数え上げの原則(和の法則・積の法則・辞書式)
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要点
数え上げで最初にすべきことは、公式を選ぶことではなく数える枠組みを決めることである。原理は2つしかない。排反な場合に分けて足す(和の法則)と、独立な選択を順に掛ける(積の法則)。順列も組合せも、この2つの帰結にすぎない。東大の確率で分母が作れない人は、この枠組みを持たずにいきなり C や P を使っている。数が小さければ辞書式に全部書き出す、という手が結局いちばん確実で、実験としても機能する。
こんなときに使う
- 場合分けできる → 和の法則(ただし互いに排反であることを確認する)
- 段階に分けられる → 積の法則(各段階の選択肢数が、前の選択に依存しないことを確認する)
- 制約のある位置がある(先頭が0でない、一の位が奇数など)→ 制約のある場所から先に決める
- 数が小さい → 辞書式に全部書き出す。実験にもなる
- 『〜でない』が多い → 余事象
- 直接数えにくい → 1対1に対応する別のものを数える
手順
- 1. 何を1つと数えるのかを決める(区別する/しないをここで確定させる)
- 2. 段階に分けられるか、場合分けが必要かを判断する
- 3. 積の法則を使うときは、各段階の選択肢数が前の選択に依らないか確認する
- 4. 依存するなら、制約の強い段階を先に持ってくる
- 5. 和の法則を使うときは、場合が互いに排反か確認する
- 6. n を小さくして書き出し、答えと一致するか検算する
例題
1, 2, 3, 4, 5 の5個の数字から異なる3個を選んで3桁の整数を作る。奇数は何個できるか。
解答
- 一の位が奇数であることが条件なので、制約の強い一の位から先に決める。
- 一の位:1, 3, 5 のいずれかで 3 通り
- 百の位:残り4個から選んで 4 通り
- 十の位:残り3個から選んで 3 通り
- 積の法則より 3 × 4 × 3 = 36 個
- 【なぜ一の位を先に決めるか】
- 百の位から決めると、それが奇数か偶数かによって一の位の選択肢数が変わってしまい、
- 積の法則がそのまま使えなくなる。制約のある場所を先に固定するのが原則。
- 検算:3桁の整数は全部で 5×4×3 = 60 個。
- 偶数は一の位が 2, 4 の 2 通りなので 2×4×3 = 24 個。36 + 24 = 60 ○
別解・ほかの見方
- 余事象で数える(偶数を数えて全体から引く)
- 1対1対応をつけて、数えやすい別のものに置き換える
- 小さい場合を全部書き出して規則を見つけ、一般化する(東大では実験そのものが誘導になっていることが多い)
- 樹形図を描く。場合分けの構造が視覚化され、漏れに気づきやすい
落とし穴
- 制約のある位置を後回しにして、選択肢数が前の選択に依存してしまう(最頻出)
- 和の法則で排反性を確認せず、重複して数える
- 区別する/しないを決めないまま数え始める
- 0 を含む問題で、先頭に 0 が来る場合を除き忘れる
- いきなりC・Pに飛びついて数え落とす
なぜ大事か
公式より先に「重複なく漏れなく数える枠組み」を持てるかどうか。東大の確率はここで決まる
東大での出方
単独で問われることはないが、確率の分母を作る作業として毎回必要になる。東大の確率が難しいのは確率の理論ではなく、この数え上げの設計が複雑だから。誘導の (1) で小さい場合を数えさせるのは、ここで枠組みを作らせるため。
確認問題
- 0, 1, 2, 3, 4 から異なる3個を選んで3桁の整数を作るとき、何個できるか(先頭に0が来ない)
- 上の問題で偶数は何個か(一の位が0のときとそうでないときで場合分けが必要)
- 3桁の整数のうち、各位の数字がすべて異なるものは何個か
発展
数えにくいものを、1対1対応で数えやすいものに翻訳する技術。最短経路の総数を『右と上の並べ方』に読み替えるのがその典型で、東大の格子点問題にも直結する。
前提になるノード
このノードを前提にするノード
「場合の数」のノード
- 数え上げの原則(和の法則・積の法則・辞書式)
- 順列・組合せ
- 同じものを含む順列・円順列・じゅず順列
- 組分け・重複組合せ(仕切り)
- 包除原理・余事象で数える
解説は自作です。誤りに気づいたら お問い合わせ(/contact/)から教えてください。