陽イオンの系統分離
着眼点試薬を加える順番に意味がある。塩酸 → 酸性で \ce{H2S} → 煮沸・硝酸 → アンモニア水過剰 → 塩基性で \ce{H2S} → 炭酸アンモニウム → 炎色反応。
- 段階3で煮沸するのは \ce{H2S} を除くため。\ce{H2S} が残ったまま塩基性にすると \ce{ZnS} などが一緒に沈んでしまう。
- 段階3で硝酸を加えるのは、段階2で \ce{H2S} に還元された \ce{Fe^2+} を \ce{Fe^3+} に戻すため(\ce{Fe(OH)2} よりも水酸化鉄(III)のほうが完全に沈む)。
- 段階3でアンモニア水を使うのは、Zn をアンミン錯体として溶かしたまま残すため。
| 段階 | 操作 | 沈殿するもの |
|---|---|---|
| 1 | 希塩酸を加える | \ce{AgCl} 白、\ce{PbCl2} 白 |
| 2 | 酸性のまま \ce{H2S} を通す | \ce{CuS} 黒(残っていた Pb も \ce{PbS} 黒) |
| 3 | 煮沸して \ce{H2S} を追い出し、希硝酸を加えてからアンモニア水を過剰に | 水酸化鉄(III) 赤褐、\ce{Al(OH)3} 白 |
| 4 | 塩基性のまま \ce{H2S} を通す | \ce{ZnS} 白 |
| 5 | 炭酸アンモニウム水溶液を加える | \ce{CaCO3} 白、\ce{BaCO3} 白 |
| 6 | ろ液を炎色反応で調べる | \ce{Na+} 黄、\ce{K+} 赤紫 |
例題
1
\ce{Ag+,\ Cu^2+,\ Fe^3+,\ Zn^2+,\ Ca^2+,\ Na+} を含む水溶液を上の手順で分離した。各段階で得られる沈殿を答えよ。
解答
1:\ce{AgCl}(白)
2:\ce{CuS}(黒)
3:水酸化鉄(III)(赤褐)
4:\ce{ZnS}(白)
5:\ce{CaCO3}(白)
6:ろ液に \ce{Na+} が残り、炎色反応で黄色。
2:\ce{CuS}(黒)
3:水酸化鉄(III)(赤褐)
4:\ce{ZnS}(白)
5:\ce{CaCO3}(白)
6:ろ液に \ce{Na+} が残り、炎色反応で黄色。
確認問題
1
段階1で \ce{PbCl2} が沈殿したことを確かめるには?
答え
沈殿に熱湯を加えて溶かし、その液にクロム酸カリウム水溶液を加える。黄色の \ce{PbCrO4} が沈殿すれば Pb。
2
段階2で塩基性にしてから \ce{H2S} を通すと、何が困るか。
答え
\ce{ZnS} なども一緒に沈殿して、Cu と Zn を分けられなくなる。