼ、ラクトース→ラクターゼ)。例外はスクロースのインベルターゼ。
確認問題
1 スクロース水溶液はフェーリング液を還元するか。加水分解後はどうか。
答え しない。加水分解後(転化糖)は還元する。
着眼点 デンプンは α-グルコース 、セルロースは β-グルコース が縮合重合したもの。\ce{(C6H10O5)_{n}} 。還元性はない。
\ce{(C6H10O5)_{n} + nH2O -> nC6H12O6}
セルロースの誘導体:
トリアセチルセルロース:無水酢酸でアセチル化。一部を加水分解したジアセチルセルロースがアセテート繊維(半合成繊維)。
トリニトロセルロース:濃硝酸と濃硫酸でエステル化。火薬(綿火薬)。
レーヨン(再生繊維):セルロースをシュバイツァー試薬に溶かしたのが銅アンモニアレーヨン、NaOH と二硫化炭素で処理したビスコースからつくるのがビスコースレーヨン。
アミロース アミロペクチン グリコーゲン セルロース 単量体 α-グルコース α-グルコース α-グルコース β-グルコース 構造 直鎖(らせん) 枝分かれあり 枝分かれがさらに多い 直線状 ヨウ素デンプン反応 濃青色 赤紫色 赤褐色 呈色しない 加水分解酵素 アミラーゼ → マルトース 同左 セルラーゼ → セロビオース
例題
1 原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{O}=16 とする。セルロース 16.2\ \mathrm{g} のヒドロキシ基をすべてアセチル化すると、トリアセチルセルロースは何 g 得られるか。
解答 セルロースの繰り返し単位は \ce{C6H7O2(OH)3} (式量 162 )で、OH が3個。 アセチル化で OH 1個あたり \ce{C2H2O} (42 )増えるので、単位あたり 162+3\times42=288 。16.2\ \mathrm{g} は単位 0.100\ \mathrm{mol} 分なので 0.100\times288= 28.8\ \mathrm{g} 。 (検算:\ce{C6H7O2(OCOCH3)3}=\ce{C12H16O8} 、144+16+128=288 。一致。)
ポイント デンプン系の計算は「繰り返し単位 162、グルコース 180、差は水 18 」。重合度 n は計算の途中で必ず消える。
注意 セルロースは人間の消化酵素では分解できない(セルラーゼをもたない)。ヨウ素デンプン反応も示さない。
確認問題
1 デンプン 81\ \mathrm{g} を完全に加水分解すると、グルコースは何 g か(\ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{O}=16 )。
答え 81\div162=0.50\ \mathrm{mol} (単位)、グルコース 0.50\times180=90\ \mathrm{g} 。
アミノ酸・タンパク質・核酸 着眼点 同じ炭素に \ce{-NH2} と \ce{-COOH} がつく α-アミノ酸 \ce{R-CH(NH2)-COOH} 。結晶や水溶液中では双性イオン 。電荷の総和が0になる pH が等電点 。
pH による形の変化(グリシンの場合):
\ce{H3N^+-CH2-COOH <=> H3N^+-CH2-COO^- <=> H2N-CH2-COO^-}
左が酸性(陽イオン)、中央が等電点付近(双性イオン)、右が塩基性(陰イオン)。
分類 例 等電点の目安 中性アミノ酸 グリシン(R=H、不斉炭素なし)、アラニン(R=\ce{CH3} ) 6 付近 酸性アミノ酸(COOH が2つ) グルタミン酸、アスパラギン酸 3 付近 塩基性アミノ酸(\ce{NH2} が2つ) リシン 10 付近
例題
1 グリシン・グルタミン酸・リシンの混合水溶液を pH 6 で電気泳動した。陽極側・陰極側に移動するもの、ほとんど動かないものを答えよ。
解答 pH 6 は グルタミン酸の等電点(約3)より塩基性側 → 陰イオン → 陽極側 リシンの等電点(約10)より酸性側 → 陽イオン → 陰極側 グリシンはほぼ等電点 → ほとんど動かない
ポイント 「等電点より酸性なら+、塩基性なら− 」(酸性側は \ce{H+} が多いので \ce{H+} を受け取って+になる)。
注意 グリシンだけは不斉炭素原子をもたない(R が H)。他の α-アミノ酸には鏡像異性体がある。
確認問題
答え 赤紫〜青紫色(ニンヒドリン反応、アミノ基の検出)。
着眼点 アミノ酸どうしのアミド結合をペプチド結合 という。タンパク質の検出は4つの呈色反応 を「何を検出しているか」とセットで。
構造:一次構造(アミノ酸の配列)、二次構造(α-ヘリックス・β-シート、水素結合)、三次・四次構造。
変性 :熱・強酸・強塩基・重金属イオン・有機溶媒などで立体構造が壊れ、元に戻らない。
酵素はタンパク質でできた触媒。基質特異性 があり、最適温度(35〜40℃ 付近が多い)・最適 pH がある。
反応 操作 色 検出するもの ビウレット反応 NaOH 水溶液+硫酸銅(II)水溶液 赤紫色 ペプチド結合2つ以上(トリペプチド以上) キサントプロテイン反応 濃硝酸で加熱 → 冷やしてアンモニア水 黄色 → 橙黄色 ベンゼン環(チロシンなど) 硫黄の検出 NaOH を加えて加熱 → 酢酸鉛(II)水溶液 黒色沈殿(\ce{PbS} ) 硫黄(システインなど) ニンヒドリン反応 ニンヒドリン溶液で加熱 赤紫〜青紫色 アミノ基
例題
1 グリシンとアラニンからできるジペプチドは何種類か(鏡像異性体は区別しない)。
解答 N 末端と C 末端の区別があるので、Gly-Gly、Ala-Ala、Gly-Ala、Ala-Gly の 4種類 。
ポイント ビウレットは「ビ=2 、ペプチド結合が2つ以上」と語呂で。ジペプチド(結合1つ)は陰性。
確認問題
1 異なる3種類のアミノ酸を1個ずつ使ってできる鎖状トリペプチドは何種類か。
答え 並べ方なので 3!=6 種類。
2 キサントプロテイン反応が陽性のとき、タンパク質に含まれている構造は?
