通過領域(存在条件に読み替える)
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要点
『パラメータ t を動かしたときに直線や曲線が通る点の全体』を求める問題は、幾何の問題に見えて実際は論理の問題である。点 (X, Y) が通過領域に入るとは、その (X, Y) に対して条件式を満たす実数 t が少なくとも1つ存在すること、それだけを意味する。したがって図形的に考える必要はなく、条件式を t の方程式と見て『実数解を持つ条件』に翻訳すればよい。ここで視点を t 側に移せるかどうかが、この単元の全てになる。
こんなときに使う
- 『t が実数全体を動くとき、直線 ℓ の通過する範囲を求めよ』→ 定番の逆像法
- 式の中でパラメータが2次以下 → t の2次方程式と見て判別式(最速)
- パラメータに範囲がついている(0 ≦ t ≦ 1 など)→ 判別式だけでは足りず、解の配置問題になる
- パラメータが2つ以上 → 1つずつ順に処理する(順像法の出番)
- 『少なくとも1つ存在する』『すべての t で成り立つ』→ ∃ と ∀ の違いを最初に確定させる
手順
- 1. 通過領域上の点を (X, Y) と置く(動点と定点の記号を必ず分ける)
- 2. 条件式を、X, Y を定数・t を変数とみなして整理する(この視点の切り替えが核心)
- 3. 『この t の方程式が、t の許される範囲内に実数解を持つ』条件を求める
- 4. t が実数全体なら判別式 D ≧ 0。t に範囲があれば解の配置(軸・端点の値)で処理
- 5. 得られた X, Y の条件を図示する。境界を含むかを必ず判定する
- 6. 検算:領域内の点を1つ取り、実際にその t を求めて元の式を満たすか確かめる
例題
t が実数全体を動くとき、直線 y = 2tx - t² が通過する領域を図示せよ。
解答
- 点 (X, Y) がこの直線群のいずれかの上にある条件は、Y = 2tX - t² を満たす実数 t が存在すること。
- これを t について整理すると t² - 2Xt + Y = 0。
- X, Y を定数、t を未知数とする2次方程式と見る。
- 実数 t が存在する条件は判別式 D/4 = X² - Y ≧ 0、すなわち Y ≦ X²。
- ∴ 求める領域は放物線 y = x² およびその下側(境界を含む)。
- 検算:(0, -1) は Y ≦ X² を満たす。実際 t² - 0 - 1 = 0 より t = ±1 が存在し、直線 y = 2x - 1 は点 (0, -1) を通る ○。
- 補足:この直線群は放物線 y = x² の接線全体(t が接点の x 座標)。通過領域が接線の下側になるのは幾何的にも整合する。
別解・ほかの見方
- 逆像法(上の解法):(X,Y) を固定して t の存在条件に落とす。パラメータが低次のとき最速
- 順像法:t を固定して x の各値に対する y の動く範囲を求め、t を動かして合併する。パラメータの範囲が複雑なとき有効
- 包絡線として捉える(範囲外だが、答えの検算に使える):接線族なら包絡線が境界になる
- 領域上での最大最小と組み合わせる問題では、逆像法で得た不等式をそのまま制約条件に使える
落とし穴
- t の動く範囲の制約を忘れて、余分な領域まで塗る(最頻出の失点)
- 判別式だけで済ませてよいのは t が実数全体のときだけ。範囲つきなら解の配置が必要
- 境界を含むかどうかの判定を書かない
- 動点 (X, Y) と元の変数 (x, y) を同じ文字で書いて論理が壊れる
- 『すべての t で成り立つ』(∀) 問題を、存在条件 (∃) と取り違える。この2つは答えが全く違う
- tの動く範囲の制約を忘れる。逆像法と順像法を使い分けられない
なぜ大事か
東大の最重要テーマの一つ。「実数tが存在する⇔判別式/値域条件」への翻訳
東大での出方
東大の最重要テーマの一つ。単独でも出るが、数III の関数と組み合わせて『曲線群の通過領域』として出ることも多い。領域を求めた後に面積を計算させる、という2段構えが定番。
確認問題
- 0 ≦ t ≦ 1 のとき、直線 y = 2tx - t² の通過領域を図示せよ(範囲つきに変えると解の配置が必要になることを体感する)
- t が実数全体を動くとき、円 (x - t)² + y² = 1 の通過領域を求めよ
発展
パラメータが2つ (s, t) ある場合。1つを固定してもう1つで処理し、最後に固定した方を動かす。順序を変えると難易度が変わるので両方試す。
前提になるノード
このノードを前提にするノード
「図形と方程式」のノード
- 直線の方程式・点と直線の距離
- 円の方程式・円と直線の位置関係
- 軌跡(動点の条件を式にする)
- 不等式の表す領域・線形計画
- 通過領域(存在条件に読み替える)
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。