非回転体の体積(断面積を積分する)
アプリで開く →
進み具合を記録できるアプリ版です(ノード単位の直リンクはありません)
要点
立体の体積を求める作業は、立体そのものを3次元で把握する作業ではない。軸を1本決め、その軸に垂直な平面 x = t で切ったときの断面積 S(t) を求め、∫S(t)dt を計算する——ただそれだけの手続きである。だから難しさは積分ではなく、『t を固定したときに断面がどんな図形になるか』を求める2次元の問題を解けるかどうかに集約される。立体が頭の中で見えないまま止まってしまう人は、3次元で見ようとしているのであって、断面という2次元の問題に落とす手続きを踏んでいない。
こんなときに使う
- 回転体ではない立体の体積 → 断面積を積分する以外の道はない
- 『2つの立体の共通部分』→ 断面同士の共通部分を取る(2次元の問題になる)
- 軸の選び方が自由なとき → 断面が最も単純になる向きを選ぶ(対称性のある向き)
- 断面が t の範囲によって形を変えそう → 場合分けを最初に見積もる
- 空間の点の条件が不等式で与えられている → x = t を代入して y, z の条件にする
手順
- 1. 座標軸を設定する。対称性が最も活きる取り方を選ぶ(ここで難易度が半分になる)
- 2. 積分する軸を決め、その軸に垂直な平面 x = t で切る
- 3. t を定数として扱い、断面が y-z 平面上のどんな図形かを求める(これは2次元の問題)
- 4. 断面積 S(t) を t の式で表す
- 5. t の動く範囲で断面の形が変わるなら場合分けし、各区間で S(t) を求める
- 6. V = ∫ S(t) dt を計算する
- 7. 検算:t の端で S(t) が 0 または既知の値になるか、体積のオーダーが直感と合うか
例題
底面が半径1の円である円柱を、底面の直径を含み底面と 45° をなす平面で切る。このとき小さい方の立体の体積を求めよ。
解答
- 底面の円の中心を原点、切断に使う直径を x 軸に取る。底面は x² + y² ≦ 1、高さ方向を z とする。
- 立体は、底面の半円 (y ≧ 0 の側) の上にあり、平面 z = y·tan45° = y の下にある部分。
- x = t (-1 ≦ t ≦ 1) で切る。断面は y-z 平面上で、0 ≦ y ≦ √(1 - t²)、0 ≦ z ≦ y の領域。
- これは直角をはさむ2辺が √(1 - t²) の直角三角形。
- S(t) = (1/2)·√(1 - t²)·√(1 - t²) = (1 - t²)/2
- V = ∫[-1→1] (1 - t²)/2 dt = (1/2)[t - t³/3]₋₁¹ = (1/2)·(2 - 2/3) = (1/2)·(4/3) = 2/3
- ∴ 2/3
- 検算:t = ±1 で S = 0 ○(円の端では断面が潰れる)。t = 0 で S = 1/2(斜辺が45°の直角三角形)○。
別解・ほかの見方
- 軸の取り方を変える:同じ立体でも切る向きで計算量が数倍変わる。迷ったら2通り試して軽い方を採る
- 共通部分の体積:立体A ∩ 立体B の断面は (Aの断面) ∩ (Bの断面)。2次元の共通部分を求める問題に落ちる
- 回転体でも断面積で処理できる:回転体の公式 πr² は、断面が円である場合の特殊例にすぎない
- 斜回転体:回転軸が座標軸でないときは、座標を回転させてから通常の回転体に帰着する(複素数平面の回転が使える)
- カヴァリエリの原理:断面積が等しい立体は体積も等しい。答えの検算や、難しい立体を易しい立体に置き換えるのに使える
落とし穴
- 3次元の形を頭で把握しようとして手が止まる(断面という2次元問題に落とす手続きを踏む)
- 断面の形が t の範囲で変わるのに、1つの式で押し通す(東大はここを狙って出す)
- 断面積を求める際に、断面が回転体の一部だと思い込んで円だと決めつける
- 座標設定が対称性を無視しており、式が汚くなったまま突き進む
- 積分区間を立体の存在範囲ではなく、なんとなくの範囲で取る
- 断面の形状をtの範囲で場合分けせず一つの式で通そうとする
なぜ大事か
「x=t で切った断面を求める」。東大の空間問題の標準解法にして最難関。ここを完成させると理三の得点が安定する
東大での出方
東大理系で毎年のように出題される最大配点帯のテーマ。特に『2つの立体(円柱・球・正四面体など)の共通部分』の形が頻出。切る向きの選択と、断面の場合分けの2点が採点上の分岐になる。
確認問題
- 半径1の2つの円柱 x² + y² ≦ 1 と x² + z² ≦ 1 の共通部分の体積を求めよ(断面は正方形になる)
- 上の問題で、断面が正方形になる理由を、x = t を代入して説明せよ
発展
回転体と非回転体の融合。領域を回転させた立体を、さらに別の平面で切る問題。断面を求める段階で回転を考える必要があり、最難問クラスになる。
前提になるノード
このノードを前提にするノード
「積分の応用」のノード
- 面積(上下・左右・媒介変数・逆関数)
- 回転体の体積(x軸・y軸まわり)
- 非回転体の体積(断面積を積分する)
- 斜回転体・回転軸が座標軸でない体積
- 曲線の長さ・道のり
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。