答え ベンゼン環(芳香族アミノ酸)。
着眼点 単量体はヌクレオチド (塩基+糖+リン酸)。DNA と RNA の違いは糖・塩基・鎖の数 の3点。
DNA の2本鎖は塩基どうしの水素結合でつながる。A と T(水素結合2本) 、G と C(水素結合3本) が対をつくる(相補的塩基対)。
DNA RNA 糖 デオキシリボース リボース 塩基 A・G・C・T A・G・C・U 構造 二重らせん(2本鎖) 1本鎖 はたらき 遺伝情報の保存 タンパク質の合成
例題
1 ある2本鎖 DNA で、全塩基に占めるアデニンの割合が 30\% だった。グアニンの割合は何 % か。
解答 A と T は同数なので T も 30\% 。残り 100-60=40\% を G と C が等分するので G は 20\% 。 (検算:30+30+20+20=100 。)
ポイント 「DNA は デ・T、RNA は リ・U 」。水素結合の本数は「A=T(2本)、G≡C(3本) 」。
確認問題
1 G と C の割合が多い DNA ほど、2本鎖がほどけにくい理由は?
答え G–C 対は水素結合が3本で、A–T 対(2本)より結びつきが強いため。
合成高分子 着眼点 原料の形で重合の種類が決まる。C=C をもつ → 付加重合 、官能基を2つもつ → 縮合重合 、環状 → 開環重合 、フェノール・尿素・メラミン+ホルムアルデヒド → 付加縮合。
\ce{nCH2=CH2 -> [-CH2-CH2-]_{n}}
重合 原料の特徴 例 付加重合 C=C をもつ(ビニル化合物など) ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル 縮合重合 官能基を2つずつもつ分子どうし(水などが取れる) ナイロン66、ポリエチレンテレフタラート 開環重合 環状の分子が開いてつながる ナイロン6(ε-カプロラクタム) 付加縮合 付加と縮合をくり返す フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂 共重合 2種類以上の単量体をまぜて重合 スチレン-ブタジエンゴム
例題
解答 \ce{nHOOC(CH2)4COOH + nH2N(CH2)6NH2 -> [-CO(CH2)4CO-NH(CH2)6NH-]_{n} + 2nH2O} アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの縮合重合。アミド結合 \ce{-CO-NH-} でつながる。
ポイント 縮合重合の式は「取れる水は 2n 」(繰り返し単位1つに結合が2つできる)。厳密には 2n-1 だが、教科書では 2n と書く。
確認問題
1 ポリエチレンテレフタラートの原料2つと重合の種類は?
