⑥ (等差)×(等比)の和:S−rS
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要点
S = Σ(等差)×(等比) に公比 r を掛けると、各項が1つ右にずれる。元の S から引くと、等差部分の『差(公差)』だけが残り、それは等比数列の和になる。つまり『rを掛けてずらす』は、等差部分に階差を取らせる操作。
こんなときに使う
- Σ k·2ᵏ、Σ (2k−1)·3ᵏ⁻¹ のように、kの1次式と等比数列の積
- 期待値の計算で k·pᵏ⁻¹ の和が出てきた
- 数IIIで Σ k·xᵏ の極限を問われた
手順
- 1. S を項を並べて書く(最初の2〜3項と最後の項)
- 2. rS を、1つ右にずらして S の下に書く
- 3. S − rS を計算する:真ん中は公差×等比の和、両端に初項と −(最後の項×r) が残る
- 4. 等比の和を計算し、(1 − r) で割る
- 5. n=1, 2 で検算する
例題
S = Σ[k=1〜n] k·2ᵏ を求めよ。
解答
- S = 1·2 + 2·2² + 3·2³ + … + n·2ⁿ
- 2S = 1·2² + 2·2³ + … + (n−1)·2ⁿ + n·2ⁿ⁺¹
- S − 2S = 2 + 2² + 2³ + … + 2ⁿ − n·2ⁿ⁺¹
- −S = (2ⁿ⁺¹ − 2) − n·2ⁿ⁺¹
- ∴ S = (n − 1)·2ⁿ⁺¹ + 2
- 検算:n=2 で 2 + 8 = 10、1·8 + 2 = 10 ○
別解・ほかの見方
- 微分を使う:Σ xᵏ = (xⁿ⁺¹ − x)/(x − 1) を x で微分して x を掛ける(数III)
- k² · rᵏ の和は S − rS を2回行う
- 答えを (An + B)·2ⁿ + C と置いて n=1,2,3 から係数を決める方法もある
落とし穴
- rS の最後の項 n·2ⁿ⁺¹ を引き忘れる
- S − rS の真ん中の等比数列の項数を数え間違える
- r = 1 のときは単なる Σk になることを書かない(rが文字のとき)
- 引いたあとの最後の項(−n·rⁿ⁺¹ など)を落とす/r=1 の場合分け
なぜ大事か
Σ k·rᵏ 型は公式がない。ずらして引くことで等比の和に変える、という手の動きが答え
東大での出方
期待値や確率漸化式の解の和で出てくる。数IIIの極限 Σ k·rᵏ(|r|<1)と組み合わさることもある。
確認問題
- Σ[k=1〜n] k·3ᵏ⁻¹ を求めよ(答:{(2n−1)·3ⁿ + 1}/4)
- Σ[k=1〜n] k/2ᵏ を求め、n→∞ で 2 に近づくことを確かめよ
発展
なぜ r を掛けるのか:Σ a(k)rᵏ で a(k) が d次多項式なら、(1−r)を掛けるたびに a の階差が取られ、d+1回で等比の和だけになる。
前提になるノード
このノードを前提にするノード
「数列」のノード
- ①② 等差数列・等比数列
- ③ 階差数列 a(n+1)−a(n)=f(n)
- ④ 和S(n)から一般項を逆算
- ⑤ Σの基本公式(k, k², k³, 等比)
- ⑥ (等差)×(等比)の和:S−rS
- ⑦ 部分分数分解で隣同士を消す
- ⑧ ルートの和は有理化して差の形
- ⑨ 対数の和は log の差に分解して消す
- ㉓ 群数列(項数と末項の通算番号)
- Σ計算・部分分数分解による差の形(望遠鏡和)
- 階差数列・Sとaの関係
- 数学的帰納法(通常・強化・二段仮定)
- 格子点の数え上げ
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。