答え テレフタル酸とエチレングリコール、縮合重合(エステル結合)。
着眼点 重合度 n=\dfrac{\text{分子量}}{\text{繰り返し単位の式量}} 。結合の数は繰り返し単位あたりいくつか を先に数える。
例題
1 原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12 とする。平均分子量 2.8\times10^4 のポリエチレンの重合度を求めよ。
解答 繰り返し単位 \ce{-CH2-CH2-} の式量は 28 。n=\dfrac{2.8\times10^4}{28}= 1.0\times10^3 。 (検算:1.0\times10^3\times28=2.8\times10^4 。)
2 原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{N}=14,\ \ce{O}=16 とする。平均分子量 2.26\times10^4 のナイロン66 1分子に含まれるアミド結合は約何個か。
解答 繰り返し単位 \ce{-CO(CH2)4CO-NH(CH2)6NH-} は \ce{C12H22N2O2} 、式量 144+22+28+32=226 。n=\dfrac{2.26\times10^4}{226}=100 。繰り返し単位1つにアミド結合が2つなので、約 2.0\times10^2 個 。 (検算:単量体の和 146+116=262 から水2分子 36 を引くと 226 。一致。)
ポイント 繰り返し単位の式量は「単量体の式量の和 − 取れた水 」でも出せる。2通りで出して一致を確かめる習慣をつける。
注意 「アミド結合の数」は n ではなく 2n (ナイロン66)。ナイロン6 なら n 。繰り返し単位を書いて数える。
確認問題
1 原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{Cl}=35.5 とする。分子量 6.25\times10^4 のポリ塩化ビニルの重合度は?
答え 単位 \ce{C2H3Cl}=62.5 、6.25\times10^4\div62.5=1.00\times10^3 。
必須 合成繊維(ナイロン・PET・アクリル・ビニロン) 着眼点 名前・原料・結合・重合の種類を1行ずつ表で 覚える。ビニロンだけは「酢酸ビニル → ポリ酢酸ビニル → ポリビニルアルコール → アセタール化」と工程が長い。
ビニロンの工程:酢酸ビニルを付加重合 → ポリ酢酸ビニル → NaOH でけん化 → ポリビニルアルコール(水に溶ける)→ ホルムアルデヒドで OH の一部をアセタール化(水に溶けなくなる)。
繊維 原料 重合 結合など ナイロン66 アジピン酸+ヘキサメチレンジアミン 縮合重合 アミド結合 ナイロン6 ε-カプロラクタム 開環重合 アミド結合 アラミド繊維 テレフタル酸ジクロリド+p-フェニレンジアミン 縮合重合 アミド結合(ベンゼン環を含み高強度) ポリエチレンテレフタラート テレフタル酸+エチレングリコール 縮合重合 エステル結合 アクリル繊維 アクリロニトリル \ce{CH2=CHCN} 付加重合 ビニロン ポリビニルアルコール+ホルムアルデヒド アセタール化 残った OH で適度な吸湿性
例題
1 ポリビニルアルコールを酢酸ビニルではなくビニルアルコールの付加重合でつくらないのはなぜか。
解答 ビニルアルコールは不安定で、すぐにアセトアルデヒドに変わってしまい単量体として取り出せないため。
ポイント 「ナイロン=アミド、PET=エステル、アクリル・ビニロン=ビニル系 」。ナイロンの数字は原料の炭素数(66 は C6 と C6、6 は C6 一つ)。
着眼点 OH 2個 とホルムアルデヒド 1分子 が反応して水が1分子取れる。OH 2個あたり質量は +12 (\ce{HCHO} 30 − \ce{H2O} 18 )。
\ce{2(-OH) + HCHO -> -O-CH2-O- + H2O}
例題
1 原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12,\ \ce{O}=16 とする。ポリビニルアルコール 88\ \mathrm{g} の OH の 30\% をホルムアルデヒドでアセタール化した。必要なホルムアルデヒドと、得られるビニロンの質量を求めよ。
解答 繰り返し単位 \ce{-CH2-CH(OH)-} の式量 44 。OH は \dfrac{88}{44}=2.0\ \mathrm{mol} 。 反応する OH は 2.0\times0.30=0.60\ \mathrm{mol} 、ホルムアルデヒドはその半分 0.30\ \mathrm{mol} 、0.30\times30= 9.0\ \mathrm{g} 。 質量は 0.30\ \mathrm{mol}\times12=3.6\ \mathrm{g} 増えて、91.6\ \mathrm{g} (有効数字2桁で 92\ \mathrm{g} )。 (検算:88+9.0-0.30\times18=88+9.0-5.4=91.6 。一致。)
ポイント 「ホルムアルデヒドの物質量 = 反応した OH の半分 」を最初に書く。
確認問題
1 アセタール化の後も OH を一部残すのはなぜか。
答え 適度な吸湿性をもたせ、木綿に似た性質にするため。
着眼点 鎖状 → 熱で軟らかくなる(熱可塑性) 、立体網目状 → 熱で硬くなり元に戻らない(熱硬化性) 。熱硬化性はホルムアルデヒドとの付加縮合でつくるものと覚える。
フェノール樹脂は、酸触媒でつくった中間体(ノボラック)は硬化剤を加えて加熱、塩基触媒でつくった中間体(レゾール)はそのまま加熱すると硬化する。
分類 構造 例 熱可塑性樹脂 鎖状 ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、PET 熱硬化性樹脂 立体網目状 フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂(いずれもホルムアルデヒドと付加縮合)
例題
1 フェノール樹脂が熱硬化性を示す理由を構造から説明せよ。
解答 フェノールのベンゼン環の複数の位置(o 位・p 位)がホルムアルデヒドを介してつながり、立体網目状の構造をつくるため。加熱しても分子が動けず軟らかくならない。
ポイント 「ホルムアルデヒドが出てきたら熱硬化性 」(ただしビニロンは繊維なので別)。
着眼点 天然ゴムはイソプレンの付加重合体(シス形) 。重合後も C=C が残る。硫黄を加えて加硫 すると架橋して弾性が増す。
イソプレン \ce{CH2=C(CH3)-CH=CH2} は両端の炭素で付加重合し、中央に二重結合が移る:
\ce{nCH2=C(CH3)-CH=CH2 -> [-CH2-C(CH3)=CH-CH2-]_{n}}
天然ゴムはシス形。トランス形のものはグッタペルカ(硬く弾性が小さい)。
加硫:硫黄を数%加えて加熱 → 鎖どうしが S で橋かけされ、弾性・強度が増す。多量の硫黄を加えると硬いエボナイト。
ゴムは空気中の酸素やオゾンで C=C が酸化されて劣化する。
合成ゴム 単量体 ブタジエンゴム 1,3-ブタジエン \ce{CH2=CH-CH=CH2} クロロプレンゴム クロロプレン \ce{CH2=CCl-CH=CH2} スチレン-ブタジエンゴム(SBR) スチレン+1,3-ブタジエン(共重合) アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR) アクリロニトリル+1,3-ブタジエン(共重合)
例題
1 原子量 \ce{H}=1.0,\ \ce{C}=12 とする。ポリブタジエン 5.4\ \mathrm{g} に含まれる C=C をすべて水素と反応させるのに必要な \ce{H2} は何 mol か。
解答 繰り返し単位 \ce{-CH2-CH=CH-CH2-} は \ce{C4H6} 、式量 54 。単位は \dfrac{5.4}{54}=0.10\ \mathrm{mol} 。 単位1つに C=C が1つなので \ce{H2} は 0.10\ \mathrm{mol} 。 (検算:単量体ブタジエンは C=C が2つだが、重合で1つ使われて1つ残る。)
ポイント ジエン(C=C が2つ)の重合は「両端がつながり、真ん中に二重結合が1つ残る 」。だから加硫もできるし、劣化もする。
確認問題
答え 硫黄で鎖どうしを架橋し、弾性・強度・耐久性を高めるため。
着眼点 陽イオン交換樹脂は \ce{-SO3H} をもち、溶液中の陽イオンを \ce{H+} と交換する。陰イオン交換樹脂は溶液中の陰イオンを \ce{OH-} と交換する。
\ce{R-SO3H + Na+ -> R-SO3Na + H+}
スチレンと p-ジビニルベンゼンの共重合体(立体網目状)をスルホン化してつくる。使用後は強酸(陰イオン交換樹脂は強塩基)を流すと再生できる。両方に通すと純水(脱イオン水)が得られる。
例題
1 0.10\ \mathrm{mol/L} の塩化ナトリウム水溶液 10\ \mathrm{mL} を陽イオン交換樹脂に通し、流出液をすべて集めた。これを中和するのに 0.10\ \mathrm{mol/L} の水酸化ナトリウム水溶液は何 mL 必要か。
解答 \ce{Na+} は 0.10\times\dfrac{10}{1000}=1.0\times10^{-3}\ \mathrm{mol} 。同じ物質量の \ce{H+} が出て、流出液は HCl 水溶液になる。 NaOH の体積 V は 0.10\times\dfrac{V}{1000}=1.0\times10^{-3} より V=10\ \mathrm{mL} 。 (検算:濃度も体積も同じ NaCl → HCl → NaOH なので 10 mL で一致。)
ポイント \ce{Ca^2+} のような2価イオンは \ce{H+} 2個 と交換される。物質量の換算で価数をかけ忘れない。
確認問題
1 \ce{CaCl2} 1.0\times10^{-3}\ \mathrm{mol} を陽イオン交換樹脂に通すと、流出する \ce{H+} は何 mol か。
答え 2.0\times10^{-3}\ \mathrm{mol} (\ce{Ca^2+} 1個が \ce{H+} 2個と交換)。
着眼点 吸水性高分子=ポリアクリル酸ナトリウム(紙おむつ)、生分解性高分子=ポリ乳酸(微生物で分解)、導電性高分子=ポリアセチレン(ヨウ素などを加えると電気を通す)。
ポイント 後回しでよい。知識を一問一答で問う程度で、計算や構造決定にはほとんど絡まない。共通テストで用途を問われる可能性があるので、直前に上の3つ(物質名と用途)だけ目を通せば足りる。
確認問題
答え ポリアクリル酸ナトリウム(網目構造の内側に水を取り込む)。
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